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王者アームストロングが残したもの(2005/07/25 写真と文:三井 公一=サスラウ)
![]() カメラ:Nikon D2x レンズ:AF-S Zoom Nikkor ED 80~200mm F2.8D(IF)
世界最高峰の自転車ロードレース、第92回ツール・ド・フランスはアメリカのランス・アームストロングが前人未到の個人総合優勝7連覇を達成し幕を閉じた。所属するディスカバリーチャンネルチームの献身的なアシストと、超人的な精神力と体力で、約3.600キロを走る過酷なレースを制した。その彼の右腕で揺れていた黄色いリストバンド、「LIVESTRONG」。このリストバンドはガンと闘う患者をサポートする「証し」なのだ。実はランス・アームストロング自身、ガン患者だったのだ。 1996年10月2日、プロの自転車選手として活躍していた彼は医者に睾丸ガンに冒されていることを告げられる。ガンはすでに脳と肺に転移していて、生存率は50%以下と宣告された。しかし彼は3回の大きな手術と厳しい治療、リハビリを経て選手として復帰。1999年にはツール・ド・フランスを初制覇する。闘病中に彼はガンと闘う患者をサポートすることを決意し、「ランス・アームストロング基金」という財団を設立。科学的、教育的に支援活動を開始する。 そして2004年、収益を基金の活動に充てる黄色いリストバンドをウェブサイトで1本1ドルで販売する、「LIVESTRONG」(強く生きろ)というキャンペーンをナイキと共に開始した。このリストバンドはウレタン製で軽く、スポーツ時にも着用できることから、趣旨に賛同したライバル選手もツール・ド・フランス中に身につけ始めた。総合チャンピオンが着用するマイヨ・ジョーヌ(黄色いウェア)と同色で見栄えがよく、テレビ中継や雑誌でも話題を呼ぶ。 そしてこの動きは昨年のアテネオリンピックを皮切りに、サッカー選手からアスリート達を中心に広がり始めた。スポーツ性とファッション性とチャリティ精神がうまく融合し、有名なアスリート達が着用し始めたのだ。日本でも自転車乗りのブロガーが共同購入するなど盛り上がりを見せた。こうなると若者も放っておくはずがない。普段はチャリティに無関心な彼らも目を向け始めたのだ。 現在では様々なチャリティ活動でこのリストバンドを採用するようになってきている。サッカーの中田英寿選手が着用していることで話題になった「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」では白いリストバンドを採用している。これも若者を中心に大きな人気を呼び、ウェブサイトでの販売を一時ストップしていたほどだ。 ツール・ド・フランス7連覇を最後に現役を引退した、ランス・アームストロングが残したものは、その印象に残る強烈な走りだけではなかった。
三井 公一
フォトグラファー。有限会社サスラウ、サスラウ・インコーポレイテッド代表。 在学中よりスポーツ新聞や写真週刊誌の撮影に従事。朝日新聞社出版写真部を経てフリーに。Macと出会う。 日産自動車のウェブサイト「羅針盤」の制作に参加し、ルマン24時間レースやウェブマガジンなど写真やビデオ映像を使用したコンテンツに関わる。 現在、有限会社サスラウとサスラウ・インコーポレイテッド代表。www.sasurau.com
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