スペシャルリポート

上海万博に親子で行ってきた!
タイトル写真: 上海万博のシンボル中国館

中国・上海で5月1日から開かれている上海万博。日本にはもう見られない「龍」のようなエネルギーを、都市からも人々からも体感してみたい。中国で3年を過ごした10歳の息子も行きたいと言うので、親子で体験してきました。(取材 林秀代)

中国館に入るのは至難の技


会場を走る電気バス

 万博史上最大規模といわれている会場は、黄浦江(ホワンプージァン)という川の両岸、浦東(プードン)エリアと浦西(プーシー)エリアにまたがっています。まずはどちらの岸に行くか、どの入口から入るかを考える「対策」が必要。会場内では川を渡るためには船や地下トンネルで渡る電気バス、そして地下鉄があり、どれも無料で乗ることができます。

 万博会場に入ってまずすることは、各館のスタンプを押す「パスポート」やスタンプ帳を買うこと。子どもたちはもちろん、大人にとっても後々の思い出になります。


スタンプ帳の中

 上海万博のシンボルである中国館に入るのは至難の業で、朝の開門と同時に予約券が配られますが、それも5分でなくなってしまいます。私たちは開場45分前から中国館近くの入口に行ってみましたが、すでにゲート前には折りたたみの「マイ椅子」で行列する人々がズラッと並んでいました。

 中国館1階の中国の各省や直轄市の展示をしている中国省区市連合館なら、約30分の待ち時間で入れます。甘粛省(カンシュクショウ)のブースでは敦煌(トンコウ)の莫高窟(バッコウクツ)の一部など、貴重な文化財の展示もあり、見ごたえがあります。各省市のブースでスタンプも用意してあるので、ここだけでスタンプがたくさん集められますよ!

日本館は6時間待ち


ノルウェー館の人工雪

 先進国のパビリオンはどこも長時間並ぶことを覚悟しなくてはいけません。私が行った日も日本館は午前中から6時間待ち! 午後には日本産業館は4時間待ちでした。どのパビリオンでも待ち時間の少ない時間帯は朝一番か、夜遅くかに限られます。

 万博は、まだ行ったことのない国や、この先も行く機会の少ない国、少し聞いたことのある国をもっと知る機会になります。子どもは好奇心と五感で見慣れない建物や世界を感じ取りますから、小さなパビリオンでもその国に興味を持つきっかけになるかもしれません。トルコ館でトルコアイスを食べ、幻想的なモロッコ館の雰囲気に浸り、ノルウェー館ではオーロラの世界の中で冷たい鉄板の上につくられた人工雪に触れるのは、まずまずの異文化体験。

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背中に背負ったブブゼラ

 アフリカの国々が共同出展しているアフリカ連合館は、アフリカらしく明るい色や音楽であふれ、民族衣装を着た各国の人々が一緒に写真をとってくれたり、工芸品などを作るデモンスレーションをしています。息子はガーナのお店でブブゼラを発見し、買うことにしました。するとお店の人が販売の手を休め、息子に吹き方のレッスンしてくれました。最初はなかなか吹けなかったのが、何十回も吹いている間に、とうとうあのにぶい「ブー」という音が出て大満足! 

 このブブゼラが、思わぬところで役に立ちました。ウクライナ館へ入る直前、息子が辺りに見当たらなくなり探していると、遠くの方からブブゼラの音が聞こえてきて、音の方へ向かうとゴキゲンにブブゼラを吹いている息子を発見! 万博会場はとてつもなく広いので、迷子にならないようくれぐれも注意が必要です。

知らない人とのコミュニケーション


小龍包

 万博のお楽しみといえば世界各国の食事! セルフサービスの気軽なものから、テーブルサービスのレストランもあり、いろんな国の食事を選べます。

 もちろん、上海名物の小龍包を万博会場でも食べることができます。人口の多い中国はフードコートのようなところでは相席が当たり前、食べ物を持って席を探している人がいると、「ここ誰もいないから座って」と席を勧められ、知らない人ともおしゃべりしながら食べます。


日本館前の行列

 中国人は日本人のように人と人の間に適当なスペースを空けるという感覚がなく、行列に少しでも隙間ができるとそこへ要領よく割り込まれていることがあります。少しでも人より前へ行かないと物が手に入らない厳しい社会現実があっての習慣なので、多少の割り込みでは誰も怒りません。あまりにひどい割り込みをするとけんかになったり、係員に止められることもありますが、それでも割り込んだ本人は素知らぬ顔だったりします。

 とはいえ、並んでいる間の知らない人とのコミュニケーションは楽しいもので、それは日本人が忘れかけているもの。日本人は同じ東アジア系なので親しみがわくのかよく話しかけられ、外国人とわかっても動じずそのまま英語や中国語でおしゃべりしてきます。子どもとおしゃべりが大好きな中国人は、子どもによく話しかけたり、相手をして遊んでくれます。

意外に暗い夜の電飾


夜のポーランド館

 夜になるとパビリオンは電飾で昼間とはまた違う姿を見せてくれますが、会場は暗い印象です。パビリオンには木や草を使った外装もあり、多くの電飾で建物を飾ればよいという時代ではなくなってきたのでしょう。

 私たちが行った日はあいにくの雨で足元が悪く、手軽に入れるパビリオンを中心に入り、パビリオンの外観を見ながら会場を3万歩も歩いて、ヘトヘトになりました。それでも翌朝には息子は、「万博楽しかったからもう1回行きたい」と言い出しました。子どもたちの上海万博の記憶は、成長する中国と本人と共に変わっていくでしょう。大人になるまで記憶に残ったものは何か、数十年後に聞いてみたいものです。


(2010年8月6日)