
選手が滞在するオリンピック・ビレッジはウィスラーとバンクーバー市内の2カ所。すべてが選手村で行えるように施設が充実し、自国から遠く離れていても自分の家にいるかのようにリラックスし、競技に打ち込める空間を提供しています。
室内環境や建築資材はもちろんのこと、エネルギー効率などの環境の面でも配慮された選手村。中でも驚いたのは北米で初めて取り入れられたという暖房や給湯システム。従来はガスでしたが、汚水が持つ熱エネルギーを利用することで、温暖化ガスの排出量を約半分に減らすことができるのだとか。
建物の屋上には太陽電池が取り付けられたり、植物などが植えられグリーン化もされています。庭園などに使用される水は、貯水した雨水を利用するなどのこだわりも。
組織委員会が繰り返し強調したことが、持続可能なコミュニティー作り。なるべく廃棄物を出さないようにと、一部の古い建物を取り壊さず、歴史ある建物を生まれ変わらせました。オリンピック終了後も、コミュニティセンターとして利用したり、一般に販売したり、低所得者層向けの住宅として利用する予定になっています。
615個のオリンピックメダルと、399個のパラリンピックメダルが用意されると言われていますが、メダルの形は500グラムから576グラムとこれまでで一番重く、表面は今までには見られなかったような波を打ったようなデザインでユニークです。
メダルの表側にはオルカ(シャチ)やカラスなどの先住民アートがデザインされています。先住民デザイナーらが描いたデザイン画の一部を切り取り、1枚ずつのメダルにするので同じ絵柄は1枚もなく、選手は世界にひとつしかないメダルを手にすることになります。
メダルを作るのに、約30工程の手間とたくさんの人の労力がかかるのですが、金・銀・銅メダルともに、原材料の一部にはテレビやコンピューター、キーボードなどの内蔵部品がリサイクルされて使われるというから驚きです。
VANOCは五輪開幕に向け、空港やリッチモンド、ダウンタウンを結ぶモノレール「カナダライン」を新交通網として建設しました。五輪開催中は、公共の交通機関の市バスやスカイトレイン、シーバスなどの運行本数を増やしています。
交通渋滞を防ぎ車の利用者を減らすことで温暖化ガスを削減し、環境保護に役立てようとしています。新聞やテレビなどでは期間中、車を利用しないよう積極的に呼びかけています。公共交通機関を運営するトランスリンク社は「五輪開催は環境問題を考えるきっかけを与えてくれた。市民が移動方法を変える習慣をつけることが環境を改善するのに大事」と提言しています。移動にはカーシェアや自転車、徒歩を取り入れ、意識して車に乗らないように心掛けるなど、五輪開催中だけではなく持続できるような交通習慣に変えることが大事だとうたっています。
オリンピックを目前に、選手村と観光名所のグランビルアイランド(約1.8キロ)を結ぶ路面電車「オリンピックライン」が開通しました。6分〜10分おきに運行する路面電車は約2カ月の間、乗車料無料となっています。
グランビルアイランド駅には、太陽エネルギーを利用してゴミを圧縮する太陽電池付きゴミ箱が設置されています。ゴミが増え内側の上部にある信号電波に触れるとモーターが作動してごみを押し下げ、ゴミが増えると感知して外側の表示灯が点灯します。圧縮することでゴミの量が通常の約4分の1になり、ゴミの回収頻度が普通のゴミ箱の70%ほど減らせるのだそうです。以前から少しずつ購入していたようですがオリンピックを機に増設しました。
競技会場のひとつであるリッチモンド・オーバルはLEED(環境配慮型認証基準)のシルバーを目指して建設されました。屋根は虫食いの被害にあった廃材などを利用して作られています。集められた雨水を下水に使用し、リンクの氷を冷却するシステムから出る熱を館内の暖房設備に変えて利用するといった工夫もされています。
オリンピックに向けて再オープンした市民のための野外スケートリンクは、既存の施設を改修することで建築資材を節約、照明にはLED電球を取り入れるなど、五輪施設だけではなく、市をあげてエコ活動が行われています。
ウィスラーの競技会場はなるべく自然を取り壊さずに建設し、建築資材の消費量を軽減、ゴミやCO2排出量を最小限に抑えるよう取り組んでいます。バンクーバー五輪の取り組みが、今後のオリンピックのグリーン化にどう影響していくのか楽しみです。