編集長の新刊紹介

編集長 阪田英也の新刊紹介
タイトル:「図解 やさしくわかる 社会不安障害」
監修:山田和夫
監修協力:山田和惠
刊行:2014年6月30日
発行:ナツメ社
定価:1512円(税込)
「図解 やさしくわかる 社会不安障害」

「社会不安障害」は正しい治療で必ず治る。

 この書籍は、ナツメ社の「精神疾患と向き合う 社会で生きる 図解 やさしくわかる」シリーズの1冊である。まず、評者がお知らせしたいことは、本書が社会不安障害を抱える患者向けに書かれてはいるが、かかりつけ医を標榜する一般内科開業医にぜひ読んでいただきたいということである。

 本書の「はじめに」で、監修者・山田和夫氏が解説しているように、社会不安障害とは、かつて対人恐怖症と呼ばれていた病態に近い病気であり、明治、大正、昭和を経ても、日本固有の病態と思われていた事実が存在する。しかし、1980年になってEBMを基にしたDSM-Ⅲ(精神疾患の診断・統計マニュアル第3版)が登場し、この中の不安障害の1つとして「Social Phobia(社会恐怖)」が記載されることになる。そして、4年後に改訂されたDSM-Ⅳの中に、社会恐怖に補足して、やっと「社会不安障害(Social Anxiety Disorder=SAD)」という病名が追記されることになった。

 つまり、1980年以前に一人前の医者になった開業医のほとんどは、社会不安障害の何たるかを知らないことになる。しかし、それを知らなければ、患者の病態を診て「社会不安障害」と診断することも出来なければ、正しい治療を行うことも難しい。

 山田氏によれば、社会不安障害はSSRIという坑うつ薬で治る病気であるとしており、本書を参考に、一般内科開業医が社会不安障害に対する正しい知識を得て、診断・治療に当たるならば、精神科専門医との連携も含めて、多くの社会不安障害の患者が救われるだろうと考えるのである。

社会不安障害は“あがり症”

 とはいえ、本書の対象読者は社会不安障害を抱える患者本人である。山田氏が語るように、社会不安障害は“あがり症”を指す。あがり症ならば、正しい治療を受ければ必ず治ると山田氏は主張する。だから、本書の冒頭にある「社会不安障害セルフチェック~こんなときあなたは不安を感じる?」で、自己診断した後に展開される各章では、患者自身が現実を見つめ、把握し、解決に向かう姿勢を醸成する道筋を実に丁寧に優しさを持って示している。

 山田氏は、精神神経科専門医として、また、うつ病や社会不安障害を抱える患者を数多く診る臨床家として著名なドクターである。そして、監修協力として本書の編纂に参加している臨床心理士の山田和惠氏は同氏の夫人である。山田夫妻が過去に診た多くの社会不安障害の患者たちとの出会いを踏まえ、「どのようにすれば社会不安障害を克服できるか」を目標として、精神科臨床と心理学の両面から解決法を提示したのが本書である。


(構成:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)