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Q.ライブドアが上場廃止となる基準とは?

ライブドアの売買単位数の異常な多さ

ライブドアは、東証マザーズというベンチャー企業向けの市場に上場していたにもかかわらず、いくつかの特異な状況が存在した。

その一つが、売買単位数の異常な多さである。

日本を代表する企業であるトヨタ自動車の発行済株式総数は、約36億株で1単元の株式数は100株である。従って、単元数では、3600万個となる

ところが、ライブドアの発行済株式総数は、約10億4900万株で単元株制度を採用していないため、1株単位で売買が可能である。つまり、発行済み株式総数で、トヨタの3分の1のライブドアは、売買単位では、トヨタの29倍の売買可能な数量の株式が存在したということである。

さらに、実際に流通している株数で比較するために、特定株主を除いた浮動株比率を「発行済み株式単元数」に掛けた「浮動株単元数」で見てみても、ライブドアは、5億5049万口でなんと、東証の中でトップの位置を占める。

トヨタの浮動株単元数は、1938万口で5位に過ぎない。しかも、東証一部が、45億8000万株と史上最高の出来高を記録した2005年11月8日、通常の「発行済み株式数」ベースでは、全市場の出来高に占めるライブドア株の売買シェアは、0.5%に過ぎないのに、「発行済み株式単元数」ベースでは、全出来高の71.2%がライブドア株となっている(週間東洋経済2006年2月4日号42ページより引用)。

以上のように、ベンチャー企業の登竜門であるマザーズ市場の株式流通数が、日本の最大企業のひとつであるトヨタよりも売買数が多いという異常な事態が続いていたのである。

虚偽という認識があれば有罪に

第ニは、なんと言っても堀江元社長の個性とライブドア事件に関する関心の高さといってもいいであろう。

会社設立後わずか10年で時価総額1兆円に届くライブドアグループを創設したが、証券取引法違反で捜査が進行中である現在も、ライブドア事件特集「ライブドア事件に物申す」として、各界著名人・オピニオンリーダーから、自由な発言を求めて発表している。自社の経営陣が起こした事件をここまで、おおっぴらに発表しているのは、極めて珍しいというべきではないだろうか。

連日発表されるライブドア事件関連情報によると、既に堀江被告らの有罪が確定したかのごとき錯覚を覚えるが、2000年にアメリカで大型証券取引法違反事件として大騒ぎになったエンロン事件において、Kenneth Lay 元CEO兼会長とJeffrey Skilling元CEO及びエンロンの会計監査人であったアーサーアンダーセンのCPAであったRichard Causeyの刑事裁判が、ようやく2006年1月に開始されている。

この事件の刑事事件に関する起訴状は、容易に入手することができ連日の裁判の様子も逐次見ることも可能である

ところが、ライブドア事件においては、公判が開始されるまで、公式には知ることができない。有価証券報告書の虚偽記載は、虚偽という認識を堀江氏らが有していたという事実さえ立証することができれば、有罪ということになろう。

通常、会社の決算の詳細までは認識がなくても、虚偽かそうでないかの認識は経営者として有しているのが通常であろう。経営の内容を知らずして会社の経営は実行不可能であるからである。この点で、投資家を騙す故意の存在が要求される、先に起訴された有価証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)容疑よりは、虚偽記載の方が立証は容易であると思われる。

現在のところ、検察側の情報しか報道されないが、もし、堀江氏が上記の容疑事実について否認するのであれば、堂々と法廷の内外でその真意を述べてもらいたいものである。そのためには、否認すれば保釈を許さないというような古色蒼然とした刑事手続きの運用は、人権先進国である日本においては避けてもらいたい。

鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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