
妊娠がわかったとき、これまでどおり普通に生活して大丈夫と婦人科で言われました。何を食べてもいい。コーヒーを一日5杯飲んでもいいし、太ってもかまわない。婦人科では上着や靴を着たまま体重を測るので、季節によって誤差がでますが気にしません。私は12キロ太りましたが「体重は個人差があるから」の一言で終わり。日本では甘いものを避けるように言われるそうですが、ドイツでは出産準備コースの休憩時間にクッキーとチョコレートが出されました。「毎日ケーキを食べている」という参加者に、助産婦さんは「我慢してストレスをためるよりはいい。一日一個にしておきなさいね」とアドバイスしていました。
ドイツでは妊娠、出産関係の費用はすべて、健康保険で負担されます。出産のとき何日滞在したいかも本人の自由。3泊4日が一般的ですが、母乳の出が安定しなかった私は6泊しました。夕食がパンとハム、チーズのコールドミールだったのはつらかったけれど(出産した夜も!)、二人部屋で配慮の行き届いた環境に満足しました。
その後自宅に戻ると助産婦さんが毎日、家庭訪問してくれます。風呂の入れ方やおへその手入れ、お乳の飲ませ方を指導し、赤ちゃんの体重を計ります。だから新米ママでも安心。携帯電話の番号を教えてもらい、心配事があればいつでも電話できます。産後10日を過ぎると、訪問は一日おきとなり、徐々に間隔があいていきます。生後半年までに計30回来てもらえ、これも保険で全額カバーされます。
妊娠中と同じく、育児でも細かいことはいわれません。体重の増加がゆっくりでも「個人差があるから」の一言。何を聞いても「そういうこともあるわね、大丈夫」というのが助産婦さんの口癖でした。何か教わるというより、半分話し相手のような感じ。産後直後はどうしても家にこもりがちですが、助産婦さんの訪問はいい気分転換になりました。
産後は、たるんだお腹を引き締めるために骨盤体操。私は週1回、計8回のコースに通いました。こちらの費用も健康保険でカバー。体重は半年で戻り、友だちもできて一石二鳥でした。
マッサージをはじめ、水泳や遊びなど、教会や公益団体が主催する赤ちゃんや幼児のコースがいろいろあります。これらの利点は、期間が限定されていること。私が通っている「五感を使って遊ぼう」は2歳前後の子を対象にしたもので、週1回で全9回。42ユーロ(約5500円)と手ごろな値段です。
粘土や歌、水遊びをはじめ、復活祭の時期はうさぎをモチーフにするなど季節感を大事したプログラム。参加者は7人で、先生は子どもの個性を尊重しながら進めていきます。やりたくないという子には強制しません。みんな同じことをするのが目的ではなく、子どもたちが楽しみながら発達する手助けをしている、というスタンスです。だから気持ちをくみ取るように話しかけ、別の課題を与えるなどフレキシブルに対応します。
水泳教室にも通っているのですが、これは全6回で気軽に参加。金曜日の夕方のため、付き添いの半分以上がお父さん。ドイツでは金曜日は午後の早い時間に仕事を切り上げるのが当たり前なので、お父さんも参加可能なのです。夫婦そろって付き添ったり、おじいちゃんやおばあちゃんが来ている家族もあります。
ドイツ政府は少子化を食い止めるため、さまざまな施策を導入してきました。おかげで、子育てしやすい環境が整っています。18歳まで月額184ユーロ(2万3000円)支給される「子ども手当て」や、就労者は育児休暇中、産前給与の67%が最大14ヶ月もらえる「親手当」てなど、財政面での支援も充実しています。子どもは18歳まで医療費、薬代が完全に無料です。
またドイツでは3歳から幼稚園に入るのが一般的。現在3歳未満の枠は少ないのですが、2013年には1歳以上の希望者全員が入れるよう、保育園の増設を目指しています。
街では路面電車やバスなど公共交通機関が整備され、乳母車でどこでも出かけられます。車椅子の人がどんどん外出できるくらい、どこの駅にもスロープやエレベーターが完備されているため、乳母車でも楽チンです。子連れパパたちが楽しそうにカフェでおしゃべりする光景が見られるなど、男も女も子育てに積極的に参加するのが、ごく普通のドイツ。赤ちゃんがいても、生活が楽しめるのがドイツのよいところなのです。