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Q.MS、Yahoo、Googleまでが協力する中国ネット検閲の是非ヤフーも中国当局の言論統制に協力MSNの前には、ヤフーも中国当局の言論統制に協力したことが判明した。 2005年4月、Dangdai Shang Baoという新聞社に勤務する37歳のジャーナリストShi Tao氏が、国家機密漏洩罪違反により、懲役10年の有罪判決を受けた。 これは、自社に送付されてきた中国政府の「最高機密」メッセージをShi氏が、外国のウエッブサイトに漏洩したという罪によるものであった。この事件に関連し、フランスのメディア監視団体、国境なきレポーター(Reporters Without Borders)によると、香港にあるYahoo Holdingsが提供した情報を基に、中国捜査当局は、Shiの個人用電子メールアカウントや「国家機密」を含んだメッセージを、ShiのIPアドレスと結びつけていたことが法廷文書により判明した。何が、「国家機密」に該当するとされたかであるが、2004年は、1989年に発生した天安門広場事件から15周年にあたり、6月4日の記念日を前にして、民主主義思想が海外から流入することを国境で食い止めること、中国国内の民主主義的運動を封じ込める対策などが、「国家機密」とされた内容である。 グーグルも特定の用語検索に検閲フィルターを付与第18問で次の事件を紹介した。フランスの裁判所が、フランス在住者がyahoo.comを通じて、ナチズムの賞賛やナチの犯罪を否定する言論にアクセスすることができないよう、あるいはナチに関する物品を掲載したオークションサイトにアクセスできないよう、合理的な処置をヤフーが取らない限り、1日あたり10万ユーロ(約1400万円)のペナルティを支払えという仮処分命令を出した。 このフランスの裁判所の命令に対して、ヤフーは、「言論の自由を標榜する連邦憲法の下では、上記フランス裁判所の仮処分命令は米国内では強制執行力がない」という宣言判決を求めて、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴した。このように、ヤフーは、言論の自由に対する規制を排除しようとして、裁判所において5年も法廷闘争を続けている。 しかし、このように言論の自由を標榜しているヤフーが、やすやすと中国においては、言論の自由に対する規制を受け入れていることは、国によるダブルスタンダードを認めていることにならないであろうか。 そして、本年2月に入り、グーグルも「民主主義」「自由」「人権」などの用語の検索に検閲のフィルターを付することを発表した。ある用語を検索することは、その言葉に関する人々の関心を表現している。中国では「民主主義」「自由」「人権」などの理念をネットユーザーが希求したとしても自由にそれらの用語を使用した情報を得ることができないということを意味する。 ベルリンの壁が崩壊したのも電波や情報が国境を越えて人々に伝達したからに他ならない。インターネットは国境を越えて世界中の人々が自由に自己の望む情報を一瞬の内に手に入れることを可能にする道具であるはずである。このネットに検閲を施すということはネットに大きな万里の長城を築くものであり、インターネットの死であるといっても過言ではない。 国ごとの言論の自由に制限を加える約款の是非このような動きに対し、マイクロソフトは、1月31日付けで、新しい使用約款を公表した。マイクロソフトのゼネラルカウンセルであるBradford Smith氏は、「マイクロソフトは、当該国の政府からネット掲載の内容が当該国の法律に重大な違反をしているとの通知を受領するか、またはMSNの使用約款に反する場合にのみ内容の規制を実施する」と発表した。 しかし、このようなコメントは、国ごとの言論の自由に制限を加えるものであり、本来国境のないインターネットの特長を大幅に制限するものである。ある事実を隠す、あるいは批判の言論を制限するということは、その社会の脆弱さを示している。一定の記事を検閲しなければならないということは、批判された立場にある者がその正当性を反論できないということに他ならない。 米国の世界的ISPがそろって中国に進出する中で、「自由」「人権」や「民主主義」の思想は持ち込まないという姿勢は、国内法遵守という短期的には正当化できる根拠があったとしても、長い目でみて到底正しいものだとは思えないのであるが、いかがであろうか。 鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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