どんな半導体を作るべきか。どんな半導体が出てくるか。

 半導体の未来を知るためには、コンピュータや通信ネットワークを中心に世界的なトレンドをつかむこと、そして人間社会のニーズをしっかりと捉えることが何よりも重要になります。本レポートでは世界的なトレンドと人間社会からの要請を踏まえた上で、そこに必要になる半導体について解説しました。これまでの半導体の専門書と全く違うのは、半導体の要素技術にあまりページを割かなかったことです。というのは、これからの半導体はシーズではなくニーズ志向であり、そのニーズも半導体サイドから提案しなくてはならないからです。ニーズを捉えるためには、世界的なトレンドと社会からの要請をしっかりと把握し、半導体へのリクエストを、想像力を巡らせながら見つけ出す必要があります。
 半導体の未来に大きな影響を及ぼす世界的なトレンドとは、新興国の経済成長とIT活用、クラウドの進展にほかなりません。一方、人間社会のニーズとは、安心・安全・健康・長寿など、人間が本来持っている自然な要望を指しています。こうしたトレンドと人間本来の要望こそ、これからの未来に通用する大きな流れといえるでしょう。
 半導体の分野では、産業構造の大きな変化、製品の組み込みシステムへの大きなうねり、設計・プロセス技術の進展などのパラダイムシフトが立て続けに起きました。半導体産業は水平分業へと進み、グローバルなエコシステムと、それを構築するためのパートナーシップが重要になっています。製品にはハードウエア回路技術だけではなく、ソフトウエアも不可欠になってきました。ハードウエアの中身も、デジタル技術だけではなく、アナログ技術やRF技術が大きな比重を占めるようになっています。設計・プロセス技術は微細化の壁に突き当たっており、これまでとは異なる技術思想が求められるでしょう。
 こういった大きなパラダイムシフトを拾い集めてみると、もはや半導体は「ロードマップ」という概念からはみ出てしまうと言わざるを得ません。半導体の技術開発や、製品開発という視点のロードマップは、「ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)」の委員会が作ってきました。ここでは世界中の優秀な頭脳が集まり、議論しながら、ロードマップを作成しました。しかし、産業、製品、技術でパラダイムシフトが起きると、ロードマップは大きく外れてしまうことになるのです。
 本レポートは「どのような半導体を将来に向けて企画したらよいだろうか」と悩む企業に対し、世界のトレンドや人間社会からの要請、パラダイムシフトなどを踏まえた上で、将来をイメージできるように構成しています。半導体メーカーは第1章から第4章まで、半導体を利用するIT企業やものづくり企業は第5章から第7章までをよく読んでいただきたいと考えています。そうすれば、半導体メーカーはどのような半導体を作るべきかが分かり、半導体ユーザーはどのような半導体がこれから出てくるのかが分かるでしょう。本書を皆様の事業戦略や経営戦略の立案にご活用いただけますと幸いです。

津田 建二

[執筆・監修]津田 建二(つだ・けんじ) 国際技術ジャ=ナリスト、技術アナリスト


世界的なトレンドと人間社会のニーズから、半導体の未来を読み解く。

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