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セキュリティ・ホールは公開しない者勝ち?

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(2005/10/26 勝村 幸博=ITPro)

「Internet Explorer(IE)はFirefoxよりも安全」。最近,このような話を読んだり耳にしたりする機会が何度かあった。ほとんどの場合,米Symantecが2005年9月に発表した「Internet Security Threat Report Volume VIII(インターネットセキュリティ脅威レポート 8巻)」のデータが根拠になっている(関連記事)。

Internet Security Threat Reportとは,同社が世界中に設置しているセンサーなどから収集した情報を基に,同社が半年ごとに作成し公表しているレポート。レポートではセキュリティに関するさまざまなデータがまとめられている。その一部として,2005年上半期(1月~6月)に公表された,主要ブラウザのセキュリティ・ホールの数がまとめられている。そのデータによると,Firefoxでは25件のセキュリティ・ホールが公表され,そのうち18件は深刻なものだったという。一方,IEでは13件が公表され,深刻なものは8件だったとされる。確かに,数字だけ見れば,IEのほうが少ない。

このレポートが公表される少し前に,Firefoxで深刻なセキュリティ・ホールが見つかっていたことも,Firefoxのセキュリティを疑わせる原因になっているようだ。9月はじめ,Firefoxなどには「IDNバッファ・オーバーフロー問題」と呼ばれる危険なセキュリティ・ホールが見つかった。9月下旬には,このセキュリティ・ホールを突くプログラムが公開されている(関連記事)。

9月23日にはセキュリティ・ホールを修正したFirefox 1.0.7日本語版がリリースされている。しかしこのセキュリティ・ホール騒ぎとSymantecのレポートが相次いだので,「Firefoxって安全なの?」と疑問を抱くユーザーがいても不思議はない。

ベンダーが公表したセキュリティ・ホールの数の比較に意味はあるか

もちろんIT Pro読者なら,上記の「IDNバッファ・オーバーフロー問題」とSymantecのレポートから,「IEはFirefoxよりも安全」と結論付けられないことはお分かりだろう。まず,「IDNバッファ・オーバーフロー問題」に“匹敵”するようなセキュリティ・ホールはIEにも数多く見つかっている。

Symantecのレポートについても,数字はあくまでもベンダーが確認して公表したものに限られている。たとえ見つかっていても,ベンダー が公表していなければ数には含まれない。例えば,セキュリティ・ベンダーの米eEye Digital Securityでは,IEに関するセキュリティ・ホールを見つけていることを公表している(詳細は未公表)。これらはMicrosoftからは公表されていないため,Symantecのレポートには含まれていない。

先日,Microsoftのセキュリティに関する最高責任者の一人であるMichael Nash氏にインタビューする機会があった(関連記事)。Nash氏は同社のセキュリティへの取り組みを説明する際に,他社製品と同社製品,あるいは以前の同社製品と現在の同社製品における,公表されたセキュリティ・ホールの数の違いに何度も言及した。

それを聞いて筆者は,「公表されたセキュリティ・ホールの数を比べることに意味はあるのか」といったことをたずねた。すると同氏は,「もちろん,セキュリティ・ホールの数はその製品が安全かどうかを計る唯一の指標ではない。だが,ユーザーが指摘する点,気にする点であることは間違いない」と答えた。

確かに多くのユーザーにとって,公表されているセキュリティ・ホールの数が,ソフトウエアの“安全度”を計る上での指標の一つになるだろう。それ以外に,数字として現れるセキュリティに関するデータはほとんどないからだ。とはいえ,公表されたセキュリティ・ホールの数だけで,ソフトウエアの安全度を判断されることを筆者はとても懸念する。そうなれば,公表しない者勝ちになってしまう。不誠実なベンダーが開発したソフトウエアが安全と判断され,積極的に情報を公開するベンダーのソフトウエアが危険とされてしまう。それはおかしい。 [全文]

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