
高さ11mのエコ・ツリーには、3600個の青色LED(発光ダイオード)が使われています。電力消費効率の優れたLEDは、省エネの代表格。ここリマでもずいぶん普及してきました。
発電に使われる自転車は10台。ペダルを踏むと前輪に取り付けられたダイナモが発電し、豆電球が点きます。自分が発電していることを目で見て実感できるため達成感がありますが、少し休むとすぐ消えてしまうので、ついついもう一漕ぎと頑張ってしまいます。私の隣にいた女性は「ダイエットにもなるわね」と言いながら、随分長い時間この自転車発電を楽しんでいるようでした。
自らペダルを踏むことで点灯するエコ・ツリーは、大人から子供までが環境についてより身近に学んだり考えたりできるユニークな試みです。サイクリストたちが起こした電力は、交流電流に変換され、12個のバッテリーに蓄電されます。また自転車発電が不十分な場合に備え、クリーンエネルギーだけで電力がカバーできるよう、太陽光発電用のソーラーパネルと風力発電用のプロペラも設置されていました。
このエコ・ツリーが設置されている幸福公園は、もともとスポーツ施設が充実していることで知られている場所。特に日曜日の午前中は周囲が通行止めになるため、大勢の家族連れがジョギングやサイクリングをしにやってきます。
自動車優先社会のリマには、自転車で思いっきり走れる場所があまりありません。しかしここなら安心してサイクリングを楽しむことが可能です。そのついでにちょっとこっちのエコ自転車も漕いでみようと思うのも、不思議ではないでしょう。
また自治体も無料のサイクリング教室を開くなど、電力確保と同時に住民への啓蒙活動を行っているそうで、実際、私が訪れた時にもたくさんの人が汗を流していました。こうした取り組みにペルー環境省も強い関心を寄せており、「この発案は各家庭における環境意識の手本となるかもしれない」と期待を示しています。
自転車で発電するエコ・ツリーですが、作り自体はとてもシンプル。やろうと思えば世界中どこでも比較的容易に設置できるものです。しかし通常このような設備は、イベントの終了とともに人々の関心が薄れてしまいがち。このツリーも、1月6日の公現祭(キリスト教の祭り)のあと撤去されました。
そこでこの自治体は、せっかく芽吹いた環境問題への関心をここで終わらせることのないよう、この自転車発電システムを公園近くの野外公共トレーニング施設に移し、周囲の照明発電用に使用する計画を立てています。また太陽光発電パネルと風力発電装置は、公園内の水処理プラント用電力に回すそうです。
リマの人々にとって大切なクリスマス・イルミネーションを、みんなの力で作り出すエコ・ツリープロジェクト。クリスマスが終わっても、少しだけ形を変えてこの地域を優しく照らし続けることでしょう。