うつ病Q&A
うつ病Q&A

保険会社 産業医(精神科) 男性
うつ病の「多様化」が注目されています。私見ですが、うつ病は過剰なストレスなどの1つのコーピングスタイル*)ではないかと思います。疾患が多様化したのではなく、人のあり方が多様化したために、反応として出現する症状が多様化したのでは、と考えています。樋口先生のご意見をお聞かせください。
*)コーピングスタイル:コーピング(cooping)とは、問題やストレスを評価し、対処しようとすること。

いただいたご質問については、しばしば同様のご指摘を受けます。実はうつ病自体がさまざまなものを含んでいるため、一言で説明することが難しい側面があります。言葉として「多様」と言われれば、多様ということになりますが、もともとうつ状態になるのは、うつ病だけではありません。「そう」と「うつ」が交互に現れる「双極性障害」のほか、「適応障害」でもうつ状態になります。

また、ご指摘のように、ストレスに対する対処の仕方をコーピングに置き換えていけば、特に適応障害においては非常に有効な手段となります。そうした関わり方を身につけていくことによって、同じようなストレスがかかったときにも、うつ状態にならずに済ませることができます。

それから、最近皆さんもよく耳にする機会が増えている「認知療法」や「認知行動療法」という心理療法があります。これは、うつ病から回復した人がまた再発することが問題になっていますが、回復してからも継続して行う、一種の学習です。認知療法は、うつ病の再発を予防する方法ともいえます。

さまざまなうつ状態を、一つにまとめてうつ病と呼んでしまうと、対処の仕方が適切ではないことが起こるため、うつ状態になったとき、これは「双極性障害」なのか、いわゆる「うつ病」なのか、「適応障害」なのか、あるいは「甲状腺機能障害」からくるものなのか。どういううつ状態なのかを見極め、それぞれに応じた対処の仕方が必要になっていくと考えています。