歯周病とは、細菌の感染によって、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨(歯槽骨)などの歯周組織に炎症が起きる病気です。
厚生労働省の「平成11年歯科疾患実態調査」によれば、35〜44歳の人では、何と約3人に1人が進行した歯周炎にかかっています(参考記事:35〜44歳の3人に1人が進行した歯周炎)。炎症が歯ぐき(歯肉)だけにとどまっている「歯肉炎」の人も含めると、この年齢では実に8割以上の人に歯周病の症状が認められるのです。
歯周病の恐ろしい点は、初期のころには痛みや腫れなどをほとんど感じないことです。痛みや腫れ、歯がぐらつくなどの症状が出てくるのは、末期になってからで、それまで自覚症状はほとんどありません。そのため、治療せずに放っておく人が多く、そうなると症状が進行し、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。実際、中高年では、歯周病は歯を失う最大の原因になっています。
⇒参考:サンスターのWebサイト
![]()
最近は、歯周病は歯を失う原因になるだけでなく、全身の健康にもさまざまな影響を及ぼすことが分かってきました。
歯周病は細菌の感染による慢性的な炎症ですが、歯周病の原因菌がつくる毒素や炎症を引き起こす物質は、歯周病の病巣から血液中に入り、全身に影響を及ぼす可能性があるのです。これまでにも、口の中の慢性的な炎症や歯周病の原因菌と、肺炎や心筋梗塞、糖尿病(参考記事:抗菌薬による歯周病治療で血糖値も改善)、低体重児出産(参考記事:歯周病の妊婦は早産・低体重児出産のリスク)――などとの関連性が報告されています。
たとえば、糖尿病との関係。最近になって、歯周病によって糖尿病が悪化するという意外な関係が明らかになってきました。
歯周病の人では、歯ぐきで炎症を起こしている部分が、糖尿病を悪化させる要因のひとつになっているとみられています。ここから、歯周病の原因菌が作り出す毒素や、炎症反応によって生じたさまざまな物質が血液中に入り込み、全身的な機能に作用して、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまうようなのです。
また心臓血管病については、歯周病の状態(口の中に慢性の炎症がある状態)が長く続くと、炎症物質が血管の動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなると考えられています。
![]()

2005年5月から6月にかけて、ビジネスパーソンを対象に実施した「歯とお口のケアに関するアンケート」調査で、「歯とお口のケアで気になることはありますか?」と問いかけたところ、最も気になることは「歯周病」との答えでした(59.6%:上の図参照)。
一般的に歯周病は、成人の80%が罹患するといわれており、また日本人では歯を失う原因でもあります。アンケートの結果は、高齢になっても1本でも多く歯を残しておきたい……、と望んでいる人が多いということを表していると考えられます(参考記事:健康アンケート:60%の女性が職場で「歯磨き」の習慣)。

またアンケートでは、「歯周病と全身の健康に関係があることを知っていますか?」とも聞いてみました。すると、全体で67.3%の人が「知っていた」と答えています。
この「歯周病と全身の健康の関係」について、1日あたりの歯磨きの回数別に見ると、「知っていた」と答えた人の割合は、「1回(朝だけ)」の人(59.1)と比べて「3回以上」の人(73.7%)の方が多い結果となりました。また男女比でも、男性(66.2%)よりも女性(73.7%)の方に認知度が高い結果となりました。
これらの結果からみると、オーラルケアの意識の高い人ほど、歯周病に関する認知度も高い――といえるでしょう。
![]()
歯周病の原因でもある「歯垢」は食べ物のカスではなく、細菌のかたまりです。もともと口の中にはおよそ400種類もの細菌がすんでいますが、ブラッシングが不十分だったり、砂糖を過剰に摂取したりすると、これらの細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっついてしまいます。
歯垢1mgの中には、10億個もの細菌がいると言われています。歯垢は粘着性が高く、うがいをした程度では落ちません。歯垢が歯と歯ぐき(歯肉)の間にたまると、中の細菌が感染して歯肉に炎症を引き起こし、歯周病になります。
したがって、歯周病の進行を防ぐには、歯垢をためない、増やさないことが基本です。そのためには、まず、年2回は歯科医院での定期検診を受け、正しいブラッシング指導を受け、毎日正しく歯を磨き、歯面を歯垢のない清潔な状態にしておくことが何より大切です(参考記事:歯ブラシは「やわらかめ」「細い毛先」を選ぼう)。
「歯周病」の知識を高めて、あわせて、正しい口と歯のケアを怠らないことは、丈夫な歯と全身の健康を保つためにとても重要なことなのです。
〔参考サイト〕
・サンスター:「TEAM G・U・M INSTITUTE」---歯周病菌連鎖を食い止めろ


