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Q インターネットを利用した選挙運動の禁止はいつまで続く?ネット利用の禁止は公職選挙法の精神に反するもともと公職選挙法による文書図画の枚数制限は、財政的に余裕のある候補者が、金に糸目をつけずに葉書やビラを配布することを禁止して、できるだけ平等な条件で選挙活動をおこなうことを目的としたものである。ところが、小選挙区での候補者が、法律で定められた限度の葉書3万5000枚を出したり、ビラ7万枚を出すだけで、候補者の政策や考えを十分に伝達することが可能であろうか。 ひとつの小選挙区には、30万人から50万人程度の有権者がいるため、上記の数量の文書では、到底候補者の政策や考え方を有権者に十分に伝達することは不可能といわざるを得ない(参考、東京都選挙人名簿登録者数。したがって、毎度おなじみの選挙カーでの候補者名の連呼が行われるのが選挙の実態である。 公職選挙法によるインターネット禁止については、「今どきナンセンスな公職選挙法、ネットは解禁でなく義務化せよ」という立花 隆氏の意見は正に正鵠を得た指摘である。 個人のHPやブログは、草の根情報発信手段のひとつであり、さほどの費用をかけることなく、個人が私設新聞や私設放送局を設置することができるということであり、むしろ重要な民主主義実現の一手段である。特に選挙期間中は、候補者本人の政策や考え方を知りたいという有権者は多いと思われる。ただ単に顔写真と1行程度のキャッチフレーズを掲載したポスターや、内容が簡単すぎて十分な見解を記載できないビラよりも、HPやブログの方が、正確に候補者の考えを知ることができる。 むしろ、法定葉書きとビラの印刷・送付料などと比較すると、安価な費用で膨大な情報を発信することができるのである。しかも、トラックバック機能やオピニオン欄をもうけることにより、双方向の通信手段とすることができる。このように、安価で大量の情報を発信することができるというインターネットの利点を選挙運動にも利用することができれば、メリットが大であると思うがいかがであろうか。 海外では選挙活動にネットを利用するのが既定のルールブッシュ大統領自身も、ホワイトハウスのHPで選挙戦期間中の演説内容について、2004年11月2日の投票日の前日まで、逐一掲載していた。 これは、日本でいえば、小泉首相のメールマガジンに選挙演説が毎日掲載されるのと同じ意味を有する。既に欧米では、選挙活動にインターネットを利用するというのは、既定のルールである。 候補者のHPだけではなく、様々なメディアが、選挙に関する意見を発信していることは、2004年の米国大統領選挙選挙戦においてもブロッガーの存在がもはや既定のものとなっていることからも伺うことができる。 また、今年5月のイギリス議会の総選挙においても、与党労働党のHPは、トニーブレアー首相の毎日の動静をTony Blair’s diaryとして、HPに掲載した。 ネット先進国の韓国では、「相手候補の批判や候補者自身の虚偽情報を掲載しない限り、ホームページやブログを無制限に使用できる」(中央選挙管理委員会)「政党はネット対策本部を設置し、各候補のホームページでは会見内容などが投票日ギリギリまで更新される。2002年大統領選挙でノムヒョン政権誕生の原動力となったのもネットを通じたファンクラブだった」(以上、9月2日付け日本経済新聞の記事) 以上の通り、既に先進国においては、ネットを各種選挙運動に利用することは既定のポリシーであり、かたくなに葉書やビラの枚数制限に限定している現在の公職選挙法は、まったく時代に合わない古臭いものである。候補者や政党及びこれらを支援する草の根の市民が自由にHPやブログで意見を戦わせることこそが民主主義だと思う。いつまでも日本がネット後進国といわれ続けている一側面が選挙活動で如実に現われたものといえよう。 鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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