スペシャルリポート

ゆったりと豊かに暮らす 〜ガリアノ島に習うスローライフの方法〜

ガリアノ島民の団結力

 シャロンさんとグィリアムさんご夫妻は、カナダのバンクーバーで生活をしながら60歳で早期退職し、自分たちと島の人の助けを得て約2年を費やしログハウスを完成させました。リタイヤした後はのんびり島で過ごすと決め、10年前にガリアノの土地を購入したのです。

 ログハウスの魅力といえば、家の中は木の香りが立ち込め、冬は暖かく夏は涼しいということ。夏の暑い日は、森の中にハンモックを吊って、木陰でお昼寝するのが日課だといいます。

 ガリアノ島は海や山などの自然に恵まれ、自然を守るための会議や投票などが頻繁に行われます。森を守る島の法令が順守されており、広大な敷地を保有していても、木を切り倒して同敷地内に何件も家を建設することはできません。島の会議に積極的に参加するご夫妻の家の周りは、樹齢何百年とも言われる高くそびえ立つ木々に囲まれています。仲間の協力で手作りログハウスや畑などを作ることはよくあることで、「自分たちで出来ることに力を貸し合うのは当然。昔ながらの助け合いや島民の団結力はすばらしい」と語るグィリアムさん。

 島には約40人の子どもが通う小学校があり、島民がボランティアで引率者となりハイキングや工作のアクティビティなどを行います。先生や親以外の大人から自然の大切さを学び、共に楽しむことはとても大事なことなのです。また、健全な食物を育てることを目的とした「フードプログラム」も、100人を超すボランティアから成り立っています。

ゆっくりと流れる時間

 島には、スーパーやレストランが数軒あるだけ。必要なものが手に入りにくいのではと思いがちですが、オーガニックの自家菜園をしている人が多く、物々交換で野菜や果物を手に入れることができるのです。

 すぐに手に入らない麺やデザートなどは手作りできるため不便は感じないというシャロンさん。島民が育てたイチゴを使って作る「ベリーパイ」も得意。スープストックは鳥骨を煮出して作り、トマトソースはトマトから作る。時間がのんびり流れるガリアノ島では、手間や時間を惜しむ必要はありません。

 最近の趣味は、双眼鏡片手に朝から散策するバードウォッチングやキノコ狩りで、鳥の声を聴いて種類を判別できるようになったといいます。「鳥や虫の泣き声が音楽よ」の言葉通り、テレビなどの娯楽は必要がないほど自然の娯楽であふれています。

 透明に澄んだビーチでひと泳ぎしてカヌーをこぐもよし、ガリアノ山をハイキングするもよし。ハンモックを吊るして、鳥の声を聴きながら読書をするという優雅な気分を味わうことも。夜は余計な街灯がないため、あたりは真っ暗闇ですが、空を見上げれば満天の星に遭遇。今までこんなに美しく光る星を空一面に見たことはなく息をのむことでしょう。

自分たちの汚水は飲み水へと循環する

 生活水は山から湧き出る水を井戸に貯め使用します。そのまま飲用するためには工事が必要ですが、沸かして飲めば問題はないといいます。肉から出た油などをシンクに流すことは一切せず、冷やして固まらせるか拭き取って処分。掃除方法も酢や重曹など自然のものを利用。自家菜園や植物への水遣りは、レインバレル(水量が少なくなる夏に向けて雨水を溜める樽)の水を利用するなど、山から流れてくる水を大切に扱うよう心掛けています。「自分が汚した水は循環して飲み水となるので、手間だとは思ったことがない。自然の恵みを大切にしたい」というご夫妻。

ゴミを出さない生活

 この島にはゴミ収集所がないので、極力ごみを出さないように生活しなければならなりません。野菜や果物の皮や種は時間をかけて土に返すため、各家庭で独自のコンポーザーを用意。肉や米、麺類などのたんぱく質を捨てるとネズミが増えると言う理由から、必要なものだけを料理し余ったら翌日食べるなど使い切るようにします。どうしてもリサイクルできない肉の骨などの生ゴミは冷凍庫で凍らせて保管。

 ゴミを出さないように生活するのは大変ではないかと聞いてみたところ「ゴミを出すほうが大変よ。なんでもリサイクルできるもの」という答えが返ってきました。最近では一袋10カナダドル(約1200円)でゴミを買い取ってくれるようになったそうですが、使用する人はほとんどいないというから驚きです。

 都会の生活に慣れてしまっている私は、水の使い方からゴミを出さない方法など学ぶことが多かった島の生活だが、都会の中でも実践できることは多い。島の中で積極的に行われるボランティア活動や、コミュニティの結束の強さ、島民の自然を守ろうとしている姿が印象的だった。ガリアノ島の美しい自然は、島民の団結力と努力の賜物だといえるだろう。


(2008年10月10日)