![]() |
|
|
|
Q.Google のMicrosoft技術者引き抜きで問われた競業避止義務の行方は?(2005/08/10 鼎 博之 弁護士)
第9問:MicrosoftとGoogleが、人材の引き抜きを巡って米国で裁判をしているとのことですが、結果はどうなったのですか。競合会社へのプロジェクト参加はそのまま認められるのですか。また、引き抜きから新会社での業務までの期間などで考慮されるべき点はあるのですか。 A:9月のヒヤリング日までプロジェクトに従事することを禁止する暫定的差し止めに インターネット業界における技術革新は、まさに日進月歩であり、最新の技術を獲得するためにいかに優秀なIT技術者を確保するかが、各企業にとって喫緊の課題となっている。技術革新と競争は、各分野で激しさを増しているが、競争の一つの場面がIT界の巨人MicrosoftとIT界の新星Google間で進行中である。 検索サービス競争の中で勃発したIT技術者の引き抜きGoogle、 Yahoo、 Microsoftをはじめとする検索サービス企業では、毎週のように新機能追加の発表が行われている。とくに地域検索や地図検索サービスは、広告宣伝効果が期待できるため、広告主が比較的つきやすいという特色をもっている。2005年に入ってからだけでも、概略次のような新機能発表ラッシュが続いていた。 2月9日、Google、地図サービス「Google Maps」のベータ版を提供開始 このような熾烈な競争の最中、Googleは、本年7月初め、元Microsoftの検索技術担当のヴァイスプレジデントKai-Fu Lee氏を中国に開設する研究開発センターの開発責任者に任命した。 この事実が明らかにされるや否や、7月18日、Microsoftは、Lee氏を相手に、同氏がMicrosoftとの競業禁止条項及び守秘義務に違反するとして、ワシントン州の裁判所に提訴した。同時にGoogleもLee氏が、競業禁止条項に違反していることを知りながら雇用し、中国の研究開発センターの開発責任者に任命することにより、違反行為に加担したとして、同社に対しても訴訟を提起した。 Microsoftが元ヴァイスプレジデントのLee氏を提訴Lee氏は、音声認識技術のエキスパートであり、1990年代の後半に、Microsoftの北京における研究所の責任者となり、後にMSNの検索部門で働いていた。Microsoftの主張によれば、Lee氏は、過去5年の勤務の間に、3百万ドルの報酬を受け取り、2004年には、百万ドル以上の報酬を得ていた。問題となった競業禁止及び守秘義務契約は、2000年に署名されたもので、当時Lee氏は、中国における開発問題には限定的にしか関与していなかった。 訴訟が提起されて10日後の本年7月28日、ワシントン州裁判所のSteven Gonzalez判事は、9月6日にヒヤリング期日を開くまで、Lee氏が、インターネット及びデスクトップ検索技術に関連して、Microsoftで働いていたと同様の製品、サービスまたはプロジェクトに従事することを禁止する暫定的差し止め命令を発令した。 同裁判官は、もしLee氏が、競業禁止条項及び守秘義務に違反するかどうかという法律問題が解決される前に、検索技術のリーダーであるGoogleの中国における研究所の要職に就任した場合、Microsoftの利益が害されるおそれがあると述べ、Lee氏が、中国におけるコンピュータ検索、音声認識技術、ビジネス戦略、企画開発業務に従事することを禁止した。 同時に同裁判官は、Lee氏またはGoogleがこのような活動の禁止をされたことが、本裁判で違法であったと認定されたときのために、損害賠償金の担保として、百万ドルを供託するよう命じた。Microsoftにとって、百万ドルくらいは、大した金額ではない。Googleの引き抜きに対する先制攻撃としては、十分な決定である。 差止め命令を受けたGoogleは、この命令に対して、Lee氏がどのような行為をすることが可能であり、またどのような行為をしてはならないのか、更に詳細なリストを明示するよう要求し、Microsoftは、まもなく詳細なリストを作成することになっている。Googleは、あくまでこの決定が暫定的なものであり、現状を追認しただけのものであること、さらに審理が進むにつれて、当事者の地位が詳細に判断されると信ずる、と述べている。 Gonzalez判事は、この訴訟の法廷における審理が、2006年1月9日に開始されると述べた。当該期日に法廷審理が開始されるまでに、当事者双方において、証拠の提出、証言録取など様々な証拠開示手続きが進行する(訴訟進行の予定に関する命令原文)。米国では、法廷審理が開始されると連日証人尋問が開始されるので、それまでの間に証拠固めの手続きがが実施されるのである。 next:競合他社への転職を禁じる合意は法律上有効か?…
|
ネットビジネスTODAYをご愛読いただき誠にありがとうございます。当サイトは2006年4月からはnikkeibp.jpのビジネススタイル面(http://nikkeibp.jp/style/biz/)に統合させていただくことになりました。4月以降も継続する連載コラムは、ビジネススタイル面でお読みいただけますので、引き続きよろしくお願いいたします。 |
|