本誌連動企画

私と娘の親子時間 山本ふみこさんの覚え書きレシピ ともに手を動かしながら作る味【お焼き】

一緒に料理を作りながら、子どもと何気ない会話をする。手を動かしながらだからこそ、ふっと素直に話せることもあるのかもしれません。子どもが好きな「お焼き」はそんな台所のおしゃべりな時間にぴったりかもしれませんね。

 子どもたちが大きくなるにつれ、話したいこと、尋ねたいことがあっても、いまは話さずにおいたり、尋ねるのはしばらく待ったり、ということが増えました。

 間のとり方は、それぞれ。

 わたしなんかは、話しはじめるとつい、言い募ってしまうので、自分できつめに制動をかけるわけです。「つい」が、芳(かんば)しくない結果を生むというのは、いかにも残念ですから。

 とはいえ、ひとつ屋根の下で暮らす者同士、話したいことも話さず、尋ねたいことも尋ねないでいるというのは、もっと残念です。

 ともに、手を動かしながら、話すともなく話す、尋ねるともなく尋ねる…。これまでどのくらい、この、手仕事の時間のおかげをこうむったことでしょう。

 おかげがどうでも、手仕事を共有できるうれしさといったら、もう……。

「口ばかり動いて、手がとまってる」などと、注意を促しあいながら、せっせと手を動かします。

 子どもばかりでなく、(歳の)小さな友人や、大きな友人とも、一緒に手仕事をする楽しみを、このごろ、とみに感じるようになっています。

 手を動かしながらともにそこに在るだけで、親しさが静かに深まってゆくようです。

 今日は、おすすめの軽食作り<お焼き>をご紹介します。手を動かしたのち、ともにおいしいひとときをもてるというのは、なんとも愉快ではありませんか。


形はいまひとつですが、これが、なかなかおいしくて。たちまち、なくなってしまいました。
材料(20個分)

 強力粉……350g強
 ぬるま湯…1と1/2カップ
野菜あん
 合びき肉……200g
 野沢菜漬け(みじん切り)……200〜250g
 にんじん(みじん切り)……1本
 長ねぎ(みじん切り)……1本
 塩・こしょう……少しずつ
 小麦粉……大さじ3
サラダ油(野菜あんを炒める分と、皮に包んだものを焼く分)……適宜
作り方
  1. まず皮をつくる。ボウルに強力粉を入れて、ぬるま湯を少しずつ加え、菜ばしで混ぜる。
  2. 全体がよく混ざったら、手に水をつけて(手水)こねる。なめらかになったら、そのまま30分ほどおく。ふたたび手水でこね、さらに30分おく。
  3. その間に野菜あんをつくる。フライパンにサラダ油を熱し、合びき肉を炒め、野沢菜と野菜を加えてさらに炒める。仕上げに塩・こしょうで味をととのえる。野沢菜の塩気があるので、味つけは控えめに。
  4. 3に小麦粉を加えて、粘りを出してから火をとめる。
  5. 梅の実ほどの大きさにたね(皮)をちぎり手のひらにのせ、手水をつけながら広げる。真ん中に野菜あんをのせて包む。
  6. フライパンにサラダ油を熱し、皮に包んだものをのせて焼く(弱火)。ふたをして両面をゆっくり焼く。焦げ目がつき、ふちが透きとおってきたら焼き上がり。
  • ※コツ1 手のひらの上でたね(皮)を広げるとき、よくのばして野菜あんをたくさん包みます。
  • ※コツ2 冷めてもおいしいですが、蒸せばあたたかいお焼きがたのしめます。
  • ※コツ3 小豆あん、好きな野菜でつくるあんなど、いろいろなお焼きができます。

手のひらの上のたね(皮)は、もっともっと広げられます。
けれど、どう包んでも、おいしくできます。
好きなように、楽しく……です。

clear

レシピ・文・写真:山本ふみこさん
随筆家。夫、娘3人、黒猫との5人と1匹暮らし。
日々のくり返しのなかにおもしろさを見つけるのが好き。母親として、子どもに向き合う姿勢が多くの共感を呼ぶ。
最新刊は『足りないくらいがおもしろい』(オレンジページ)。
http://orangepage.cocolog-nifty.com/fumiko_y/

clear

(2011年6月24日)