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Q.ライブドアが上場廃止となる基準とは?

(2006/02/28 鼎 博之 弁護士)

第21問ライブドアが有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止になる可能性があるといわれています。投資家保護のためには、上場を維持する方法が妥当だと思いますが、どのような基準で上場が廃止されるのでしょうか。

A.有価証券報告書の虚偽記載で厳しい処分対象に

ライブドアグループの証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は、2月22日堀江貴文前社長他3名を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で再逮捕し、新たにライブドア代表取締役熊谷史人氏を逮捕した。具体的には、2004年9月期の決算に関する有価証券報告書において、本来利益として計上できない約50億円を利益として計上し、これにより、重大な事実に関する虚偽の記載をしたというものである。

問19で解説したように、堀江氏ら3名は、1月23日に有価証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)容疑で逮捕され、この容疑で既に起訴されているが、これに加えてさらに、有価証券報告書の虚偽記載の容疑が追加されたことになる。

有価証券報告書の虚偽記載に対する罰則は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金であり(証券取引法第197条第1項第1号)、両方の刑が併科される場合もある。法定刑においては、既に起訴されている偽計取引、風説の流布の罰則と同じであるが、市場に与える影響は上記の罪よりも影響が大きい。

つまり、有価証券報告書の虚偽記載は、上場企業、とりわけ東証マザーズに上場しているライブドアにとっては、重要な意味を有する。それというのも、有価証券報告書の虚偽記載は、上場廃止基準に抵触するからである。ライブドア自身も、東京証券取引所が、ライブドア株を管理ポストに割り当てた理由が追加され、有価証券報告書の虚偽記載の容疑が追加されたことを認めている

有価証券報告書の正確性が資本市場の信頼を維持

ここで、なぜ、有価証券報告書の虚偽記載が上場廃止基準に含まれているかという理由を考える必要がある。

多くのITなどのベンチャー企業は、不動産などの担保資産を有しないのが通常であるため、会社の設備投資や、人材の育成、さらにM&A資金の調達などについて、銀行などの金融機関からの借入れをおこなうことは困難であるのが通常である。しかし、金融機関からの間接金融にのみ依存していては、新しい発明やノウハウ、あるいはアイデアを持つ新興企業は、資金の調達が不可能となり、社会の活性化を阻害することとなる。

そのために、十分な担保資産を有しないベンチャー企業を積極的に直接金融である資本市場に誘導し、資金を資本市場において調達することが広く行なわれてきた。

しかし、有価証券報告書は、投資家が、投資しようとする会社に対して正確な情報を知ることが必要であるために、会社の将来性とともに、リスク要因も開示させる必要がある。そのために、有価証券報告書の正確性が、資本市場に対する信頼を維持するために、なくてはならない制度的担保であると考えられているのである。

東証マザーズでは緩やかな上場審査基準を設定

具体的にいうと、東証マザーズ上場審査基準は、東証の市場第一部、第二部とは異なり、新興の企業に対しても資本市場における様々な資金調達を可能とするために緩やかな上場審査基準を設定している。

例えば、市場第二部においては、上場時、4000単位以上の上場株式数を要求しているのに対して、マザーズは、1000単位以上の公募または売り出し(うち最低500単位の公募)を要求しているに過ぎない。ここでいう1単位とは、単元株制度を採用する場合には1単元の株式の数をいい、単元株を採用しない場合には1株をいう。

さらに、市場第二部においては、上場時価総額が20億円以上必要とされるのに、マザーズでは、10億円以上と低い基準が設けられている。

典型的なものとしては、市場第二部においては、上場時2年前1億円、直前期4億円の利益が計上されているか、または時価総額が1000億円以上である必要があるが、マザーズでは、上場審査時に利益の計上がなくてもよいことになっている。

以上のように、マザーズ市場においては、ベンチャー企業向けの比較的低い上場基準を設定しているが、投資家に対して企業の中身を開示する有価証券報告書の記載内容には、一部・二部であるか、マザーズであるかによってなんらの差異はない。

即ち、上場企業においては、決算期末から3カ月以内に有価証券報告書を開示する義務があるとともに、年度の中間に半期報告書、さらに投資家の投資判断に重大な影響を及ぼすべき一定の重要事実が発生した場合には、その内容を記載した臨時報告書を遅滞なく開示する義務があるとされているのである。

next:ライブドアの売買単位数の異常な多さ・・・

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