本誌連動企画

エコのこともっとマジメに「意外と身近な輸入品 TPPを機に、食へもっと関心を」

目先の言葉よりも、もっと広い視野でエコに向きあうページです。
知らず知らずのうちに外国産農産物のお世話になってることにも目を向け、
TPPで揺らぐ、国産農産物について考えます。
取材・文=久川桃子 イラスト=コダシマ アコ

 駅の立ち食いそば屋でかけそばを食べたとしましょう。自給率はどのくらいでしょうか。そば粉の自給率は約23%、小麦粉の自給率は約11%。どちらも国産の方が価格が高いため、値段を優先させるお店では輸入品を使っていることがほとんどです。

 そばの上にのった茹でほうれん草は国産では? いえいえ、そうとも限りません。外食店では冷凍品を使うことも多く、この場合は輸入品の可能性が高いのです。国産なのは薬味のネギだけかも…。

 先日、読者のみなさんに、国産農産物についてのご意見を募集しました。「野菜は必ず国産を買う」「少しくらい高くても、国産を選びたい」という人がたくさんいました。

 でも、ちょっと待って。スーパーでは、国産であることを確認するのに、レストランに行った瞬間、食べているものに無頓着になってはいませんか?冒頭のそばの例で見たように、多くの外食店を輸入農産物が支えていることを忘れてはなりません。

TPPの参加影響は? 今の自給率(H.21速報) TPP後の試算(農水省)

米の9割が外国産に!?

 今、国産農産物が環太平洋経済連携協定(TPP)によって大きく揺れています。TPPとは、参加する国々の間で、すべての品目の関税がゼロになるというもの。もともとはチリ、ブルネイ、ニュージーランド、シンガポールの間で結び、のちにアメリカが交渉に参加するようになりました。 日本で話題に上るようになったのは、昨年秋。政府は今年の夏にも交渉への参加の是非を決めようとしています。

 関税がなくなると、国産農産物はどのような影響を受けるのでしょか。右に、農林水産省が昨年10月に発表した試算の一部があります。

 例えば、現在、ほぼ自給率100%の米。TPPに参加すると、90%が輸入米に置き換わると試算されています。

 ちょっと驚きの数字ですが、今、5kg2千円程度で売っている米が、輸入米なら500円ほどで買えるようになるということ。生き残る国産米は、有名ブランド米や有機栽培などの高級品だけで、主に価格で評価される米は輸入米に置き換わるという試算です。

 なぜ、国産米が4倍も高いかについては、生産が非効率だからという見方があり、TPPを機に農業改革を訴える声もあります。

 ほかにも、砂糖や畜産関連で大きな影響が出る可能性が指摘されています。

日本は農業に適している

 農業関係者の間ではTPPに根強い反対がありますが、みんなが反対しているわけではありません。ブランド米のように、付加価値の高い農産物を生産している農家は、むしろ輸出のチャンスと考えています。千葉で農業を営む藤井淳生さんはこう言います。「日本ほど農業に適した気候はない。やり方によっては、農業大国にさえなれる。私の場合、価格だけに目を向ける消費者には興味はない。ちゃんと品質を評価し、相互に尊重し合えるなら、世界のどこでも市場だと思う」

 TPP で変わるのは関税だけではありません。諸外国と比べて比較的厳しい農薬の基準、食品表示の基準なども日本独自には決められなくなる可能性があります。

 「反対」と言うだけなら簡単。でも、もしTPPに参加したら、自分の食はどう変わるのか、そもそも自分の今の食はどうなっているのか。これを機に、食への関心を深めてみませんか。

読者からのご意見 ecomom投書箱に国産農産物についてたくさんのご意見が寄せられました。

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(2011年11月11日)
ecomom2011年3月号より転載