スペシャルリポート

新型インフルエンザの予防法−日本とアメリカ

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マスクから見るお国柄事情

 新型インフルエンザの世界的な感染に伴って、売り切れが続出している日本のマスク。

 ところが、この日本の爆発的な売れ行きとは打って変わり、最近になって、ようやく入り口など人目につく場所にマスクを置く薬局を目にするようになってきたものの、日本ほどの勢いはまるでないのが、ここアメリカです。

 「新型インフルエンザがそこまで深刻化するとは思えないわ」と語るのは、ロサンゼルス在住の3人の子持ちの女性。「(日本を含む)アジア諸国では頻繁にマスクが使われているようだけど、アメリカではマスクを使う習慣がないんだ」と話すのは、映画関係者の男性。17人の感染者(5月13日現在) がいるバージニア州在住の政府関係者の男性は、「マスクをしている人は誰もいないね。必要性を感じないから、マスクの購入予定はないよ」ときっぱり。

 「マスクによるインフルエンザの感染予防はまれで、予防効果は立証されていない」と公言するマスコミもありますが、どうやらアメリカでは、マスクの使用はそれほど重要視されていないという現状があるようです。

マスクに感染を防ぐ効果はない?

 たとえば、ロサンゼルス郡(※1)の公衆衛生部では、「体調が悪い時や病気にかかっていない限り、マスクをつける必要はない。(中略)インフルエンザに感染する機会を減らすために、公衆でマスクをつける必要はない」としています。

 同公衆衛生部の伝染性疾病予防センター部長、ロバート・キムフェーリーさんによりますと、「マスクには、感染を防ぐ効果はそれほど見られません。それより、主な感染源は、感染者がせきをしたり、鼻をかんだりした時に放たれるウィルスがついた手で触ったドアノブなどに、感染していない人が手で触ることによるもの。このためマスクの使用より、石鹸を使って手を頻繁に洗うことを重点的に指導しています」ということ。

 患者に接触する医師などヘルスケア関係者の間では、空気中のバクテリアやウィルスなどを取り除くヘパフィルターを使った、プロ仕様のマスクが頻繁に使われていますが、一般の人たちが公共の場でマスクを使うことはまれです。

 それを立証するのが、ここロサンゼルス。街行く人のなかでもマスクをつけて歩く人を見かけることは皆無に等しく、マスクをしていると感染者と思われるのか、凝視されるほど。

 自分自身を感染から守るためにマスクを使用する日本と違い、アメリカではマスクの役割は、自分が病気の時に他人に感染しないために使用する、というとらえ方が強いようです。これもお国柄の違い、ところ変わればということでしょうか。

生徒への告知はタブー

 他にも、日本と違った傾向が学校の指導に見られます。新型インフルエンザに感染しないために、各学校で生徒たちに指導するケースが大半の日本と違い、新型インフルエンザに関する学校での指導は特に行われていないようです。

 メイン州のある小学校の校長、ロビンソンさんは「誰かがメキシコなどの感染地域へ旅行に行き、ウィルスを持ち帰ったという話が私たちの住む地域であがれば別です。しかし、そうでもない限り、学校で話題にすることはありません」と話しています。

 アメリカ国内で感染者が出ても、日本の国土面積の約25倍ある広いアメリカでは、州を1つの国として捉えることもあるため、州によっては指導しない学校があっても不思議ではないということ。

 また、感染が見つかったロサンゼルス郡にあるロサンゼルス学校区でも、深刻な状況にならない限り、小学校では生徒たちをむやみやたらに怖がらせ、パニックにさせてはいけないということで、新型インフルエンザについては教えないことになっています。

 ロサンゼルス市の高校教師のベンさんも、「今回のインフルエンザは弱毒性ですし、深刻な事態になるとは思えませんので、話をする予定はありません」と断言。

 ただ、冬に流行する新型ではないインフルエンザの時期に指導するように、衛生面の指導の一環として、「頻繁に手を洗う、手で目や鼻、口を触らない、せきをする時は口を覆う」などの指導は行われています。

親から子どもへの注意事項

 もちろん、感染が発覚した地域では、保護者に対して新型インフルエンザに関する注意事項が書かれたチラシを配布したり、ボイスメールを残すなどで、子どもたちの衛生面に注意するように呼びかけています。

 ロサンゼルス郡に属する、レドンドビーチ市のある小学校では、米国疾病管理予防センターが案内している「親から子どもへの注意事項」が、保護者宛てにメールで送信されました。

「親から子どもへの注意事項」

  1. 石鹸を使った20秒間の手洗いを頻繁に行うように教え、親が同じようにすることで、子どもに指導する。
  2. 咳をしたり、鼻をかむ時には、必ずティッシュかひじの内側を使い、親も同じようにすることで、子どもに指導する。
  3. 病気の人からは、少なくとも2メートルは離れるように教える。もし、子どもが病気になった時は、学校を休ませて自宅で療養し、他人にうつさないように、よくなるまで人に会わないようにする。
  4. 自分の住む地域で感染がわかった場合は、ショッピングモールや映画館、大勢の人々が集まるところへは行かない。

「熱さ」を駆り立てる発言は厳禁

 自分の意見を明確に表すように学ぶアメリカ人の間では、その行為の1つとしてか、デモ行為がよく見られます。このように、熱くなりやすい傾向がある国民性のためか、パニックに陥るような発言はできるだけ控えるように勤める現状もあります。

 また、日本では感染者はもちろんのこと、飛行機内で感染者の近くに座っていた人も宿泊施設に隔離されていますが、アメリカでは感染者でさえも「症状が軽い」という理由で入院は不要としています。

 カリフォルニア州だけでも日本の国土と同じ広さなので、アメリカ全体の感染者数にはそれほど深刻に心配はしていませんが、日々増加する感染者を目の前に、 「この処置で本当に大丈夫なの」かと不安に感じることもしばしばです。

 いずれにしても、これ以上、日本国内においても、また、世界的にも感染が広がらないことを願うばかりです。

(※1:ロサンゼルス郡とは、ロサンゼルス市以外に、ビバリーヒルズ市、サンタモニカ市など88市を総称した地域を指します)

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(2009年5月12日)