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Webサービスとブログの関係(関 信浩=シックス・アパート代表取締役)
ブログをマーケティングやEC(電子商取引)に利用するということは、ブログをメディアとしてとらえることにほかなりません。最近ではCGM(コンシューマ・ジェネレーテッド・メディア)という言葉もあるようですが、あくまで書き手(ブロガー)が主人公のメディアです。 一つひとつのブログは小さく、記事の質・量ともに必ずしも安定したものではありません。しかし、ブログの数は、既存メディアに比べて圧倒的に多いため、ブログ全体で見れば、既存メディアに引けをとらない量の記事が読まれているでしょう。 ブログを使ったマーケティングを実践する際の最初のカギは、商品をブログで話題にしてもらうことです。ポジティブなトーンで話題にしてもらおうと思ったら、ブロガーの視点に立ち、ブロガーにとって有益な情報やサービスを提供する必要があります。 ブロガーが必要としているものとは何でしょうか。新聞や雑誌の記者はプレスリリースや取材を基に記事を書きます。同じようにブロガーにも、ブログを書く手助けとなる「ツール」が不可欠です。ブロガーは職業記者ではありませんので、情報の収集に手間やコストをかけることができません。ですから、ブロガーが簡単に情報を収集し「記事を執筆」できるような仕組みを提供することが喜ばれます。 ブログを書きやすくする工夫アマゾン・ドット・コムが提供する商品情報を、簡単にブログに取り込むツールが多くのブログサービスで提供されています。ブログで書評を書く場合、 書名や著者名、出版社や書籍のカバーページ画像などを利用したくなるのがブロガーの心理でしょう。ツールは、こうした作業を容易にしてくれます。これま で、こうした情報を収集してブログに反映するのは手間のかかる作業でした。こうしたツールが、ブログの記事執筆を簡単にするツールの代表例でしょう。 シックス・アパートが提供するブログサービス「TypePad」にも、アマゾン・ドット・コムのシステムから商品情報を取り出し、簡単にブログに反映できる「TypeList」という機能があります。 アマゾンが提供するシステムは、アフィリエイト(アマゾンでは「アソシエイトプログラム」という名称で呼んでいる)と結びついていたので、ブログを 書いてアフィリエイト収入を得ることがブロガーの唯一のインセンティブのように見えます。しかし、記事を書く手間を軽くする機能を提供していることも、ブ ロガーにとって大きなインセンティブになっているのではないでしょうか。 ちなみにアフィリエイトというのは、ブロガーが書いた書評を読んだ顧客が、書評ページにあるリンクを伝ってアマゾンのWebサイトにアクセスして該当する本を購入した場合に、売り上げに応じてアマゾンがブロガーに紹介料を支払う仕組みのことです。 Webサービスを使って情報を取りやすくするアマゾンのシステムが画期的なのは、商品情報のデータベースを「Webサービス」と呼ぶ仕組みを使って公開しているからです。 Webサービスはインターネットを使って他のコンピュータにアクセスするための仕組みの一種です。この仕組みを使えば、アマゾンが持つ商品情報データベースにインターネット上のWebの仕組みを通じてアクセスし、ブロガーがさまざまな情報を取り出して再利用することが容易になります。 Webサービスは、アクセスするためのインターフェースが公開されています。このため、だれでも比較的容易に、アマゾンの商品情報を取り出すツールやソフトを作成することが可能です。従来型の仕組みでは、インターフェースの仕様が非公開であったり、アクセスに制限があったりして、限られた人しかアクセスすることができませんでした。 Webサービスを使うと、データベースから得た情報を加工や再利用することも容易になります。Webサービスでは、「XML(エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ)」などの記述言語を使ってデータを構造化してあるためです。HTML(一般的なWebサイトのページを作成するのに使う記述言語。ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージの略)でデータが記述されていると、人間が読んで内容を理解することはできますが、システムに読み込んでデータを再利用することは困難です。 Webサービスを公開して、自社の製品情報などを公開できれば、広く散らばっている多数のブログに効率的にリーチすることが可能になります。アマゾン・ドット・コムは、Webサービスでアクセス可能にした情報をアフィリエイトに利用し、ブロガーが積極的に自社の情報をブログに掲載する素地を作り、多くのトラフィックをブログから自社サイトに誘導することに成功しています。ただし、アフィリエイトとの連携は一例に過ぎません。 自社の情報とブログとの連携手段の一つとしてWebサービスを利用することは、ブログを使ってマーケティングをするときの、有効な手段の一つになるのではないでしょうか。
関 信浩(せき のぶひろ)
シックス・アパート株式会社 代表取締役(米Six Apart Ltd. Executive Vice President & General Manager of Japan)。 1969年10月 東京生まれ。1994年 東京大学工学部卒。1994年〜2003年まで、技術系出版社で編集や事業開発に従事。1995年 カーネギーメロン大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。カーネギーメロン大学在学中に、ビジネスプランコンテストで特別賞などを受賞。2003年12月 シックス・アパート株式会社を設立し代表取締役に就任。
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