本誌連動企画

年齢で違う! 子どものデンタルケア

監修 昭和大学歯学部 小児成育歯科学助教授 井上美津子先生

 初めての歯が生えてから乳歯が出そろい、やがて永久歯へ。子どもの歯は、あごの発達とともにめまぐるしく変化します。歯が入れ替われば、当然、虫歯リスクの高い場所も変わってきます。
 日々の歯磨きでは、そうした虫歯になりやすい場所を重点的にケアすることが大切。ここでは、子どものデンタルケアのポイントを月齢・年齢別にまとめてみました。
 歯の生え方には個人差があるため、発達の目安と実際の子どもの年齢とは必ずしも一致しないかも知れません。多少前後していても心配せず、実際の子どもの歯の状態にあったケアを心がけましょう。


誕生~6カ月  歯肉の中で歯が育っています

まだ歯は見えませんが、妊娠7~10週目から少しずつ形づくられてきた乳歯が、歯肉の中でどんどん大きくなっていきます。この時期は、指しゃぶりやおもちゃしゃぶりを通して、口の過敏や反射がなくなっていく時期です。

<ケアのポイント>
スキンシップの一貫として、顔や口のまわりを触ってあげましょう。この時期に、口のまわりに触られることに慣らしておくと、歯が生えてからのケアがスムーズです。

6カ月~9カ月 最初の歯が顔を出します

最初の乳歯は、生後6カ月ぐらいから生え始めます。下の前歯2本、続いて上の前歯2本の順番で生えるのが一般的ですが、上の前歯から生える子や上下同時に生えてくる子もいます。

<ケアのポイント>
まだ歯ブラシで磨かなければ落ちないような汚れはつきにくい時期です。食後は濡れたガーゼなどで歯をふき、口の中を触られることに慣らしましょう。嫌がらないようであれば、赤ちゃん用の歯ブラシをくわえさせるなど、歯ブラシの感覚に慣れさせることも大切です。

10カ月~1歳3カ月 前歯8本が出そろいます

生後10カ月ごろから上の前歯が生え始め、1歳3カ月くらいまでに前歯8本が生えそろいます。ただし、乳歯の生え方は個人差が大きいので、プラスマイナス半年くらいの誤差は考えられます。

<ケアのポイント>
1日1回、授乳をするときのような抱っこの姿勢で、軽く歯を磨いてあげましょう。この時期は汚れを落とすことよりも、歯磨きに慣れさせることが重要なので、ゴシゴシ磨きは禁物。前歯の歯肉は特に敏感なので、傷つけないように気をつけましょう。夜間の授乳や甘い飲み物を控えるなど、歯磨き以外の部分で虫歯を予防することが大切です。

1歳3カ月~2歳6カ月 奥歯が生え始めます

前歯から1本おいた第一乳臼歯(奥歯)が生え始めるのは、1歳3カ月ごろ。乳犬歯は、1歳6カ月ごろから、第二乳臼歯は、2歳過ぎから生え始めます。第一乳臼歯4本が生えそろうと、歯肉ではなく歯でかみ潰せるものが増え、食べ物の幅が広がりますが、かみ合わせ面の溝には汚れが溜まりやすくなります。また、虫歯菌がママから子へうつりやすい時期でもあります。

<ケアのポイント>
抱っこ磨きでは臼歯のかみ合わせ面が見えにくいので、座った膝の上に子どもをあお向けに寝かせた、寝かせ磨きへと移行します。臼歯の溝、歯と歯肉の境など、虫歯になりやすいポイントを手早く磨いてあげましょう。まだ歯の生えていない歯肉まで磨いて、痛い思いをさせてしまうと歯磨き嫌いの原因になるので要注意です。甘いものを控える、唾液の分泌を促す根菜類を盛り込むなど、食べ方やメニューで虫歯菌を増やさない工夫も必要です。

2歳6カ月~3歳 乳歯がすべて生えそろいます

2歳過ぎから第二乳臼歯が生えはじめ、2歳6カ月~3歳くらいまでには全部で20本の乳歯列が完成、かみ合わせが安定します。この後、6歳前後の永久歯への生え替わりまで、大きな変化はありませんが、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、虫歯が進行しやすいので十分な注意が必要です。

<ケアのポイント>
自分磨き用の歯ブラシを用意して、自分でも磨く練習を始めます。できれば朝晩、少なくとも1日1回は、親による仕上げ磨きでしっかりと歯垢を取り除きます。特に、生えて間もない第ニ乳臼歯は、磨きにくく汚れが溜まりやすい場所。歯ブラシをしっかりとあててブラッシングしましょう。

4~5歳 歯間にすき間ができます

乳歯は生えそろってしばらくすると、前歯の歯間にすき間ができてきます。これは、乳歯より大きい永久歯が正しく生えるためのスペースなので、心配する必要はありません。甘いものを好んで食べ始める時期なので、奥歯の歯間に虫歯ができやすい時期でもあります。

<ケアのポイント>
毎食後の自分磨きと、1日1回の仕上げ磨きをしっかりと行います。奥歯の歯間には、汚れが溜まりやすく虫歯になりやすいので、仕上げ磨きの際に、子ども用のフロスを使って汚れをからめ取ります。

6歳ごろ 最初の永久歯が顔を出します

第ニ乳臼歯の奥に、最初の永久歯である第一大臼歯(6歳臼歯)が生え始めます。この歯は、永久歯の歯並びの基本となる重要な歯。しかし、生え始めは第ニ乳臼歯の陰に隠れて見えにくいうえに、歯ブラシも届きにくく虫歯になりやすい歯でもあります。早い場合には5歳ぐらいから生え始めるので、毎日の仕上げ磨きの際に意識してチェックしましょう。

<ケアのポイント>
6歳臼歯の歯磨きは横からブラシを入れるのがポイント。歯茎を傷つけないようにかみ合わせ面にだけブラシを当て、小さく回すように、他の歯よりも少し長めに丁寧に磨きましょう。また、6歳臼歯の虫歯対策としてフッ素を配合したプラスチック剤で奥歯の溝を埋める「シーラント」も有効です。6歳臼歯が顔を出したら、かかりつけの小児歯科で相談してみましょう。

7~8歳 永久歯への生え替わりが進みます

前歯から順番に永久歯への生え替わりが進む時期です。生え替わり方には個人差がありますが、乳歯がぐらついたり、抜けたりして、一時的に食べ物が噛みにくくなる時期でもあります。

<ケアのポイント>
乳歯と永久歯とが混在する混合歯列期は、歯磨きしずらいので、自分である程度磨けているようでも仕上げ磨きやチェックは欠かせません。歯の凸凹に合わせたブラシの当て方を教えるとともに、歯磨きの必要性についても説明してあげましょう。永久歯の前歯が出そろうと歯間がつまってくるのでフロス磨きも必要になります。

9歳~10歳 犬歯、小臼歯が生えてきます

前歯8本の永久歯が出そろい、6歳臼歯もしっかりとかみ合ってきます。また、乳犬歯、乳臼歯が犬歯、小臼歯へと生え替わる時期でもあります。歯の交換中は一時的に、噛む力が落ちやすくなります。

<ケアのポイント>
最初の歯が生えてから10年近く続けてきた仕上げ磨きも、そろそろ卒業の時期です。卒業にあたっては、歯科医院で歯磨きの指導をしてもらうとよいでしょう。また、定期的に市販の染め出し液を使って、磨き残しをチェックし、正しいブラッシングをトレーニングしましょう。

12歳~15歳 永久歯28本が生えそろう

第二大臼歯(12歳臼歯)が生え始め、15歳ごろまでに親知らずを除く永久歯28本が生えそろいます。永久歯のかみ合わせも徐々に整い、あごの形も決まってきます。

<ケアのポイント>
6歳臼歯と同じく、12歳臼歯も磨きにくく虫歯になりやすいので、シーラントで虫歯対策すると安心です。また塾通いなどで、食生活が乱れる時期でもあります。ジュースやスポーツ飲料、菓子のダラダラ食べにも注意しましょう。


乳歯・永久歯の名称と生え替わる時期
(Schour, I. & Msssler, M. による)※乳歯の名称のみ編集部にて追記
資料提供/花王

監修 昭和大学歯学部 小児成育歯科学助教授 井上美津子先生
74年に東京医科歯科大学歯学部を卒業後、77年から昭和大学小児歯科学教室へ在籍し、助教授へ。著書に「じょうずにかんでしっかりゴックン」(芽ばえ社)、「食べる力はどう育つか 子育てと健康シリーズ」(大月書店)など。