本誌連動企画

もっと知りたい! フェアトレード

経済的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の生産者と、公正な貿易を行う「フェアトレード」。日本でも、イオングループなどでの取り扱いで徐々に普及しています。
「フェアトレード商品」の認証ラベルが付与されるためには、高い環境基準を含めた、厳しい基準をクリアしなければなりません。
フェアトレード商品が増えれば安心・安全な農作物が増え、環境保全にもつながります。その仕組みを紹介しましょう。
国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード基準を守って生産および取引された商品にのみ、このラベルが貼付されています。
取材協力・画像提供=フェアトレード・ラベル・ジャパン
1993年に日本でフェアトレード・ラベル運動をすすめる「トランスフェアジャパン」が発足。97年には、日本を含む14のラベル認証機関によって「国際フェアトレードラベル機構」が生まれ、02年には世界統一の国際フェアトレード認証ラベルが完成。新ラベルの導入と組織のNPO法人化にともない、04年「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)」に改称し、現在に至る。
http://www.fairtrade-jp.org/
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フェアトレード(公平貿易)とは?

 「フェアトレード」、直訳すれば「公正な貿易」。現在のグローバルな国際貿易の仕組みは、経済的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の人々にとって、ときに「アンフェア」で貧困を拡大させるものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する「オルタナティブトレード:もう一つの貿易の形」として始まった運動がフェアトレードです。

生産者の現状:コーヒーの場合

 例えば、コーヒー生産国のほとんどは、いわゆる開発途上国です。しかしコーヒー豆の買取価格はニューヨークとロンドンの国際市場で決められます。生産者たちは直接販売に関われず、中間業者と取引することになります。

 国際市場価格は変動が激しく、ときに生産コストを大幅に割ってしまうことさえあります。せっかくコーヒー豆の収穫を迎えても、中間業者の言い値で買い叩かれて生産コストすらまかなえないことも。

 コーヒー豆は熱帯雨林の日陰でも栽培できるので、通常は森林を伐採しなくても栽培が行えます。ところが生活できなくなれば、コーヒー豆の栽培をやめて別の作物を植えるために、森林伐採せざるを得ない人も出てきます。

 さらには子どもを学校に行かせる余裕もなくなり、子どもも労働力にしないと生活できない家庭も生まれてしまいます。

持続可能な「最低価格」を保証

 国際フェアトレード基準では、生産者の持続可能な生産と生活を支えるために必要な「フェアトレード最低価格」が定められています。国際市場価格がどんなに下落しても、輸入業者は「フェアトレード最低価格」以上を生産者組合に保証しなければなりません。

 例えば、アラビカコーヒーのフェアトレード最低価格は1ポンド(約453g)あたり1ドル25セント(約105円)。有機認証のコーヒーだとプラス20セントが上乗せ保証されます。

奨励金を地域の発展に役立てる


ドミニカ共和国のカカオ生産者組合では、フェアトレードのプレミアム(奨励金)で井戸と水のタンクを設置し、地域の人たちに清潔な水が行き渡るように。photo: Jasper Carlberg

 「フェアトレード最低価格」の保証に加え、国際フェアトレード基準では、輸入業者が生産者組合に対して、社会発展のためのプレミアム(奨励金)も保証するように定められています。

 コーヒー豆の場合、プレミアムは1ポンドあたり10セント。レギュラーコーヒー150g製品に換算するとプレミアム金額は約4円、コーヒー1杯あたりでは0.3円程度です。小さな金額のように思えますが、生産者組合が手にするプレミアムは取引量に応じて30万円、300万円、というまとまった金額になります。生産者組合はそれを生産技術の向上や機材の購入、地域の小学校や病院の建設などに役立てています。

 フェアトレード最低価格とプレミアムの保証により、生産者は安定した生活を送り、環境に無理な負荷をかけることなく、良質な作物づくりに励むことができるのです。

生産のための厳しい環境基準

 フェアトレードでは環境面でも厳しく基準が定められており、森を破壊したり、危険な農薬を使ったりすることなく自然環境を守りながら生産されています。

 上述のように有機認証を受けると買い取り価格が上乗せに。有機認証を受けるのは大変ですが、生産者のモチベーションもアップしているそうです。

児童労働の禁止:カカオ製品の場合


エチオピアのコーヒー生産者組合では、フェアトレードによって得たプレミアム(奨励金)で小学校を建設し、地域の子どもたちが学校に通えるように。 photo: Linus Hallgren

 開発途上国では児童労働も深刻な問題です。その温床の一つとして近年明らかになってきたのが、カカオ豆の農園での労働でした。

 国際フェアトレード基準では、児童労働を禁止し、安全な労働環境を保証しています。またコーヒーの例でも触れたように、フェアトレードにより生産者が適正で安定した収入を得ることができれば、子どもを労働力にしなくてもすむのです。

日本での普及は?

 フェアトレードに参加する企業・市民団体は年々増えています。メディアでもフェアトレード関連の話題が取り上げられるようになりました。

 ところが、関心を持つ人でも「この製品を買うと、現地にいくら寄付されるのですか?」といった「チャリティー」と混同している場合が。「厳しい基準をクリアした高い品質の生産物を、公正な価格で取引する」というフェアトレードの意味を理解している人は、まだ多いとはいえません。

消費者としてできることは?

 企業には「フェアトレード認証を取得するための費用や手間、商品を販売したところで消費者の理解が低く採算が取れないのではないか」という不安があるようです。逆にいえば、消費者からのニーズがあれば、フェアトレード商品はどんどん普及するでしょう。

 率先してフェアトレード製品を扱う企業やお店を応援したり「フェアトレード製品を置いてください」といった小さな声が大切です。

 長い目でみれば、私たちの暮らしをより持続可能なものにしていくフェアトレード。家族や友達との話題にする、プレゼントにフェアトレード製品を選ぶなど、みんなの意識を変えていきたいですね。


フェアトレード商品の一例。有機栽培の製品も人気です
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●フェアトレードの製品紹介
http://www.fairtrade-jp.org/products/retail/retail_coffee/

●フェアトレード教材・資料
http://www.fairtrade-jp.org/get_involved/cat81/


(2011年1月7日)