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昔と違う「新(シン)クライアント」

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(2005/05/31 坂口 裕一=日経Windowsプロ)

2005年に入って,ハードディスクを搭載しない「ディスクレス・クライアント」が相次いで登場している。5月25日にデルが「Dell ThinPC」を発表した(関連記事)のを含めると,NEC,日本ヒューレット・パッカード,日立製作所,富士通の大手パソコン・ベンダーから製品が出そろったことになる。

言うまでもないが,ディスクレス・クライアントを導入する最大の目的は,情報漏えい対策である。クライアントに一切データを保存できないため,クライアントが盗難に遭っても,機密情報が盗まれることはない。ほかにも,ウイルス感染の危険性が低い,パッチ管理やデータのバックアップが容易になる,検疫ネットワークが不要になるなど,ディスクレス・クライアントを導入するメリットは多い。

IT Proの読者の方なら,2000年前後にも同様の製品が「シン・クライアント」としてブームになったのをご存じだろう。当時は,パソコンの購入,管理にかかる総コスト(TCO)を削減するのが主な導入目的だった。

シン・クライアントでは,サーバーでデスクトップ・アプリケーションを動作させ,ハードディスクを搭載しないクライアントとの間で,画面情報とキーボード,マウスの入力情報などをやり取りする。サーバー上のアプリケーションは,複数のユーザーが利用できるよう,マルチユーザー化されているのが前提となっている。

このため,マルチユーザーに対応していないアプリケーションを利用できない問題があった。このほか,ハード購入のコストをさほど削減できない,パソコンの低価格化が進んだ――などの原因で,シン・クライアント・ブームが下火になった経緯がある。シン・クライアントと聞いて,悪いイメージを思い浮かべた人もいるだろう。

ディスクレスの欠点が解消へ

ところが,2000年ごろにシン・クライアントの欠点だったものは,ハード,ソフト,ネットワークの技術革新によって,今ではほとんど解消されている。タイトルを「新クライアント」としたのは,そのためである。

まず,マルチユーザーに対応しないアプリケーションが,サーバーで動作しない問題は,様々な仮想化技術で解決できるようになった。例えば,シトリックス・システムズ・ジャパンが6月に出荷するMetaFrameの後継製品は,アプリケーションが設定情報などを保存する特定のディレクトリを仮想化できる。IPアドレスの仮想化によって,IP電話用ソフト(ソフトフォン)も動作可能,とシトリックスは説明している(関連記事)。

ほかにも,サーバーで仮想マシンソフトを使い,ユーザーごとにクライアントのOSとアプリケーションを動作させる方法や,ブレードPCを利用して,ディスクレス・クライアントから遠隔操作する方法もある。こうした方法を使えば,ユーザーごとに利用しているアプリケーションがばらばらでも,ディスクレス・クライアントへ移行できるだろう。

サーバーの64ビット化が追い風に

ディスクレス・クライアントのもう1つの問題は,サーバーに負荷が集中する点である。ターミナル・サービスを利用するユーザー数が増えたり,負荷の高いアプリケーションをサーバー上で利用したりすると,プロセッサの処理速度やメモリー容量がすぐに不足し,サーバーの増設を余儀なくされていた。

こうした問題も64ビットOS「Windows Server 2003 x64 Editions」の登場で解消できる。OSの64ビット化によって,処理速度の向上と,メモリー空間の拡大が実現できるからだ。プロセッサも2000年当時と比べて,より高速なものが低コストで入手できるようになった。

マイクロソフトの調査によるとWindows Server 2003のターミナル・サービスが動作するサーバーで,従来のx86版Windows Server2003は最大同時接続数が280だったのに対して,x64版では約2.7倍の750に増加したという。メモリーは,これまで4Gバイトまで利用できなかった壁が取り払われ,OSの仕様では1Tバイトまで搭載できる。

低コストでもディスクレスに移行可能

そうは言っても,ディスクレスのクライアントを新規購入するコストを心配されている方も多いだろう。これには,既存のパソコンからハードディスクを取り除いて,ディスクレス・クライアントとして利用する方法がある。

この方法では,Linuxをネットワーク経由でダウンロードして,ディスクレス・クライアント上で動作させる。起動後は,ターミナル・サービスのサーバーに接続するソフトだけが利用できるようになっており,もちろんクライアントにはデータを保存できない。ネットワーク上にOSを配信するサーバーが必要だが,このサーバーも既存のパソコンを流用すれば,約13万円で導入できる。

さて,読者の方は「新クライアント」をどう評価されているだろうか。少なくとも,次にパソコンを更新するときは,ディスクレス・クライアントを検討されてはどうだろうか。

■各社が提供するディスクレス・クライアントの違いや,既存のパソコンを流用してディスクレス・クライアントを実現する方法などは,日経Windowsプロ6月号の特集記事「究極の情報漏えい対策 今こそディスクレスへ踏み出そう」で紹介しています。x64 Editionについては,日経Windowsプロ100号記念セミナー「Windowsシステムの次なる挑戦」でも解説します。ご活用ください。

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