
紙やテキスタイルで作られたオブジェがソファに変わるなどといったユニークで革新的なインテリアデザインを作り出すバンクーバーのMolo design(モロ・デザイン)。デンマークや日本など各国のコンペティションなどで賞を受賞、現在はアメリカやヨーロッパ、香港などで販売されており注目を集めています。
デザイナーであるステファニーさんとマクラーレンさんは、12年に渡り建築やデザインなどの共同作業を行い2003年にMolo社を設立。安藤忠雄氏らが審査員を務め、86カ国から2000人以上が参加し、青森を中心として行われた2001年のコンペティションで1位を獲得しました。
現在デザイナーの2人は、日本最大の祭りの一つであるねぶた祭りのクリエイティブカルチャーセンターやねぶたハウスも担当。建築物だけではなく家具や日用品など、あらゆるジャンルのデザインを手掛けています。
ある衣料店では服を陳列する台としてMoloの家具を取り入れ、別のギャラリーでも、パーテーションとして使用しています。特徴的で波打った蛇腹のような不思議なデザインが目にとまり、すぐにMoloの家具だと気づきます。
紙素材とテキスタイルから作られたSoft seating(ソファ)やSoft wall(パーテーション)などは、拡張が可能で圧縮ができるHoney combと呼ばれる構造を取り入れています。その名の通り蜂の巣のように紙が組まれていて、アコーディオンのように形を自在に変える構造。
そのため空間を自由自在に分け、買う人自身が美しいと感じる形にデザインできるのが特徴です。圧縮されたサイズの100倍以上の長さに拡張することができ、持ち運びしやすいように半分に折ったり巻いたりすることも可能なのだとか。その上、材料を節約することもできます。
伸縮する構造と縦に走るプリーツのデザインが音を吸収するというメリットもあります。商品の端につけてある強力磁石をくっつけたり外したりすることで、オブジェのような物から背もたれ付きのソファや丸みを帯びたベンチへ組み変えができるなど利用者を飽きさせないデザインになっています。
通常使い捨てと考えられるリサイクル素材(ティッシュや無漂白クラフト紙、ポリエチレン不織布)を材料として用い、強度を持たせることで長く使用できるように作られた家具たち。再利用された細かい繊維が強度、耐久性に一役買っています。家具の寿命がきたとしても100パーセントリサイクルが可能なのも環境にやさしいですね。また材料として使われる接着剤は無毒性で、黒色の家具の染料には竹炭を使うというこだわり。
特徴としては、空間を効率よく目的に合わせて利用できるということ。都会などでは空間が狭いため、生活スペースやオフィスなどの空間を最大限に利用するには、伸縮自在で軽量なうえ強度に優れている家具が必至なのだそうです。
Soft wallはリビングスペースを仕事場に変えたり、パーティ時にはイベント用スペースに変えたりと、元々のスペースを最大限に生かすことができます。
取り壊さなければ壁は取り払うことができないという従来の間仕切りにとって代わる優しい家具。空間をしなやかに使い瞬時にくつろげる場所を演出すると言うコンセプトの通り、資源を有効利用することのほかに建築という観点からも、ライフスタイルに合わせて家具を変化させ自ら空間を作っていく進化型家具と言えそうです。
紙やテキスタイルでできた家具だから弱いのでは?と思って、ソファに座ってみて驚きました。紙素材の家具に座っているなんて信じられないほど、しっかりしています。蜂の巣構造によって製品の強度は強く、かなりの重量を支えることができるようです。
長期の使用により場所によっては徐々に押しつぶされて柔らかくなってくるのですが、「ユニークなシルエットを作り出すのが更によい」とMolo社は説明します。前述の衣料店に置いてあったソファの一部がへこんだようになって色が変わっていたのですが、「こういう傷も味になってなかなか素敵じゃない?」と店員さんが話していました。傷などのダメージをアートととらえる感覚…。私の頭にはなかったなと新鮮で驚きました。
ニューヨーク近代美術館(MOMA)の常設コレクションにも選ばれているというSoft wallは、らせんが美しく見ごたえがあります。2009年度はライトを取り入れて家具から光を発する新しいデザインを発表し、私たちを楽しませてくれるMolo。今後も目が離せません。