
斬新なデザインと持続可能なエコ重視の建築で人気を集めている、「カリフォルニア・アカデミー・オブ・サイエンス」。サンフランシスコの公園、ゴールデンゲートパーク内にある同館は、博物館、水族館、プラネタリウム、リサーチ施設の融合施設です。
床面積が約 3万8300㎡あり、建物4階分の高さを持つ熱帯雨林のセクションや、約3万8000匹の動物を飼育するなど、まるで宇宙と地球のすべてをひとつ屋根の下に取り込んだような構造になっています。
同館の目的は、環境保護の重要性を伝授すること。この使命をまっとうした証として、グリーンビルディングの最高評価「プラチナ」が認定されました。こうして、建物全体で地球環境を守ることの大切さを伝えています。
建築デザインで特に目を引くのは、屋上の「グリーンルーフ」。カリフォルニア産の約170万の植物や野花を敷き詰めた斬新なデザインに、訪れる人々の目が釘付けになっています。
「建物全体を周囲のゴールデンゲートパークと一体化させました」と話すのは、建築界のノーベル賞、プリツカー賞を受賞し、同館をデザインしたレンゾ・ピアノさん。小高い丘のようにでこぼことしたデザインは、坂で有名な街、サンフランシスコをイメージしています。
これらの植物は、最終的には土に返るココナッツの皮と樹液を用いてできた約30センチ四方のかごに移植。このかごを、約1万㎡の屋上に5万個ほど敷き詰めることで、熱を吸収するコンクリートの天井と比較すると、約12℃も涼しく保つことができ、夏のエアコン電力の節減につなげています。
このような環境対策は、建物のいたるところで見られ、持続可能な建築物の実現を果たします。
たとえば、壁の内側に使用している断熱材。通常、ファイバーグラスが使用されるところを、リサイクルしたジーンズの繊維を用いています。このように、建築にはリサイクルできない資材の使用を35%カットしました。
熱帯雨林のセクションには、植物の成長促進と節電のために、直射日光が得られる80のスカイライトを設置しています。建物の外部には、ソーラーパネルを供えた大きなキャノピーを用いることで、館内の電力の8%が供給できるようになっています。
同館併設のカフェでは、ペットボトルに入った飲料の販売を一切行わず、紙コップで代用。メニューに使用する野菜や果物は、すべて地域農家のものを使用するなどの徹底ぶり。
また、館内のトイレには節水システムを取りつけることで、「自宅のトイレでも節水システムの取りつけが可能です」などのメッセージが書かれたポスターを貼り、訪問者自身の生活のなかでも賢い選択ができるように促しています。
また、館内には世界一が目白押しなのも、この施設の特徴です。1つ屋根の下にプラネタリウム、水族館、博物館を併設したことは、世界唯一の試みです。
なかでも、世界最大の完全デジタル化を実現したプラネタリウムでは、30分のショー「壊れやすい地球」を上映しています。ショーには、約3000のNASAの最新データを使用し、過去の開発のなかで最も正確なデジタル地球を使用。訪問者は、このデジタル地球を出発し、月、土星などの太陽系や銀河系を訪問。まるで宇宙船に乗って旅をしているような体験をしながら、ショーを通して「限りある地球を大切に」というメッセージを受け取ります。
2000以上の熱帯魚や500以上のサンゴ礁が観賞できるサンゴ礁タンクは、世界最深。タンク内には、たくさんの自然光が入るように設定することで、絶滅の危機にあるサンゴ礁の数を増加に導いています。
建物4階分の高さを持つガラス製の天体ドームでは、世界最大の熱帯雨林を再現しました。その他、海洋生態学、植物学など11の分野でリサーチを行う、世界級のリサーチ施設も備えています。
他にも世界級は続きます。米国グリーンビルディング委員会からは、最高レベルの「プラチナ」を認証され、グリーンビルディングとして世界最高評価を受けました。
米国グリーンビルディング委員会は、地球環境にやさしい建物を設計する指標、「グリーンビルディング評価システム」を導入しています。グリーンビルディング評価システムは、新築ビルの場合、環境を破壊しない用地選定から、水の有効利用、エネルギー効率、リサイクル資材の活用、室内環境、設計の革新までを69点満点で採点し、認定証を発行するシステムをとっています。
評価は、52点以上が「プラチナ」、39点以上が「ゴールド」、33点以上が「シルバー」、26点以上が「認定」とされ、同館は、同委員会から69点満点の54点を獲得しました。
「自然界を探求し、説明し、守ること。これが私たちの使命です」と話すのは、広報担当のアンドリュー・イングさん。デザイン性も環境保護の面でも世界を一歩リードした同館は、今後も先駆者としての役割を果たしていきそうです。