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Q.ブログで会社をクビにされないための注意点は?

制服姿の写真の掲載でデルタ航空を解雇されたエレンさんのケース

さらに、「デルタ航空の客室乗務員のブログに関する解雇事件」は、米国で大きな関心を呼んだ事件である。

デルタ航空の客室乗務員エレン・シモネッティ(Ellen Shimonetti)さんは、約8年前からフライトアテンダントの職に就いていた。2003年9月に母親がガンで死亡したことから、2004年1月より、自己セラピーのつもりでブログを始めた。そのブログが、「Queen of Sky」である。

このブログは、仕事のこと、友人のことなど日常生活が記載されている個人の日記であったが、その中にデルタ航空の制服姿で航空機の中で撮影したエレンさん の写真が掲載されていた。この中には、客席の上に乗っかかって座ったり、足を組んだり、席でピザを頬ばる写真などが含まれていた。また、デルタ航空の社名やロゴが掲載されることはなかったが、見る人が見れば制服からデルタ航空という社名が特定できる内容であった。

2004年9月25日、エレンさんが帰宅すると留守番電話に会社からのメッセージが録音されていた。その内容は、すぐに会社に電話を入れるようにとのことで、急いで上司に電話をすると、「明日のローマ便に乗務する必要はない。理由は、君のウエッブ上の写真だ」ということを告げられた。10月に入り、人事担当者との面談で、エレンさんの職務停止の理由は、不適切な写真をブログに掲載したということであった。

エレンさんは、直ちに雇用平等委員会に対して、性差別を理由として告訴をしたが、10月29日にデルタ航空から解雇を言い渡された。

エレンさんは、デルタ航空に対して、性差別を理由に訴訟を提起したが、エレンさんがデルタ航空に勤務中の制服の写真をブログに掲載したことから、たとえ、掲載写真が不適切なものでなかったとしても、制服姿の写真掲載自身が問題となる内容ともいえよう。

つまり、個人ブログである限り、職場の写真の掲載は、どのような写真であれ、プライベートなものとはいえないのであり、会社はエレンさんの言論の自由を奪ったりしたものでもなく、また女性であることを理由とした解雇ではないと主張しうるからである。

上記のように、ブログが原因で会社を首になった人は、ブログの普及とともに増加傾向にある。

ネットにおける言論の自由の伸長とブロッガーの権利を擁護しようとして活動している電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)は、2005年4月6日、「ブログによって解雇されないためのガイドライン」を発表した。

上記のガイドラインを元に、サラリーマンがブログをする場合に、筆者が注意点をまとめたものが次のようなブログ鉄則7カ条である。

会社員がブログを公開する場合の「ブログ鉄則7カ条」
  1. ブログの記載内容から執筆者が特定される可能性があるような記述はしないこと(会社の同僚や友人、さらには、家族もブロガー当人の真意を知ってショックを受けるかもしれない)
  2. 勤務場所、自宅住所について特定できるような記載は避けること。まして、ブロッガーの本名や本人の写真を掲載してはならない(明確に個人が特定されても構わない場合以外は、匿名性が必要である)
  3. 同僚や友人のことを書き込む場合も友人の本名はもちろん、友人にわかるあだ名も避けること(友人のプライバシーも尊重しよう)
  4. 勤務中にブログに書き込んではならない(会社の同僚が見つけることになる恐れがある)
  5. ブログの更新に会社のパソコンを使用しないこと(ITオペレータや管理者がブロッガーを特定することになるからである)
  6. 会社の上司が、もし法律に違反する行為を行っていれば、ブログに書き込む前に、しかるべき監督機関に通報すること。その後にブログに書き込むのは構わない(単なるブログへの記載だけでは、会社の機密情報の漏洩とみなされる可能性がある)
  7. もし、ブログの内容が真実と相違する場合、ブロッガーは、訂正記事を記載すべきである(ブログが匿名性を持つ場合、記事内容の信憑性に疑いが生じる。記事内容の選択、確認、訂正という作業が加わって初めてブログの価値が高まるのであり、単なる裏付けもない本当か嘘か分からない事実の言いっぱなしでは、ブログの社会的価値が向上することは望めないと思われる)

以上述べたように、人の名誉を毀損(きそん)したり、人に危害を加えたり、ブログを悪用する以外は、言論の自由は憲法で保障されている。しかし、ブロッガーが記述したことでブロッガー自身が不利益を受けることまでは憲法は守ってくれないことを肝に命じる必要がある。

草の根の情報があまねく行き渡るように、ブロッガー自身も防御する必要があると同時に上記のような鉄則を遵守して、ますますブログが個人の発言の場として浸透することを希望したい。

鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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