![]() 紀元前1300年頃に制作された、古代エジプト・ツタンカーメン王の黄金マスク。あのマスクは、ほうろうの最初期のものといわれています。とはいえ、現在、一般的に使われている鉄ほうろうとは違い、金・銀の金属質にエナメル質ガラスを加工したもので、七宝の一種ともいえるものです。 これは、古代から人間が「金属とガラスを結びつける技術」を持っていたことの証明ともいえるでしょう。 |
![]() 日本にほうろうが現れるのは、聖徳太子が活躍した飛鳥時代。ほうろう製品とわかるもので有名な作品は、奈良時代までに作られた、正倉院の「十二陵鏡」といわれています。 その後は桂離宮のふすまの引手や釘隠しなど、装飾の技術として定着していった、ほうろう。江戸時代に印籠や刀のつば、たばこ入れなどにも使われました。こうした装飾としての「七宝」から離れて、日本で実用品として使われはじめたのは、明治時代以降のことです。 |
![]() 世界をみても、ほうろうは18世紀までは装飾品として使われていました。実用化が始まったのは19世紀のイギリス。鉄のさび止めの技術として注目されたのが、そのはじまりです。ドイツ・オーストリア地方を中心に発展し続け、1924年の大量生産方式の確立とほうろう用純鉄の開発、1948年のチタン釉薬(うわぐすり)の開発などで、すぐれた製品が次々に生まれました。 |
![]() 日本では1866年に初の鋳鉄ほうろう鍋が登場。1890年には陸海軍の食器に、ほうろうが使われはじめました。 20世紀半ば頃は、洗面器、食器類、弁当箱などが主な商品。中には粗悪な製品もあったため、「ほうろうは、はげやすい」といったイメージが残ってしまったのも事実です。 その後、次々と改良品や新製品がつくられ、品質も進歩しました。衝撃に対する強度も強くなり、調理器具はもちろん、建材、医療器具など、幅広く使われるようになって今に至っています。 |
![]() 熱を伝えやすい性質を生かして、最近では、IH対応の調理器具も人気。高熱にさらされる調理器具を選ぶときは特に、(1)「家庭用品質表示に基づく表示」というラベルもしくは取扱い説明書の中の「材料の種類」が「ほうろう用鋼板(こうはん)」と書いてある、(2)「日本琺瑯工業会」の安全マークシール(左図)が貼られている――を基準にするといいでしょう。 ちなみに「安全マーク」の100V用と200V用の違いは耐熱強度。200V用は、ほうろう層の耐熱強度が500℃と高めです。またIH用の調理器具をガス調理機器で使ってもOKです。 ※マークつきの製品はPL保険の責任についても保証があります。 |
![]() 急激な温度変化や、衝撃に弱いといった弱点を技術でカバーして、使いやすくなったほうろう製品。 とはいっても本誌で見たように、基本は、鉄などの表面をガラスで覆った、とても繊細なもの。見た目の美しさを保つためにも、弱点をよく理解して使ってあげることが長持ちのコツですね。 |