スペシャルリポート

サステイナブルなシーフード

水族館が立ち上げたプログラム「OCEAN WISE」

 非営利団体OCEAN WISEは、私たちに「サステイナブルなシーフード」についての問題意識を投げかけ、汚染されていないシーフードを安全に食べながら環境にもやさしく配慮するプログラムを数多く行い注目を集めています。

 2005年に設立されて以来、地元の漁業団体やレストランやマーケットなどと直接手を組むことで急速に発展。現在は、バンクーバーだけではなく、カナダ東部にあるオンタリオ州やノーバスコシア州などカナダ全域にわたる150のレストランやマーケットが参加し、2000を超える地域で安全性の高いサステイナブルなシーフードが提供されています。

 提携レストランは日本食、イタリアン、フランス、マレーシア、北米料理など幅広く、中でもピザのチェーン店が提携するなどサステイナブルの波はファーストフードにも広がりつつあり、安全性の高い料理が望まれていることがうかがえます。

 レストランがOCEAN WISEと提携するためには、メニューを同団体が認めるサステイナブルなシーフードを使った料理に少しずつ変えていく必要がありますが費用は一切かかりません。

 シェフはワークショップやセミナーへ参加して、半年に1度はサステイナブルなメニューを増やしていく努力が必要です。提供する側もおいしくて安全なメニューを考えることでお客さんを増やし、消費者が安心な食材を食べられると両者にメリットがあり、地球環境にも配慮できるプログラムなのだからカナダ全域に広がるのもうなずけます。

安全なシーフード料理って?

 提携店のメニューにはOCEAN WISEメニューとして魚の絵のマークが付いています。お客さんは、その魚のマークを見ることで「安全なシーフードを使った料理」「環境にやさしいシーフード」だと一目で判断できるのです。

 OCEAN WISEが認める環境にやさしい魚介類の定義のひとつとして、引きなわ釣りなどの漁獲手段や無理な養殖の方法によって乱獲を防ぎ、漁獲量の少ない魚を保護し生態系が崩れないようにすることなどがあげられます。

 海藻やサンゴがある地域や魚の繁殖エリアなどで乱獲せず、既定のサイズより小さいものは捕獲しないなど海洋生態系を長期的に保全できる方法で漁獲し養殖しなければなりません。

 また、細菌や抗生物質などの薬物で汚染されている養殖エビなどを使用せず、どこで誰がどのように漁獲・養殖しているか安全性を明確にし、信頼できる漁業団体から仕入れることも必要だと考えています。

ユニークなイベントが盛りだくさん

 地元の漁業グループなどと手を組み企画したイベントの中には、地元で水揚げしたばかりのエビを有名料理店のシェフが調理して屋外で食べるというものも。以前に海外から輸入された汚染エビが問題になったことがあり、「輸入に頼らず、細菌汚染されていない地元のエビを食べよう」ということをテーマに掲げ、漁船を目の前に行われたイベントは大盛況で、新鮮なエビの香ばしい香りに誘われて行列が後を絶ちませんでした。

 シーフードチャウダー選手権では、シェフらが地元産にこだわったシーフードをたっぷり使って独自のチャウダーを競い合うなどイベントもユニークで、お客さんも舌づつみを打ちながらシーフードについて考える機会を得ることができました。イベントに参加して食事を楽しみながら、環境についての問題を考えるきっかけとなり一挙両得ですね。

熱心な活動

 提携先は幅広く、大学やスーパーなどともパートナー提携しています。ある缶詰メーカーは、サステイナブルで質の高いシーフード缶を商品化して低品質のイメージを払拭し、料理学校の生徒たちは積極的にOCEAN WISEのイベントに参加することで消費者とふれ合いながら環境や安全性について学びます。

 私が大学でエコ・環境のイベントに参加した時や、地元のワインフェスティバルに遊びに行った時もOCEAN WISEのブースが設置されていてイベントの主催者としてだけではなく、参加するという熱心な活動に驚きました。私たちがイベントなどで直接、シーフードについて疑問や質問を投げかけるというのは、活動を広めるためにも大事なことですね。

OCEAN WISEの願い

 乱獲や汚染によって海の生態系が崩れ、2048年までに世界的に魚が消滅してしまうのではないかという分析が化学専門雑誌「サイエンス」で発表された今、海の環境に配慮してシーフードを消費していく責任があるとOCEAN WISEは考えています。

 「環境にやさしいシーフードをどのように消費者に提供するかということは、レストランや漁業団体にとってチャレンジになる。しかし消費者も正しい知識を得てサステイナブルなシーフードを選択することが次世代に向けて環境を損なわず維持し続けることができる」と目的を持ち、さまざまな企画を立ち上げて活動しています。

 魚介類を消費する私たちは、今後もおいしく安全にシーフードを食べていくために、海の環境保全について考えていく時期なのかもしれません。


(2009年2月27日)