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「コミュニティ活動がスキルを伸ばす」――オープンソースカンファレンス2005より

(2005/03/27 高橋 信頼=IT Pro)
展示会場
展示会場
講演会場
講演会場

3月25日から26日の2日間,オープンソース・コミュニティが主催するイベント「オープンソースカンファレンス2005」が東京の日本電子専門学校で開催された。OpenOffice.org, XOOPS, Seasar, Mozilla, Zope, Apache, PostgreSQL, MySQL, Firebird, PHP, Fedora, KNOPPIX, NetBSD, Snort, Samba, Ruby,日本OSS推進フォーラムなど三十数団体が参加。約70件の講演やセミナー,十数団体による展示も行われた。オープンソースカンファレンス2005実行委員会によれば,2日間でのべ1000人以上が来場したという。

オープンソースカンファレンスは,2004年9月に続いて2回目の開催となる(昨年のレポート)。今回は,参加団体やセッションの数が増えただけでなく,マイクロソフトとアップルコンピュータによる講演やZeta OSを開発している独Yellow TABによる講演と展示など,LinuxやUNIX系に留まらないものとなった。

マイクロソフト 楠正憲氏
マイクロソフト 楠正憲氏

「食わず嫌いのためのWindows」と題した講演を行ったマイクロソフト 技術研究室主席研究員の楠正憲氏は,LinuxのIPv6実装やKondara Linuxといったオープンソースの開発コミュニティに携わった経験を持つ。オープンソース開発者の視点からWindowsへの不満とその改善状況について紹介した。

「Windowsは開発環境が高価,UNIXとの相互運用性が低い,顔が見えない,コミュニティが育っていないというイメージがある。かつてはそうだったが,ここ5年で変わってきている」(楠氏)。例えば,NFSのサーバーやクライアント機能を提供する「Windows Services for UNIX」は無償でダウンロードできる。「答えてねっと」や「eXpertConnection」などのコミュニティを開設しており,Channel9や社員Blogなどで開発者の顔が見える会社を目指すなど,オープンソースの長所を取り入た取り組みを紹介した。

アップルコンピュータ スティーヴン チック氏
アップルコンピュータ スティーヴン チック氏

アップルコンピュータのワールドワイドデベロッパリレーションズ課長 スティーヴン チック氏は 「Mac OS X & Open Source Technology Update」と題し講演。「MacOS XはFreeBSDがベースになっており,コア部分Darwinをオープンソースとして公開するなど,アップルはオープンソースに積極的に関与している」とアピールした。

チック氏は,オープンソース・ソフトウエアを取り込み推進する理由として「最新の技術を取り入れることができる。そして,多くの開発者やユーザーによる検証を経ることでセキュリティを高められる」ことなどを挙げた。

「コミュニティ活動のメリットと楽しさ」と題するパネル・ディスカッションでは,Seasarプロジェクトの栗原傑享氏,WideStudio/MWTプロジェクトの平林俊一氏,オープンソースカンファレンス2005実行委員長の宮原徹氏が討論した。

パネル・ディスカッション
パネル・ディスカッション
左からびぎねっと宮原徹氏、Seasarプロジェクト栗原傑享氏、WideStudio/MWTプロジェクト平林俊一氏

栗原氏は,比嘉康雄氏の開発したSeasarのプロジェクトに参加,現在同プロジェクトの代表を務める。同プロジェクトが開発しているSeasar2はDI(Dependency Injection)コンテナで,すでに多くの業務システムに採用されている。Seasar2のほかにもWebプレゼンテーション・フレームワークS2JSFなど多くのソフトウエアを開発している。

栗原氏はSeasar2用のEclipseプラグインKijimunaなどを開発している。栗原氏はオープンソース・ソフトウエア開発に参加したメリットを「自分自身でSeasarを利用してシステムを構築しており,またSeasarの専門家としてシステム開発プロジェクトに招かれるという利益もある。それだけでなく,技術者としてアーキテクトとして磨かれた。正直言ってオープンソース開発に参加する前は突出したアーキテクトではなかったと思うが,開発を行う中で技術的に『階段を上った』と思う瞬間があった。オープンソースの開発はキャリアのステップアップになった」と語った。

WideStudioは,多くのアーキテクチャで同じGUIアプリケーションを開発できる統合開発環境。平林氏はゼロからプロジェクトを立ち上げた経験を披露した。「仕事が終わって帰宅したあとの12時から3時までの時間を使って開発。リソースの少なさをカバーするため,誰もが参加できるようにコンポーネント志向,透明性,開放性を心がけた。また知名度を上げるために記事や書籍の執筆などに励んだ」(平林氏)という。ソフトウエア開発の楽しさ,多くのユーザーに使われる喜びがその努力を支えた。現在,WideStudioのユーザーは数万とも言われる。IPA未踏ソフトウェア創造事業に採択され,平林氏はIPAの「天才プログラマー/スーパークリエータ」に認定された。「勤務先の富士通からWideStudioが業務として認められるようになった」(平林氏)。

びぎねっとの宮原氏は「コミュニティに参加すると,会社内だけでは決して得られないスキルが得られる」と語る。「コミュニティに参加してドキュメントを書いたり,イベントを企画してみたりといった経験も積める。コミュニティは一種の学校」(宮原氏)。

栗原氏は「日本のオープンソース・コミュニティはマーケティングや営業面が弱い」と指摘,そういった人材がコミュニティにとって重要であると指摘した。Seasarプロジェクトでも,比嘉氏が開発の中心,栗原氏がマネジメントの中心と役割を分担している。「プログラムを書けなくともコミュニティには参加できる。例えばWebやロゴのデザインも重要な仕事」と,幅広い人材の参加を呼びかけた。

またOpenOffice.org日本ユーザー会は同会場で「OpenOffice.orgカンファレンス2005」を開催。2日間にわたって約10件のセミナーを催した。近く予定されているOpenOffice.org 2.0の正式リリースをひかえ,2.0の機能や海外の導入事例の紹介,ローカリゼーションや将来の方向性について解説や議論を行った。

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