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ブログ利用の三つのフェーズ(関 信浩=シックス・アパート代表取締役)
企業によるブログ利用を考えた場合、三つのフェーズがあると思います。 第1フェーズは、コーポレートメッセージを効果的に発信するためにブログを利用する段階。ライブドアの堀江貴文社長やニフティの古河建純社長がブログを使って情報発信しています。これらが典型例ですね。 「社長」の名を持ったブログは、等身大の企業の姿を一般の人に知ってもらうのに有効な手段でしょう。しかも発信できるのは企業情報にとどまりません。「頻繁に更新する」というブログの発想を取り入れれば、顧客に対してタイムリーな製品情報を発信することも可能になります。宝酒造や日産自動車がこうした取り組みを実践しています。 Webで発信される製品情報の多くは、いまだに製品発表時のものに限られているのではないでしょうか。これは、技術的な難しさや社内体制の問題などのさまざまな制約のために、タイムリーな情報発信が難しいからでしょう。ブログを利用することで、こうした制約の一つを解消することができます。 第2フェーズは、より効率的な双方向コミュニケーションを、企業と顧客、顧客と顧客の間で実現するものです。企業がブログで情報を発信し始めたのと並行して、一般ユーザーもブログで情報を発信し始めています。同じテーマのブログ同士を、リンクやトラックバックの仕組みを利用してつなげれば、ポータルサイトのようなものが作れます。双方向コミュニケーションがより活発になるわけです。 ブログを売り込むブログポータル一つ、例を挙げましょう。インターネットサービスプロバイダやポータルサイトが「ブログポータル」というものを作っています。@niftyの「ココログナビ」やOCNの「Blogzine」が その代表です。これらのサイトは「ブログという手段を使って、ブログという商品を紹介している場所」と考えることができます。具体的には、ブログの楽しい 使い方などをブログを使って紹介することで、ブログについて知ってもらい、ブログを利用する人を増やす、という仕組みです。 同じようなことは、ブログを使ってブログ以外の商品、例えばデジカメや携帯電話といった製品や、旅行などのサービス商品を紹介することもできるでしょう。あなたの会社の商品に関する情報をブログを使って多くの人に知ってもらうのです。例えば有名人に利用してもらって、ブログを通じてその商品の良さを語ってもらう、といったことが可能でしょう。一般のユーザーにも商品について“ブログ”してもらい、それらの情報がワンストップで見られる商品ポータルを作る、といった具合です。 これらのステップは、商品の「ファン」を作る効果だけでなく、顧客満足度やロイヤルティを維持する効果(リテンション効果)も持つでしょう。 ここで気を付けた方がいいのは、ポータルを利用するユーザーを、ブログサービスで囲い込まないことでしょう。例えば「このポータルに参加するには、弊社のブログサービスを利用する必要があります」というようなことは避けた方がいいでしょう。すでに多くの人がブログを利用し始めています。より多くのユーザーに門戸を開くことで、より効果的なマーケティングが可能になるでしょう。 余談ですが、ブログが独自規格の日記サイトなどと比べて速く広く普及したいちばんの理由は、だれでも利用できる業界標準のプロトコル(規格)を採用しているからだと思います。異なるブログサービス上のブログに対してトラックバックが打てるのは、各ブログサービスが、業界標準のオープン規格を採用しているからです。もしブログサービスごとに異なる独自仕様を使っていたら、ブログは広く普及しなかったに違いありません。 顧客ロイヤルティを向上企業によるブログ利用の第3フェーズは、企業に存在するさまざまな情報を、一般の人がブログを通じて自由に利用できる仕組みを整えることです。 顧客のロイヤルティ向上にスポットを当てるのであれば、自社製品のユーザーに自社のブログを無料で利用してもらう、というのも決してムダではありません。自社のブログを利用してもらうことで、結びつきを強めることができるからです。例えば、デザインを利用しもらうことが考えられるでしょう。自社製品をあしらったデザインを多くの人が使ってくれれば、それだけでもプロモーション効果があります。 さらに、自社のブログサービスであれば、ブログの機能を通じて、顧客にさまざまなサービスを提供することができます。例えば自社製品の画像や仕様データを簡単にユーザーが再利用できる仕組みをブログサービスに組み込めば、自社製品についてのブログ記事が自然と増えていきます。もし自社内にカタログ情報のデータベースを持っているのであれば、それを一般ユーザーが容易に利用できる仕組みをつくることが考えられます。 こうした仕組みの先駆者は米アマゾン・ドット・コムです。アマゾンは、社内に持つ商品データを検索・再利用できる仕組みを外部に公開することで、多くのブログが、書籍を簡単に紹介できるようになっています。 アマゾンは、「Webサービス」と呼ばれる仕組みを使ってこの仕組みを実現しています。次回は、Webサービスがブログ・マーケティングに与えるインパクトについてお話します。6月20日の掲載予定です。
関 信浩(せき のぶひろ)
シックス・アパート株式会社 代表取締役(米Six Apart Ltd. Executive Vice President & General Manager of Japan)。 1969年10月 東京生まれ。1994年 東京大学工学部卒。1994年〜2003年まで、技術系出版社で編集や事業開発に従事。1995年 カーネギーメロン大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。カーネギーメロン大学在学中に、ビジネスプランコンテストで特別賞などを受賞。2003年12月 シックス・アパート株式会社を設立し代表取締役に就任。
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