編集長の新刊紹介

編集長 阪田英也の新刊紹介
タイトル:「うつ」の捨て方
編著:深間内文彦
刊行:2014年3月15日
発行:弘文堂
定価:1728円(税込)
患者さんに説明できるうつ病治療

なぜ、あなたのこころは不満でいっぱいなのか。
うつを捨てるためには、「考え方を変えるために考えること」が必要

 帯に書かれた「なぜ、あなたのこころは不満でいっぱいなのか」という問いかけが目を引く。うつを捨てるためには、どうすればいいのか。著者・深間内文彦氏は、うつを捨てるためには、『考え方を変えるために考えること』を提唱する。

 薬に添付されている「使用上の注意」のように、本書を開くと、まず飛び込んでくるのが、「もし、あなたがいま、エネルギー切れでなにもしたくない状態なら、この本は読まないでください」。そして、「服用中の薬がよく効いている方や、回復期で不安定な方にもおすすめできません。」の断り書き。つまり、この本は、社会に戻る決心をしたうつ病患者へのメッセージであり、ガイドブックなのである。

 精神神経科専門医であり、うつ病治療に半世紀の経験を有する優秀な臨床家でもある深間内氏は、序文で「うつ病はやっかいな病気」と認め、その原因を、①治療法が確立されていないこと ②患者本人の問題が背景にあること ③環境・社会の要因が関わっていることを挙げる。さらに、うつ病患者が社会復帰を決心したとき、心すべきことは、「便利で恵まれすぎた社会があなたに教えてくれなかったことを、自分から学びにいかなければならないのです」としている。

 本書を読む決心をした読者に、著者・深間内氏は、「こころのはたらきの見方 三つのアプローチ」「からだの病気・こころの病気」「今の自分を変えるとか変えないとか」「人間の欲求はどこから生まれるか」と題する4つのレクチュアを試みる。このレクチュアを読破し、体得した読者に提供されるのが、ライブセッションと命名された2部構成からなるリワーク(復職)のためのセミナーなのである。

 現在、リワークをめざすうつ病患者は、「リワーク・プログラム」と称するリハビリテーション・プログラムを受けることが多くなっている。本書では深間内氏が院長として勤務するメンタルヘルス・クリニック(榎本クリニック)で実践している「リワーク・プログラム」をできるだけ忠実に再現する手法が採られている。

 本を読むことは学ぶこと。しかし、その学ぶ読者を選び、本当に役立つ書籍として世の中に送り出したい。長年のうつ病治療に携わり、多くの患者の社会復帰を実現した著者ならではの深い愛情の溢れる一冊である。


(構成:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)