スペシャルリポート

野菜のふるさと、リマの自然食品市

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古来より食べられてきたアンデスやアマゾンの恵み

 リマのビオフェリアの特徴は、なんといってもその商品の個性豊かなこと。採れたてのオーガニック野菜を売るお店には青々とした葉物野菜だけでなく、紫や鮮やかなピンク色をした珍しいじゃがいもが売られています。

 アンデスやアマゾンで採れるペルーならではの食品も並びます。

 キヌアはアミノ酸を豊富に含むアカザ科の穀物。グルテンを含まないので、小麦アレルギーの人にもお勧めの食材です。キウィチャはタンパク質やミネラル、食物繊維を多く含む穀物で、キヌアと共にNASAからもその栄養価と利用価値が認められています。「インカのピーナツ」とも呼ばれるサチャインチは、アマゾン原産。その種を焙ってそのまま食べたり、サチャインチオイルとして利用します。食べ方、使い方が分からない食材は、お店の人が丁寧に説明してくれます。

エコロヒカ・ペルーの取り組み.

 毎週土曜日の朝8時半~午後2時半に開催されているこのビオフェリアは、1999年に「エコロヒカ・ペルー」という団体によって創設されました。オーガニック栽培農家を育て、その価値や概念を教育し、技術を伝えつつ農業開発を支援する団体です。

 ペルーではまだ国によるオーガニック食品の基準が明確に定まっていません。街で売られている「オーガニック」には、なんの根拠もない商品も含まれているのが現状です。この団体は独自の明確な基準に基づき、団体の規約やオーガニックを理解し、品質を順守できる農家だけに認定書を発行、フェリア参加を許可しています。契約農家は、団体による定期的な検査をクリアしなければなりません。だからこそ、このビオフェリアは消費者にも支持されているのです。

生産者の成功がフェリアの鍵に

 リンゴ農家のフリアの家族は、このビオフェリアに参加するためオーガニック農業に切り替えました。しかしエコロヒカ・ペルーの認定書を手にするまで3年かかったそうです。

 オーガニックでのリンゴ栽培は手間がかかるため、耕地面積当たりの収穫高は以前よりも下がってしまい、経営が軌道に乗るまでの暮らしは大変だったとか。しかし安全でよりよい物を求める人々に直接販売ができるようになったおかげで、収入は以前の2倍になったそうです。

 エコロヒカ・ペルーの取り組みは、フリア一家のような成功例をいくつも生み出しました。オーガニック栽培の価値を理解し、消費者が本当に求める作物を生産することが、弱者だった生産者の成功の鍵となったのです。

消費者側にも変化が

 「マイバッグ」を持ってくる人が多いのも、このフェリアの特徴です。リマのスーパーではビニール袋は使い放題で、マイバッグやエコバッグは一般にはほとんど浸透していません。このフェリアも袋類は無料ですが、それでも多くの人が自分でマイバッグやカートを持ってきています。

 先日も、空になったたくさんのカゴを地鶏卵屋さんに返している親子を見かけました。誰に頼まれた訳でもなく、自然に無駄を省こうという風潮が広まっているのです。生産者と消費者の距離が近いビオフェリアならではの光景です。

供給量と価格が今後の課題に

 しかしブームの拡大に供給が追い付いていません。あるスーパーでオーガニックレタスを1000個注文したところ、集まったのはたった300個でした。このスーパーのオーガニック食品の販売伸び率は年7%と大変な勢いだそうですが、食品全体の売上からみるとわずか0.6%。これでは「フェリア(市)」は可能でも「事業」としての成立は困難です。

 また貧富の差の激しいリマでは、品質がいいだけでは売れません。ビオフェリアの商品は概して値段が高く、「身体によいから」というだけで多くの人々の財布の紐を緩めることはできないのです。

 一度食べると、その味の濃厚さや、野菜や果物の持つ本来の旨味の虜となるオーガニックの食品たち。リマでのオーガニック市場は、歩みは遅いものの確実に成長しつつあります。手頃な価格で美味しく安心できる食品がどこでも手に入るという未来が、少しでも早く現実のものとなる事を期待してやみません。


(2009年10月30日)
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