-

- みんなのメンタルヘルス総合サイト
厚生労働省が開設するこころの病気の総合情報サイト。うつ病をはじめとした代表的な「心の病気の解説」「症状から探る心の病気」「治療に役立つ情報」「政策の方向」といったカテゴリーで、メンタルヘルスのいろはがまとめて紹介されている。
同省が開設するメンタルヘルスのHPでは、もう1つ「こころの耳」がある。こちらが主に職場におけるメンタルヘルスを扱っているのに対し、このサイトは仕事の有無、年令、さまざまな重症度も想定し、あらゆる層の患者を対象にしている。
日曜や夜間に対応する地域の精神科救急情報センターの紹介や、お金で困ったとき、住居で困ったときなどの支援、仕事をしたい人に対するジョブコーチ支援(ジョブコーチと呼ばれる専門の職場適応援助者が一緒に職場に出向き、仕事のコツを教えるなどする)や職業訓練までさまざまな行政支援が網羅され、必要な情報にリンクできるようになっている。
思い悩んでいるときに、いずれかの情報が救いになるかもしれないし、家族が問い合わせるのもよいだろう。それにしても、さまざまなメンタルヘルス施策があるとわかって驚いた。国が心の病気に対して危機感を持っていることが伝わって来る。
- 躁うつ病のホームページ
躁うつ病の研究者で知られる理化学研究所脳科学総合研究センターの加藤忠史氏が開設している個人サイト。新しい薬など、専門的な内容が一般向けにわかりやすく紹介されている。患者の評価も高いことで知られる。内容としては躁うつ病(双極性障害)がメインだが、うつ病との違いなどもわかりやすく紹介されている。うつ病だと思っていたら、実は躁うつ病だったというケースもある。こうした人にうつ病の薬を処方すると悪化する。躁うつ病を知ることはうつ病を知るためにも重要なのだ。サイトには患者や家族からの相談コーナーもあり、「躁状態になった家族が借金を作ってしまった」「彼女がうつ病になってしまった」など問い合わせにも丁寧に回答している。このサイトで勇気を得る患者も少なくないだろう。- ELECTRIC DOC
産業医の難波克行(かつゆき)医師が開設しているサイト。総合病院に勤務していた同氏は「働く人たちと現場を見る」ことのおもしろさにめざめ、産業医になった。富士ゼロックスに勤務後、現在は中外製薬の統括産業医として従事しているという。サイトには難波氏の趣味であるITの情報も多いが、それはとばして、カテゴリーの中の「産業医」のページへいってほしい。産業医の仕事とは何か、産業医は会社の味方なの社員の見方なのか、など産業医に対して誰もが抱く疑問について自身の考え方が掲載されている。また、メンタルに問題のある社員に対して、上司はどのように声をかけて産業医につなげばよいか、などが具体的な事例で紹介し、職場復帰についての手順についても専門的な資料とともに解説してある。産業医がどんな仕事なのか、その一端がよくわかる。- Dr林のこころと脳の相談室
精神科医で「擬態うつ病」(宝島社)の著者でもある林公一氏が開設しているサイト。うつ病やアルコール依存症など、代表的な13の精神疾患について「病気の原因や症状」「家族の対応」「関連図書」などについて解説している。うつ病については特に解説が詳しく、自己診断法も掲載してある。同氏は、「うつ病は薬を中心とした治療で8,9割以上が2〜3週間で快方に向かう。ただ一番の問題は、うつ病の人の半分以上が治療を受けていないことです」と断言する。「大した病気ではないが、治療をしなければ悲惨な病気だ」とも……。
だからこそ、医師の診断能力も重要であり、うつ病と外見は似ているが本質は異なる「擬態うつ病」を問題視しているようだ。本当はうつ病ではないのに都合上、抗うつ薬を処方される患者が増える中で、「本当にうつ病としての支援が必要な人が誤解されることがあるのではないか」と警鐘をならしている。
精神科QAのコーナーでは読者からのさまざまな質問に回答している。患者からの質問はもちろんだが、産業医や家族からの「復職」に関する相談も多く、参考になる。- 日本認知行動療法学会
うつ病の精神療法として注目される「認知療法・認知行動療法」は復職(リワーク)プログラムの中でも広く実施されている。ではどんな療法なのか?「認知療法は認知のゆがみを修正する治療」などといわれてもピンとこない人が多いのではないか。そんな人に向く、この療法について詳しく知ることができるサイト。学会のホームページなので、大半は専門家向けの内容だが、一般の患者向けに「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル」が紹介されており、ここが役に立つ。療法がどんな人を対象に、どのように行われるかが22ページにわたって記載されている。治療の中で、患者が出来事や気分について自ら記載する「自動思考記録表」も掲載されており、言葉ではイメージしにくいこの療法の全体像を知ることができる(臨床現場で使われるうつ病チェックシートも添付されている)
- 東京都精神医学総合研究所
心の病気の治療、研究施設として知られる東京都精神医学総合研究所のホームページ。一見難しそうに思えるが、一般向けの情報も満載。「うつ病の原因究明と治療法」など最新の研究プロジェクトについて紹介されているほか、都民講座の案内なども掲載されている。「身近な医学研究情報コーナー」には、児童精神科の猪子香代氏が、「子どものうつ病」をテーマにコラムを掲載している。同氏は早くから子どものうつ病の問題に取り組んできた。短いコラムであるが、子どものうつ症状は大人のうつ病とは異なる部分も多く、早期発見の重要性に気づかされる。子どものうつ病についての情報サイトは少ないので、同ページに今後、新しく情報が追加されることを期待する。
-
- UTU−NET 「うつをこえて」ホームページ
一般診療科やコメディカルスタッフを対象に、うつ病の治療、予防を啓発する「一般社団法人 うつ病の予防・治療日本委員会」(JCPTD)が運営する一般向けサイト。雑誌でいえば、うつ病の総合誌といった印象だ。心の不調を心配する人に、精神科の受診の流れをわかりやすく説明。女優の音無美紀子さんや俳優の竹脇無我さんなど有名人の「うつ病克服体験談」も満載。気になったら病院検索にアクセスできるようになっている。「先生からのアドバイス」のコーナーでは、精神科医で国際医療福祉大学教授の上島国利氏が「受診のタイミングやかかり方」を解説。「職場のうつ」をテーマに北里大学大学院産業精神保健学教授の田中克俊氏に行ったインタビューでは職場における社員のうつ予防とその実践法(うつ病教育、家族への教育、EAPの導入)を詳しく紹介している。取材記事が多く、ホットな情報が得られるのは魅力だ。
- こころの耳
厚生労働省が運営するサイトであり、知っている人も多いだろう。「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」と紹介されているように心の健康を守り、自殺や過労死などを予防する目的で開設されたもので、うつ病にも詳しく触れている。患者への情報では救済制度の詳細が紹介され、地域の精神保健センターなど行政機関の相談先などのリンクが充実しているのが特徴(お役所のHPならでは!)。「事業者、上司、同僚の方へ」のページでは「メンタルヘルス対策や過重労働対策」について詳しくみることができる。ここではメンタルヘルスに関連するさまざまな事例も紹介されており、「職場復帰をあせらないことがよい結果を生んだうつ病の事例」「再休職中のうつ状態の労働者への職場復帰支援の事例」などの成功事例が会社や本人のかなり詳細な情報とともに紹介。うまくいかなかった事例も載っており、わかりやすい。
- 事業場のメンタルヘルスサポートページ
東京大学大学院医学系研究科精神保健学・看護学分野によって運営されているサイト。同研究科の教授は精神保健の研究者として知られる川上憲人氏である。学会の情報など専門家向けの情報も多いが、一般向けのコンテンツも充実している。例えば仕事のストレスが本人や会社にどのような損失を与えているかを金額で提示してある表があったり、職場のメンタルヘルスがどのくらい実施されているかのチェックリストがあったり……。「事業場で使えるメンタルヘルス対策のすすめ方」の項にはメンタル対策のための組織づくりをどうするかや、そのポイントについて紹介されているが、頼もしいのは「できることからはじめること」と明言されていること。「職場にメンタルヘルスの専門家がいなくても対策はできる」という。組織づくりの準備に役立つ「仕事のストレス判定図」も掲載されているのでやる気のある企業であれば、実施は可能だろう。ちなみに、管理職研修向けのシュミレーションゲームがあり、トライしてみたところ、部下への対応に「問題あり」という結果が出てしまった。反省。
- 独立行政法人労働者健康福祉機構
勤労者医療の推進や福祉事業を行う同機構は全国の労災病院の運営者でもある。サイトトップから「労災病院の活動」に入ると全国の労災病院を見ることができ、各専門外来がどの病院に設置されているかを簡単に調べることができる。うつ病に役立つのは専門外来のうち、「勤労者メンタルヘルスセンター」(全国14カ所)と「働く女性メディカルセンター」(全国5カ所)だろう。いずれも開設当初、マスコミで話題になった。また、勤労者心の電話相談という窓口もあり、19カ所の病院に設置されている。このうち神奈川県の横浜労災病院では電子メールによる相談を受け付けており、メルアドも公開されている。心の不調を抱えている様子がある人に教えてあげるとよいだろう。
- 財団法人長寿科学振興財団&健康長寿ネット
高齢者の疾患や長寿についての研究を行っている財団法人長寿科学振興財団のサイト。「高齢者のうつ病」を理解するのに有用だ。トップページから健康長寿ネットに入ると長寿、医療、介護の3項目から各情報を探せる仕組みになっており、このうち医療の項目にうつ病が紹介されている。若い人にはピンと来ないかもしれないが、実はうつ病は働き盛りとともに、高齢者にも多い病気である。高齢になると親しい人との死別や健康に対する不安などが増すことがうつのリスクを高めるようだ。また、若い頃、うつ病だった人が高齢者になって再発しやすいということはこのサイトで初めて知った。心の病がきっかけで自殺をするケースも多い。睡眠障害や認知症などについても解説されており、高齢の家族を抱える人にとっては貴重な情報源となるだろう。
-
- 川人法律事務所のオフィシャルページ
労災問題に詳しい弁護士で、東京大学教養学部講師の川人博氏が開設する法律事務所のサイト。閲覧の価値があるのは労災認定の項。同事務所がかかわり、労働災害が認定された代表的なケースが紹介されている。いずれも過重労働や心の病が原因で死にいたった人たちで、労働災害の申請者は家族で、被災者の多くは自殺である。過重労働により精神疾患を発症し自殺した新任女子教諭、研究職に従事し、ストレスから電車踏切内で投身自殺をした男性、長時間労働をかせられ、医療事故をきっかけに自殺した外科医……。マスコミで話題になった事案も掲載されている。「もうこれ以上は頑張れない」と死を選んだ被災者の声が伝わってくるようだ。
- うつ病家族のためのガイドライン
うつ病の入門編書的なサイト。専門的な内容は掲載されていないが、うつ病の基礎知識から、医療機関の受診法、家族がすべき対応などについてわかりやすく解説されている。情報の少ない「子どものうつ」についても触れられている。「家族のための」とあるが、自身が「うつ病ではないか?」と心配している場合や、うつ病と診断された患者に役立つ情報もたくさんある。一方で、掲示板はうつ病の家族を抱える人たちからの書き込みが多い。「夫の収入ではやっていけない」「うつ病の夫と一緒にいるのがつらい」など表立ってはなかなかいえない悩みから、家族の苦悩と葛藤が伝わってくる。心の病の治療は進んでいるが、家族のサポートはまだまだ不足している。そんな現状がかいまみえてくる。
- 自殺予防総合対策センター
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所自殺予防総合対策センターが開設、運営するサイト。年間3万人を超える日本の自殺者。その背景にうつ病をはじめとした精神疾患が深くかかわっていることはいうまでもない。また、若者の中には複数の精神科から薬をもらって自殺未遂に至るケースが増えている。サイトでは自殺の原因や家族への調査など、信頼性のある、かつ最新の研究、データなどを見ることができるので、メンタルへルスについての資料作りや情報収集に便利だ。また、全国の地方自治体の相談窓口が掲載、リンクされている。いくつかの自治体を閲覧してみたが、都市部では若者や働き盛りに向けた内容に、地方では高齢者の自殺対策に取り組む内容になっていた。
- Drヤギの心の健康ネット
精神科医の矢木康之氏らによるサイト。「心にきく薬の説明」という項では精神疾患で使われる50種類以上の薬について、商品名を挙げて説明がされている。薬の情報を知りたくても、「抗うつ薬」というくくりでおおまかに記載されていたり、製薬メーカーのページにダイレクトにアクセスしたり、ということが多い。それはそれでよいのだが、もらった薬がどんなものか、他の薬と何が違うのか、ポイントを知りたい場合はこのコーナーが便利だと思う。抗うつ薬については15種類を紹介。効能や副作用、同じタイプの他と比較した点などが専門家の立場からコメントされている。もちろん、精神疾患の解説、心の健康に重要な栄養の話、相談コーナーなども読みごたえがある。
- メンタルクリニック.net
精神科医の猫山司氏が開設するブログ。多忙な診療現場で、患者に十分な説明ができないことがブログをはじめたきっかけだそうだが、なるほど、テーマは「精神科と神経科と神経内科と心療内科(それぞれの違い)」、「睡眠薬と安定剤の正しい止め方」「患者さんが自分の紹介状を読んでよいか」など、知りたい、でもなかなか聞けない患者の疑問にこたえるものが満載されている。薬物治療に対する考え方についても深く、言及している。「ベンゾジアゼピン系睡眠薬の依存の問題」や「多剤併用の問題」などについての読者と双方向の議論も興味深い。こうしたテーマは専門家の間では以前からいわれていたが、一般向けにはほとんどされてこなかった。精神科医と患者の本音が精神科医療の現場にプラスに働くことを期待したい。














