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Q.ブロガーにジャーナリストとしての「取材源の秘匿特権」はあるのか?

一般のブログ記事に「取材源の秘匿特権」があるのか?

上記のジャーナリスト/ブロガー/レポーターの行為に対して、ジャーナリストの情報秘匿権が認められるか否かの問題に対して、2005年3月11日、裁判所は次のとおり判断した


「異議申立人は、ジャーナリストであると主張している。この主張は、情報の取材源を開示する義務を有しないというジャーナリストの特権による保護を求めているからである。何がジャーナリストであるかを定義することは、今日メディアの種類が多岐にわたっていることから大層困難な事態となっている。しかし、例え、異議申立人が、ジャーナリストであるとしても、これはフリーパスを意味しない。ジャーナリストの特権は絶対的なものではない。例えば、ジャーナリストは、犯罪に関係する情報の開示を拒むことはできない。犯罪に関与している秘密情報の提供者の氏名を、匿名にしていることは、刑事訴追を回避したいとの要求があるためであろうが、この要求は理解できるにしても憲法上保護されることはできない」

「…デイスカバリーの要請と情報源の開示特権の関係は、バランスの問題であるが、…本件では、営業秘密の不正漏洩を保護する公共の利益が存在するかが問題である。異議申立人は、公共の利益について説得力のある理由を示していない。…カリフォルニア州の保護法(The Shield Law)は、極めて特殊であるが、これは、報道に従事する者に対して、特権を与えるものではなく、法廷侮辱罪からの免責を与えているのみである。この基本的区別は、誤って解釈されることがあり、ニュースに携わる人々や裁判所においても、誤解されることがある」

窃盗された秘密情報に秘匿特権はない

異議申立人が、引用するカリフォルニア州証拠法1070条は、この点に関して極めて明確に規定している。


■カリフォルニア州証拠法1070条(a)

『新聞、雑誌、その他の定期刊行物発行会社、または報道機関、報道サービス機関に雇用されている者、または関連する出版者、編集者、またはその他の者は、司法手続き、立法過程、行政手続き、またはその他、召喚状を発行する権限ある機関から要請された、新聞、雑誌、その他の定期刊行物に関して取得したいかなる情報に関する情報源の開示を拒絶したこと、あるいは、公衆に対する報道目的のために入手、収集の準備、入手中あるいは処理中の未発表の情報の開示を拒絶したこと、を理由として、法廷侮辱罪に問われないものとする。』

「上記認定した事実関係のもとで、オグレイディ(O’Grady)氏は、デイスカバリーに対する召喚義務を免れるものではないと判断する。彼が、ジャーナリスト/ブロガー/レポーターに該当するどうかについて、本件基本的法律問題を判断する上で決定する必要性はない。なんぴとであれ、刑事法令に抵触する行為を許容するライセンスを与えることはできない」

「…アップル社の営業秘密に関する主張が事実であると仮定した場合、漏洩された情報は、営業秘密保護法3426条及び刑法499条Cに規定する情報に該当する。本件は、窃取されたものであり、ハードドライブに記憶された情報を含むラップトップコンピュータと同じような有体物である。Web siteに掲示された情報は、なんら形式を変えることなく、また誰がそれを受領したか否かによりなんら形式を変えない。秘密の情報を漏洩した者と、それを受領した者の間を仲介した者にフェンスを作ることはできない。」

「…結論としては、営業秘密保護法及び刑法について、ジャーナリストであれ、その他の者であれ、例外を設けるわけにはいかないのである。…一般人の健康、安全、福祉に悪影響を与える内部告発や公務員の不正を暴露する場合と異なり、本件異議申立人の行動は、公衆の貪欲な情報の要求を満たす以外のなにものでもない。…本裁判所は、意見やアイデア、将来に対する予測、知られた事実の分析の交換などをなんら制限する意図を有するものではない」

「以上の理由により、本裁判所は、異議申立人の保護命令を拒絶する。」

日本では、総務省の発表によると、本年3月末時点で、ブログ利用者が、335万人に達し、ブログ閲覧者も1651万人に達したとのことであるが、米国ではすでに、2004年12月末までには、3200万人がブログをみているとの調査結果が出ている。

このように、ブログ自体の社会的な認知度が高まると同時に、ブログと既存ジャーナリストの区別自体が、あいまいなものとなってきて、様々な法的問題も出現するものと思われる。既存ジャーナリストの取材源の秘匿が許されるか否かについては、国民の知る権利と公務員の守秘義務との関係で日本でも憲法論争がなされた(外務省秘密漏洩事件最高裁判所判決昭和53年5月31日判決、判例時報820号26頁)が、米国の上記裁判所の判断も日本の将来を占うものとして注目に値すると思う。

鼎 博之(かなえ ひろゆき)
国際取引、企業法務、M&A、技術援助、ソフトウエアライセンス契約、ジョイントベンチャー、知的所有権を専門とし、第二東京弁護士会紛議調停委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、常議員、綱紀委員などを歴任。ニューヨーク州での弁護士資格もあり。著書には、「会社役員の仕事」(共著、中央経済社・2003年)「Q&Aでわかるネットビジネス法律相談室」(共著、日経ネットビジネス・2000年)「電子商取引に関する日本の法制度」(共著、コマースネット ジャパン・1999年)ほか著書多数。新東京法律事務所所属。
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