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Q.「爆弾製造」「自殺者募集」など有害情報へのプロバイダーの対応は?有害サイトと表現の自由の境界線また、今回の対策は、プロバイダーに対して有害違法情報に対する自主規制を求めていることから、「『有害サイト』とはいえ、違法とまで言えるのかどうか、グレーゾーンのものも多い。政府が過度の規制をすれば、表現の自由を侵すことになりかねない(6月30日の朝日新聞の解説)」との指摘がある。 表現の自由との観点から指摘すべきなのは、未成年者保護の観点である。表現の自由は、何が有害か違法かについて、正常に判断することができる成人については適用されても、何が有害か正常に判断することが期待できない未成年者には適用がないと言うべきである。特に、日本では「児童買春・児童ポルノ防止法」がすでに平成11年11月1日から施行されている。 日本では、児童ポルノに対する規制など年少者に対する規制が諸外国と比較するとはなはだ緩いといわざるを得ない。表現の自由を強調する対象を明確にすべきであり、学校や家庭においては、できるだけ有害情報から未成年者を守るという観点を忘却しないようにする必要がある。従って、未成年者を読者対象にした出会い系サイトなどに表現の自由が適用になるという意見には賛成しかねる。 プロバイダー責任制限法により、他人の権利を不当に侵害すると信じるに足りる相当の理由があったときに、そのような情報を削除してもプロバイダーは損害賠償の義務を問われないという扱いになっているのであるから、未成年者保護に著しく反する情報は削除しても問題ないというべきであろう。 また、政府も当面の対策として掲げている有害情報から未成年者を遮断する方法としてフィルタリングソフトウエアなどの普及が望まれる。フィルタリングソフトウエアは、かっては、会社や学校などの団体用の高価なものが中心であったが、現在は家庭向けの商品も多数発売されている。小学校では、経済産業省と総務省が所管する財団法人のサイトから無料でダウンロードすることができることになっており、すでに9割に普及しているが、家庭における普及率は、わずか1%程度にすぎないといわれている。 法的規制に加えフィルタリングソフトが重要なカギ握る6月30日付けの日経産業新聞によると、デジタルアーツ社は、データベースに登録されている爆弾製造法や刺激的な画像など1億2000万のサイトに接続できなくなるソフトウエアを販売しており、しかも、エンジニアが、毎日疑わしいサイトを一つひとつ目でみて閲覧制限ソフトを作成するという。ネットスター社も家庭用URLフィルタリングソフトの無償提供を7月1日から開始する。 このようなフィルタリングソフトを常時更新するため、エンジニアは、イラクで行方不明になった日本人男性の殺害映像がインターネット上に公開されたというニュースが流されれば、そのような画像情報も閲覧制限にかけるかどうかを判断するために実際に目で見なければならない。 アダルト画像、グロテスク画像、脱法ドラッグ、援助交際あっせん、カルト、テロリズム、犯罪、ギャンブルなどなど、すべてのアンダーグランド情報に目を通すというのは不可能だ。気が遠くなる作業であるが、インターネットという無限大の世界におけるこのような作業も有害情報から弱者を守るという意味では、必要な一里塚といえよう。 また、普及数が、約8800万台となり、もっとも身近なインターネット接続機となった携帯電話についても上記の有害情報に対する対策が必要であろう。 携帯電話端末を販売するNECは、本年4月から、社会貢献活動の一環として、携帯電話のネット安全教室の全国展開をしているという(産経新聞7月4日付記事)。この教室は、NPO法人日本ガーディアン・エンジェルスと共同してネットにおける安全な使用方法を子供たちに紹介している。教室では、携帯電話に熟達した社員を中学校に派遣し、携帯電話のマナーから著作権、肖像権に至るまで解説しているという。 また、NTTドコモも、ケータイ安全教室を展開しているほか、出会い系サイトなどの携帯からの閲覧を制限できるサービスを開始するという。閲覧制限を解除できるのは保護者のみで、フィルタリングソフトの普及もあわせて、親や保護者の知識普及が必要となる。 以上のとおり、有害違法情報の規制は、サービスプロバイダーやPCメーカ、携帯電話メーカー、携帯電話会社、そして、両親や保護者などさまざまな関係者の協力によってはじめてなし遂げられることである。 プロバイダー責任制限法の利用は、あくまでその中のひとつの手段であり、インターネット教育というネット利用者に対する教育と合わせて、インターネット時代を生き抜く方法として活用する必要がある。 鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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