うつ病Q&A
うつ病Q&A

保健師 女性
メンタルヘルスへの取り組みは企業のCSRとしても重要かと考えます。しかし、まだまだ企業にとってメンタルヘルスは「対策」するものという意識が強く、何か問題があったら対処する=何も起こらなかったらしなくてもいい、という場面を感じることがあります。
社員の健康について心身ともに良好な状態で働けるような体制、健康診断が法定されているようにメンタルバランスも同じ重要さを持っているということを理解してもらうために、どのようなポイントから周知、啓蒙していくのが良いでしょうか。
“面倒な対策”ではなく、社員の心身の健康のため、会社はこんな“素敵な姿勢”を取っているよと、管理職やトップに考えてくださるのが理想なのですが。
勉強会のテーマを検討する際も、セルフケアではなく、困っている現場の自分たちがまずどうすればいいかを中心にして欲しいとの声も聞きました。

確かにご指摘のようなことが少なくないと思います。メンタルヘルスへの認識がまだ乏しい経営者、管理職者層へのアプローチとして私が心がけていることが2つあります。

1つ目は、企業にとっての「リスクマネージメントとしての必要性」を伝えることです。これまでの判例などを紹介して、メンタルヘルスマネージメント研修がなされていない場合に企業および管理職にどれだけの影響が生じるかを理解してもしてもらうためです。

管理職が誠意を持って対応したにも関わらず、メンタルヘルスの知識が不足していたために従業員のメンタルヘルス不調に気づかず、そのために従業員が自殺してしまったケースにおいて、企業のみならず管理職までが安全配慮義務を怠ったとして多額の賠償責任を求められた判例などを紹介し、企業や管理職にとってメンタルヘルスの知識が不可欠であることを知ってもらうようにしています。

2つ目としては、従業員のメンタルヘルスへのアプローチによって、「企業にとってのポジティブ」な面を知ってもらうことです。従業員のメンタルヘルスが良くなることが、企業の医療費の削減、そして、企業の業績の向上にも大きく貢献することを理解してもらいます。米国の大手企業のほとんどが EAP(Employee Assistant Program)を導入しており、その結果として非常に大きな効果を出していますので、その例なども紹介します。

従業員の適性にあった仕事の割り振り、職場のコミュニケーションの改善、チームワークの向上、従業員のモチベーションの向上などもメンタルヘルスマネージメントの大きな機能です。このようなアプローチが企業の業績向上に大きく関わることを知ってもらうことも重要と考えています。

最後に、勉強会のテーマですが、管理職研修にあたっては、研修の目的は従業員のためになり、ひいては管理職の負担を減少させるものでもなければならないと思います。メンタルヘルス不調者への対応が正確に理解されていないために、管理職にとって負担が大きくなってしまっていることがほとんどです。管理職が困っている事例をとりあげて、その対応方法を教示できるような勉強会にすることは、管理職の負担の軽減と同時にメンタルヘルスマネージメントへ取り組むモチベーションを上げるためにも非常に有効な方法と考えています。私は勉強会の事前に出席者に困っている事例に関してアンケートを行い、プライバシーに配慮して適当な加工をした上で、それらの事例への対応方法を教示する勉強会もよく行なっています。