スペシャルリポート

ぜんそくの治療や開運にも 生活に根付いたペルーのハーブ

湿度、気温の変化、環境汚染がぜんそくを生む

 リマにぜんそく患者が多い理由は、大きく分けて二つ。第一の理由は海岸砂漠地帯というリマの気候風土によるものです。冬はガルーアと呼ばれる濃い海霧にすっぽりと覆われ、一日中ほとんど太陽が顔をのぞかせることがなく、どんよりとした湿気が身体を覆います。湿度は常時100%近くになり、この重く湿った空気がぜんそくの原因になるのです。

 夏も油断はできません。砂漠性気候の特徴から、日が暮れると急に気温が下がります。昼間のままの無防備な服装でいるとすぐに身体を冷やしてしまい、「風邪でもないのに、なんだかのどの調子が変…」と思っているうちに、症状を悪化させてしまいます。

 その上に、第二の理由である環境汚染が拍車をかけます。多くの人が年代物の中古車を修理しながらだましだまし使い続けるため、車体のみならずエンジンもすでにボロボロ。特に「コンビ」「ミクロ」と呼ばれる乗合バスから噴き出る排ガスはすさまじく、ひどい時は煙で周囲が見えなくなる事も。30分も外出するとのどはガラガラ、鼻の中まですすで黒くなっているのですから、粉塵がいかにすごいかおわかりいただけるでしょう。

病院や薬局でも薬は買えるけれど

 気候、環境、体調、日常のちょっとしたストレスが重なると出てくるぜんそくの症状。誰かが咳をしていると、「あら、ぜんそく?リマ病だから仕方がないわね」と、半ばあきらめたように慰め合います。

 病院に行っても、「うがいと手洗いをしてね」と、あまりに当然なアドバイスをもらうことも多く、行くだけで疲れてしまいます。

 医師の処方箋なしでも大抵の薬が薬局で買えてしまう当地では、病院の診察費用が高いこともあって、市販薬だけでぜんそくの治療をする人も大勢います。どの薬局も24時間オープン、電話一本でデリバリーしてくれるので、急な発作の時にもとても便利。しかし症状を正しく伝えられずに間違った薬を出される可能性もあります。

 ぜんそくは、ある意味長く付き合っていかなければならない症状。それだけに金銭的負担や副作用の心配が少ない自然の生薬やハーブで抑えることが注目されています。

 変化に富んだ地形から熱帯雨林や砂漠気候など、世界の気候区分の8割が存在すると言われるペルーは、実は世界有数の生薬・ハーブの国。古来よりぜんそくや気管、肺の炎症を抑えるためにも、様々なハーブが使われてきました。

ぜんそくに効くユーカリとウニャ・デ・ガト

 ぜんそくと聞けば、最初に勧められるのがユーカリです。乾いた土地でもよく育つユーカリの葉には強い殺菌力があり、気管内の炎症を抑え、痰を排出する効果があります。ただ独特の刺激臭とピリピリした舌触りがあり、苦くてそれだけでは飲みづらいのが難点です。

 「ネコの爪」という意味のウニャ・デ・ガトも、ペルーのアマゾンが原産。抗炎症、抗感染、抗酸化作用が認められ、身体の免疫力を高める働きがあり、サプリメントやティーバッグなど、様々な形で売られています。

 年明けから1ヵ月ほどぜんそくの症状に苦しんでいた私は、この2種類のハーブを試してみました。大さじ1杯分のウニャ・デ・ガトのシロップにユーカリエッセンスを数滴、これを朝晩飲みます。

 素晴らしい抗炎症作用で、2日目には辛かった胸の痛みから解放されました。去痰効果も高く、飲むとほどなく痰を出そうと咳が出ます。胃腸への負担など、特に副作用もありませんでした。

 飲んですぐ治る、という事はありません。しかし、じわじわと穏やかに効く感じが気に入りました。幸いな事に咳も治まったので、これからは免疫力アップの為にも、少しずつ飲み続けてみようと思っています。

治療だけでなくおまじないも!?

 リマのメルカド(市場)に行くと、八百屋や肉屋と並んで、様々なハーブを扱う店があります。狭い店先にはハーブが無造作に積まれ、奥の棚にはハーブを使ったオイルやエッセンスがいっぱい。

 ぜんそくに効くハーブを尋ねてみると、やはりユーカリを勧められました。小瓶に入ったユーカリシロップには、蜂蜜をベースにユーカリ、アロガロビーナ、チュチュワシ、カスカリラなど、抗炎症、消毒、抗菌作用、免疫力強化の効果が認められる14種類もの生薬が使われています。

 ユーカリの生の葉をお湯に入れて、ユーカリ茶として飲む事もあります。舌を刺す強い刺激があって、お世辞にもおいしいとは言えない味ですが、飲んだ後はのどの奥がすきっとしました。

 その他コパイバというハーブも、ぜんそくの発作によく効くのだとか。抗炎症、胃潰瘍、気管支炎、結核、また肝臓や泌尿器系の病気治療にも利用され、「アマゾンの万能薬」とも呼ばれているそうです。こちらも苦く個性的な味なので、知人から蜂蜜やヨーグルトに数滴垂らして一気に飲むようアドバイスをもらいました。当地でもやはり良薬は口に苦いようです。

 ハーブは病気治療や予防だけでなく、日常生活の中にも深く根ざしています。例えば新しく商売を始める時、当地ではローズマリーやミント、ユーカリ、ラベンダーと共に、数種類のハーブとバラの花びらをお風呂に入れ、商売の成功を祈りつつ入浴するのだとか。

 前述のユーカリシロップを買おうとしていた時にも、ちょうどこの金運・開運ハーブセットの注文があり、店の人が手際よくハーブを選んで、ハサミでざくざくと切りながら袋に詰めていました。

 効果の程はまだ確かめていませんが、あの苦しかったぜんそくの症状がハーブですっきり治まった事を思うと、こちらの開運効果も期待してみたいと思っています。

注:ハーブの効用には個人差があります。使用される場合は、ご自身の判断でお願いします。