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ライツマネジメントの現場から 第2回〜原作の「改変」が新たなビジネス生む

(2005/02/09 苗村 章夫=エイガアルライツ取締役プロデューサー)

前回は食玩(しょくがん)を例にマンガが多数の異なる分野の商品や場所を結び付け新たな付加価値を作り出し大きなライツビジネスマーケットを創造していることについてお話しました。今回はライツを利用してビジネスを進めるときに必要な著作者の権利についてお話したいと思います。

原作の改変は許されるのか?

マンガを利用した商品やサービスを企画する場合、ライツを利用する側は使用目的に合わせ原作のストーリーやキャラクターデザインに変更を加えることになります。程度の差はあれ商品を企画する際には必ず行われる作業ですが、著作権法では著作物に対するこのような変更や切除のことを総称して「改変」と言っています。

第一回のコラムで取り上げた食玩を例にとれば、二次元で描かれているマンガのキャラクターをもとにしてフィギュアという立体を作製することが著作物の改変にあたります。また印刷などの平面的使用においても、商品のデザインスペースに合わせキャラクターのサイズを変えたり、特徴的な部分のみを使用したりすることがありますが、これも改変にあたります。

二次元からの立体化、また部分使用や映像化などマンガは様々な形に改変され使用されるわけですが、では改変にはどのような基準があり誰の許諾が必要になるのでしょうか。

音楽著作では著作者がJASRAC(日本音楽著作権協会)と信託契約を結んでいる場合、改変された楽曲の利用を認めるか否かはJASRACが判断します。そして楽曲を演奏、CD録音、貸与、映画録音、CM録音、ゲーム録音、放送、インタラクティブ配信などに使用できるか、できないかという問題もJASRACが判断することになります。

しかしマンガやキャラクターの利用に関してはJASARCに相当する団体がありませんので、ライツを利用する側はその利用方法や改変について各著作者や管理者と個別に取り決めをすることになります。

著作者の許諾を受ければ改変は可能

著作物の改変について著作権法では「著作者は著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」としています。

これは「同一性保持権」といわれる権利ですが、その目的は著作物が第三者により勝手に変更されることがないよう著作者の権利を保護することにあります。

この権利については著作物を使用する際に取り交わす商品化権使用許諾契約書にも著作者人格権の遵守の条項として盛り込まれていて、その条文には「著作者の了解を得ることなしに著作物の内容や表現に変更を加えてはならない」ということがうたわれています。

しかし逆に言えばどのような利用方法でも著作者の許諾を受ければ改変が可能ということにもなるわけです。

できる限り改変を認め、ビジネスを創造する

改変の基準については著作者により違いがあるようですが、私たちのエイガアルライツでは「ライツを利用する商品やサービスが成立するために改変が必要であり、かつ原作のイメージが損なわれないような使われ方」であればできる限り認めることにしています。

例えば、マンガを原作としたシューティングゲームの企画において、ゲームの進行上原作に登場しないキャラクターの創作が必要になったとします。シューティングゲームですからステージごとに闘う相手が必要になるわけですが、原作にステージ数に見合うだけのキャラクターが描かれているとは限りません。

このような場合、著作者は企画を成り立たせるために新しいキャラクターの創作を認めるか、または企画を中止するかの判断をしなければなりません。大いに悩むところではあります。

しかし先に述べたようにそのゲームが成立するためには改変が必要であり、かつ新しいキャラクターを創作しても原作のイメージが損なわれなければその改変は認められることになります。

マンガはライツビジネスにおいて日本を代表するコンテンツのひとつですが、その利用方法はまだ限定的です。このコラムで利用のヒントをつかんでいただければ幸いです。

次回は著作者の権利からはなれてライツビジネスの経済的効果についてお話します。

苗村 章夫 氏のプロフィール
株式会社エイガアルライツ取締役プロデューサー
1956年神奈川県生まれ。青山学院大学経済学部卒。80年サンリオ入社。百貨店・量販店などの一般流通営業に携った後、特販チームにてコンビニエンスストア向けオリジナル商品の企画・開発・販売を統括。96年以降は『スパイダーマン』『ピンクパンサー』などアメリカメジャースタジオ系の映画プロパティを利用した営業プロデュース及び著作権管理業務に携わる。2003年エイガアルライツ立ち上げに参画。現在は『コブラ』を始めとする漫画家寺沢武一の著作物を利用した出版や商品化、映像化などのプロデュースと著作権管理業務を手がけている。
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