
スーパーに行くとフィンランドの国旗や白鳥、鍵をモチーフにしたマークが商品パッケージについていることに気がつきます。使用される商品によって種類がわかれますが、どれもその商品が「国内産」や「国内産原料使用」であることを示すマークです。国旗の色、ブルーを基調にしたこのマークには、野菜からベビーフードまで、私もすっかりお世話になっています。
フィンランド人は国産品が大好き!だと思います。その理由として二つの事が思い当たります。一つは、国産メーカーが国民の価値観にぴったりとあった物作りをしていること。「謙虚さはあなたを美しくする」という格言に見られる通り、フィンランド人は質素、謙虚を好みます。
シンプル、ミニマムが好きで、装飾性よりも機能性が大事。先日も友人宅のキッチンで立ち話をしていると、友人が思い出したように突然引き出しをあけました。「見てー!これなんだと思う?なんとアボカドピーラー。するりと皮からはずせるのよ。すごくいいの。フィスカルスよ!」ととっても自慢げ。
フィスカルスとは、フィンランドが世界に誇る刃物メーカー。一見飾りも何もない、ただの楕円の器具なのですが、しなり具合、握り具合ともに絶妙で、アボカド好きな私はすぐに同じものを買いに走りました。
フィスカルス以外にも、フィンランドのブランドで日本での人気が高いものがありますが、これらは実際にフィンランド人の日常にも深くとけ込んでいます。
こちらに来た当初、普通のカフェでイイッタラのマグがでてきたり、街で世代を問わずマリメッコのバッグが愛用されているのを見るたびに、さすが!と感激したものでした。
どのメーカーも、国民の好みにあったシンプルで機能的な物作りを実現している結果、高い支持を得ているのだと思います。
そして次に、強い愛国心。長かったスウェーデン、ロシアの支配下から独立して90年ですが、あたかも独立時の気運が風化していないかのよう。自分たちの国の事をとても誇りに思っています。フィンランド人が「フィンランドってどう思う?」と、”期待しながら”聞いてくる、というのは外国人の間ではお決まりのジョークです。
普段はシャイなのに、お酒が入るとお国自慢を始める人も多数。街のパブで、または隣国行きのフェリーの中で、いい気分になったフィンランド人がいかに素晴らしい国かを教えてくれます(でももちろん日本人の私も、暮らしやすい、素敵な場所だと思っていますよ!)。
この愛国心は国産品への絶対的な信頼感にもつながるようで、それは毎日のお買い物の中でも顕著です。「国産レタスは洗わなくていいのよ」「国産卵だったら生で食べられるよ」「輸入冷凍ベリーはノロウィルスの危険性があるけど、国産はだいじょうぶ」「妊娠中は国産大手メーカーのチーズ以外は心配」などなど、特に食品への信頼感はかなりなものです。
また、長く寒い冬の間は南ヨーロッパから空輸される野菜の方が割安となりますが、それでも多くの人が毎日食べるトマト、きゅうりなどは国産品を手に取るのです。かたくななこだわりがフィンランドの地産地消を支えています。
ちなみに食料自給率全体では80パーセントを超えているのとの事。農業には厳しい環境の中、かなり高い数字だと言えます。厳しい自然環境にある人口520万の小さな国、いろいろな選択肢はありませんが、逆に身の回りで手に入るものを大切にしながら、シンプルに暮らす姿勢は見習いたいなと思います。
国産でなきゃ!という意識は、近年首都圏や若い世代の人々の間で減少傾向だとのこと。でも私から見れば、皆まだまだ「国産大好き!」な人ばかり。今日もまた「これ、すごくいいのよ!…」と新しいフィンランド産のお気に入りを教えてもらえるかもしれません。
フィスカルス:http://www.fiskars.com/jp/
イイッタラ: http://www.scandex.co.jp/iittala/index.html
マリメッコ: http://www.marimekko.jp/index.html
フィンランドの首都ヘルシンキ近郊に暮らす。日本人のご主人との間に、フィンランド生まれの2歳のお子さんが一人。現在は現地企業に在籍しつつ、育児休業を満喫中。
著書に『北欧フィンランドのかわいいモノたち』(インターシフト)。