うつ病Q&A
うつ病Q&A

2012年12月16日に開催された「メンタルヘルス・シンポジウム 2012 東京」。会場参加者から寄せられた質問に、パネリストの先生方にお答えいただくコーナー。7回目は、前回と同じ質問に、帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授の張賢徳氏に回答していただいた。

コンサルティング業 女性

復職を成功させるために、復職のタイミングや本人の状態について、企業人事としては本人の上司と共に産業医とも連携して、本人の主治医と面談し、本音ベースで本人の回復状態を知りたいわけです。復職よりも復職後に再就職しないことが大切です。しかし、守秘義務や立場の違いによってか、本人の復職希望が最大に尊重されることが多く、短期間で再発→休職という事態が起こって職場が混乱してしまいます。これを防ぐために、人事として主治医の先生に、どのような働きかけをするのが効果的でしょうか。

まず、外部の医療機関の主治医の立場として患者さんサイドに立ちます。一方で会社は、もちろん患者さんのことも考えていますが、働く場ですから、本人の復職やそれが継続できるのかについて知りたいのは当然のことです。そして間に位置するのが産業医です。

次に、復職のタイミングついてですが、基本的には外部の主治医が出す「復職可」の診断書から始まります。これは、医学的に見て病状がよくなっているということですが、それがイコール職場に復職できることとは限りません。そこで本人の申し出や主治医の診断書を100%尊重するのではなく、産業医や人事部、上司の評価も聞いていく、このようなプロセスを踏みます。

それぞれの立場で違いがあるのはやむを得ませんが、一番大事なのは、患者さんの長期的な経過や回復です。短期的には、「ここまでに復職しなければ、療養期間が満了で会社にいられなくなる」と、患者さんに切羽詰まった事情を話されたり、泣きつかれて、主治医として正直なところちょっと自信がないが…と思いつつも診断書を書いてしまう医師もいると思います。

しかし、患者さんの長期的なベネフィットに立てば、復職して本当に仕事ができるのかというチェックは、人事や労務、産業医でしっかりやっていく。その際にオープンに話し合うことが一番の解決策です。

しばしば起こるケースとして、本人に内緒で産業医に、あるいは本人抜きで外部の主治医に話が来たりしますが、これが最もよくない方法です。確かに、誰でも悪者にはなりたくないでしょう。しかし本人にきちんと伝えなければならないこともあります。短期間でまた再発し、休職するデメリットの方が大きいわけですから、そうしたことを本人にも伝えるべきです。

復職のタイミングと同様、本人を含め、主治医、産業医、人事など、さまざまな立場の人たちが集まり、一緒にディスカッションするのが1つの答えになるのではないかと考えています。