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Q. ブログの総括と2006年の展望は?

商品情報の提供手段としてのブログの信憑性

商品情報の提供手段としてのブログで、問題となった事例を紹介したい。2003年アメリカで、Dr Pepper/7upが、新商品の販売のためにブログを利用したケースが後に物議をかもすこととなった。新しい乳飲料は、Raging Cow(怒りたける雌牛)という商品名で、おいしい乳飲料が欲しいと怒っている雌牛をマスコットとして起用した。

この製品の販促活動として特徴的なのは、6人のティーンエイジャーのブロガーが、当初何らこの商品と関係ないブログの記載から始まったが、結果的に商品についてブログ形式で論評するというキャンペーン手法を採用したことである。このブロガー達は、報酬はもらっていなかったが、商品と販促用品を提供されており、そのことを明らかにしていないということも問題になった。

このブログのひとつは、ニューオーリンズに住むニコルという18歳の女子高校生が掲載していたブログであった。ニコルは、Richard Groupという広告会社から依頼されて、一年前にNokiaのためにブログを使用した広告に参加したことがあり、今回が2回目だということで、ほかのブロガーは、彼女のオンライン上の友人であった。

このブログは、全くの素人のブログの様相を呈しているが、実態は広告会社から頼まれて記載したものであることを指摘されて、あるサイトから商品ボイコットの対象とされることになった。しかし、ニコル自身は、インタビューに答えて「ブログにコマーシャルの要素が入っていても気にしないわ。テレビのコマーシャルには、俳優が出ているじゃないの。でもブログによるRaging Cowの宣伝は、口コミだからより本物らしく見えるわね。」と述べている。

このように、ブログが人気を得るようになると、問題になるのが、ブログの内容に信憑性があるのかという問題である。つまり、会社ブログでない、個人ブログは、素人であるが故に、消費者の視点が生かされるという利点があるが、もし、ブロガー達が、商品を無償で提供されていたり、さらに報酬をえていても、それを隠していたりする場合、記事内容の信頼性に疑問が生じることになる。ブログによって、消費者とのコミュニケーションを計ろうとする場合には、いいことも悪いことも受け付けるという姿勢が重要であろう。

ブロガーによる行動倫理基準制定の動きも

このような中で、ブロガー自身が、行動倫理基準を制定しようとする動きが出たことは注目に値する。ブロガーを自認する者は、少なくとも行動倫理基準を遵守してブログを書いて欲しいものである。詳細はQ4で述べたが、重要な点を10項目にまとめた。

  1. ゆめゆめ他人の文章を盗用するな。
  2. 署名入りで記載し、できる限り情報の出所に対するリンクを張ること。
  3. ブログへの引用、タイトル、写真、及びすべての内容について、事実に相違することのないようにせよ。
  4. 主張、コメント、及び事実の報道の区別をつけよ。主張及びコメントは、事実として掲載してはならない。
  5. 事実とコメント、広告宣伝を明確に区別せよ。
  6. 間違いがある場合は素直に認め、直ちに訂正せよ。
  7. 利害関係、提携関係、行動基準を開示せよ。
  8. 広告提供者や特別の利益団体を特別扱いするな。またこれらの者からの記事内容に対する介入を拒絶せよ。
  9. 好意的取扱いを求めて情報を提供する情報源に対しては用心せよ。そのような情報を受け取る場合、好意の内容を開示せよ。
  10. ブロガーは、情報源とブログの対象を共に人間として尊敬の対象として、対処せよ。

2005年は、電車男に始まり、実録鬼嫁日記と続き、最近書籍化されて瞬く間に売れ行き第1位にランクされるようになった「生協の白石さん」「がんばれ生協の白石さん」、と日常生活に根ざしたブログが大人気となった。

もちろん、人気のある俳優やスポーツ選手のブログは、知名度があるが、上記のような無名の書き手による情報発信が人気を得るということは、個人の日常生活に近い、身近な話題が人々の関心事の一つであるという当たり前の事を再認識させた。

上記の生協の白石さんブログは、ブログ行動倫理基準10項目をすべてクリアーしている。日本中をなんとなく幸せにしてくれたという意味で、やはり、人を幸せにするブログが、一番の成功の秘訣と思った次第である。

鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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