| 清月堂本店は、明治40年に、現在本店を構える銀座7丁目(旧京橋木挽町)に創業しました。初代・水原嘉兵衛は、井戸水を使った水羊羹と葛桜を売り出し、評判になりました。 家号の由来は、創業地の近くに日本橋、新橋、京橋と橋が多く、橋からながめた水面に月がきれいに写っていたことから命名されたそうです。 初代より伝わる教えは二つ。「代々自分のお菓子を持つこと」と「四季折々の季節の和菓子を楽しんでいただくこと」だそうです。 この教えに従って、代々の主人は、それぞれ得意の菓子を生み出してきました。初代は水羊羹や葛桜。二代目は「江戸好み」など半生菓子、そして三代目は、きみしぐれの「おとし文」、四代目は、焼菓子「蓬の峰(よものみね)」を創作しています。 そのほか、清月堂に伝わる季節のお菓子にはこんな由来があります。 |
![]() |
![]() |
甘く煮たごぼうを二つ折りにした餅ではさんだ花びらもちは、新年には欠かせないお菓子です。このお菓子のルーツは、遠く平安時代までさかのぼりますが、もともとは宮中の正月の儀式のお菓子として伝えられたものでした。明治に入ってから、茶の湯の裏千家が初釜に使うことを許されてから、一般に広まりました。 このお菓子のルーツは、もともと雑煮にあるといわれています。ごぼうは、鮎を固く干した押し鮎、はなびらの餅は丸もち、中のあんは、白みそを表しています。このお菓子をいただくことで、お雑煮を一度にいただく、という意味を込められています。宮中では、正月に長寿を願って、固いものをいただく歯固めの儀式をします。花びらもちは、この歯固めの儀式に使われたと言われています。 |
| 江戸時代後期の享保年間、江戸の桜の名所として知られていた隅田川河畔のお店が売り出したのが最初です。関東では、小麦粉を使った生地を薄く焼き、あんこを包んだものが一般的で、いまも向島の「長命寺桜もち」にその姿が残っています。たくさん降り積もる桜の葉に悩まされた長命寺の門番が、葉を塩漬けにして、お餅を包んで売ってみたところ評判になったとことから生まれたそうです。 関西では、干したもち米を砕いた道明寺粉であんをくるんで作るものが一般的だったことから、さくらもちを「道明寺」と呼ぶことが多いようです。長命寺も道明寺も、どちらも今も実在するお寺です。 | ![]() |
![]() |
5月の節句には欠かせないお菓子ですが、これは柏の葉が、新芽がでるのを待つように落葉するところから、家系が絶えないようにとの願いを込めて、5月の節句に用いられるようになりました。昔、食物を包んだりした植物の葉の総称を「炊葉(かしぎば)」と言いました。これが転じて「かしわ」になったのではないかと言われています。柏もちが出てきたのは、安土桃山時代あたりからですが、端午の節句に食べる習慣が出来てきたのは江戸時代から。柏もちには、こしあんとみそあんがありますが、葉表を内側にして包むのがこしあん。表側に包むのがみそあんです。「子どもの将来を潰さないように」との配慮から、潰しあんは使わないのが慣例です。また、地方によっては、初節句には、柏もちではなく、粽(ちまき)を配るところもあるようです。 |
| ようかんは、鎌倉時代以降、禅宗とともに日本に伝わりました。中国では文字通り「羊肉の羹(あつもの)」で、羊の肉を入れたお吸物を意味しています。中国には、「羊肝こう」「羊肝もち」という、羊の肝に似せた小豆と砂糖で作る蒸し餅があります。これが日本に伝来した際、「肝(かん)」と「羹」の音が似ていたことから「羊羹」という文字が使われるようになったとされています。 寒天を使ったようかんは、1589年に太閤秀吉が諸大名を京都の聚落第に招いた際、伏見の鶴屋(現在の駿河屋)に作らせたのがはじめと言われていわれています。しかし、この新しい羊羹の製法はなかなか普及せず、江戸で盛んになるのは18世紀に入ってからでした。 |
![]() |
![]() |
冴え冴えと美しい秋の夜空は、月を眺めるのにぴったりの季節です。旧暦8月の満月は昔から「十五夜」「中秋の名月」と呼ばれ、美しい月を愛でる習慣が広まっています。月見だんごは、収穫の秋に風習として今に伝えられてきました。お月見といえば月見だんご。もともとは、里芋を供えていたようです。すすきは、稲穂を見立てたものだとか。収穫の秋、自然の恵みへの感謝が込められているのですね。静岡の方では、まんなかがへこんだリング型のおまんじゅうにあんこをつけていただく、へそまんじゅうが、十五夜のお供えにされるところもあるようです。 |
| 12月を代表するお菓子は、お店それぞれの個性が出るようです。清月堂の代表的な菓子「おとし文」は、黄身あんをこしあんで包み、蒸気をあてて作るお菓子です。もともとは、ようかんのような細長い形だったそうですが、一口サイズが欲しいというリクエストで、現在のような形になりました。ほろほろとした口どけが、あたかも切ない思いをしたためた恋文だというところから「おとし文」という名前が付いたそうです。 | ![]() |