うつ病Q&A
うつ病Q&A

2012年12月16日に開催された「メンタルヘルス・シンポジウム 2012 東京」。会場参加者から寄せられた質問に、パネリストの先生方にお答えいただくコーナー。2回目は帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授の張賢徳氏に回答していただいた。

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会社としてはなるべく休職者を出したくないと思っています。ただ、勤怠の悪さや、本人の変化などから人事で面談し、その後、心療内科に受診し、診断書が発行され休職になるケースが多発しています。抑うつ状態で自宅療養という診断書も少なくないです。若い社員は休職期間で大切な成長の機会を逃すとともに、同期との差を感じ、また、うつ病の要因となることもあります。軽症の場合、面談(普段の面談、休職中の面談)で長期休職にならないようにアドバイスすることはありますでしょうか。

診断書が出るということは、やはり病的な状態であろうと医学的には考えられます。ですから、単なる怠けではないと思います。怠けているのか、病気なのか、その見分け方について、よく質問を受けますが、一番のポイントは元々どのような状態であったかです。元々そうであれば怠けでしょう。しかし、ある時期から勤務態度が悪くなったり、変わってきたのであれば、何かが起こっていると考えるのが自然で、その時期からうつなり、抑うつが始まっていることになります。医療機関を受診させて診断書が出てくるのであれば、軽いレベルであっても、やはり広い意味ではうつ病であると思います。

初期対応としては受容的に捉えることが大事です。講演でも強調しましたが、若い人なら「新型で甘やかしてはいけない」という短絡的な捉え方で接するのではなく、まずは診断書通りにしばらくは様子を見るということでいいと思います。

それから、もう1つの質問の問題点は、長期休職になることについてです。質問された方が素晴らしいと思うのは、長期休職が悪いのではなく、それによって若い人にデメリットが大きいと捉えていることです。成長しなければならない時期に休んでいるのはもったいないという思いが込められていて、そこは私も賛成です。ですから、まずは受容的に接して、ずっと休ませるのではなく、どこかの時点でお尻を叩いて、復帰を促して成長させていくことは賛成です。

時期については個々の事例性が高い問題なので、一律に何カ月休ませればいいとはなかなか言えないと思います。ただ、総論としてはあまり長く休ませるのは確かによくありません。

会社によっては非常に厳しく、「完全によくなってから出社してほしい」「復職する以上はバリバリやってもらう」などと言ったりします。講演の最後にお話しましたが、そこは山本五十六元帥を思い出していただきたいと思います。山本五十六元帥も育てるという視点で人を育てました。

今の20~30代に対して「私たち40~50代はバリバリやってきた」といった根性論はもはや通じないと考えた方がいいでしょう。つまり、リーダーなり上司が意識を変えていかなければなりません。それが受け入れるときに重要なポイントです。

もう1点、多発についてお話します。これは個人の問題に帰するのではなく、職場環境を1度見直してほしいと思います。私が関わっていた企業の特定の部署で多発するケースがありました。その部署の部長はとても厳しい方でしたが、部全体の業績は非常に優れていました。会社にとっては、慈善事業をやっているわけではないから、利益を出してくれるところがいいわけです。そうなると何が大事かというと、やはり適材適所です。バリバリやれる部署でバリバリやれる人をそこに配置する一方で、ついていけない人をそこに戻すのは酷な話で、適材適所を考えていくことが、人事や上司が考えていくべき重要な点であると考えています。