本誌連動企画

本誌連動企画 ほっこり あったか 冬暮らし

自然の恵みを生かした「季節のお風呂」を楽しもう

1月 松湯

松の葉の煮汁を加えたお風呂が、松湯です。松の葉には、皮膚を刺激して血行を促進する精油成分が含まれているので、松湯に入ると身体の隅々まで血液が循環し、その結果、神経痛やリウマチ、肩こり、腰痛が軽減されます。また、松の芳香成分には、疲労感を和らげてくれる作用があります。

松湯のレシピ
松葉はその都度、生のまま使用します。松の内を過ぎたら、お正月の松飾りを利用してもよいでしょう。家庭の浴槽なら1回200~250gの松葉を、まずは樹脂成分が残らないようにぬるま湯でよく洗います。その後、鍋に入れ、水から火にかけて15~20分間煮出した煮汁のみを、布でこして浴槽に加えます。雰囲気を楽しむなら、生の松葉を浮かべてみても。
2月 大根湯

大根の葉っぱを浮かべた大根湯は、冷え性や婦人病治療のために、農村で取り入れられてきた民間療法のひとつです。大根の葉にはビタミン、ミネラル、葉緑素に加え、温泉成分に含まれる塩化物や硫化イオンなども豊富に含まれています。これらの無機成分は皮脂のたんぱく質と結合すると膜を作り保温効果を高めるので、大根湯は冷え性の改善や風邪の予防に効果的です。


大根湯のレシピ
大根1本分の葉を、風通しのよい日陰に2~10日間吊るして乾燥させます。これを細かく刻んで布袋、あるいはお茶用のティーバッグに詰めてお風呂に浮かべましょう。生葉を使う場合は、刻んだ後にすり鉢ですり、絞り汁のみを加えます。
3月 蓬湯

草団子や草もちでおなじみの蓬は早春のキク科の多年草。独特の香りが邪気を払うとされ、古くは魔よけに用いられていたとか。漢方薬としてもよく利用され、生薬名は「艾葉(がいよう)」といいます。蓬湯には血行促進作用があり、肩こりや腰痛、神経痛などを和らげる効果があります。また、香りはストレス解消や安眠に効果的。ただし、陣痛促進作用があるので、妊娠中の入浴は避けましょう。

蓬湯のレシピ
1回に使うのは、生の蓬5~6本分の葉先20cmです。細かく刻んで水から煮出し、煮汁だけを布でこして浴槽に加えましょう。「艾葉」を使う場合は、約30gを布袋に入れて浴槽に入れます。
4月 桜湯

“桜湯”と聞くと、淡いピンクの花びらを浮かべたお風呂を想像しますが、薬効があるのは樹皮です。桜の樹皮の抽出エキスには咳をしずめ、タンをとる効果があるため、市販のシロップ剤や入浴剤などに使われるほか、漢方薬局では「桜皮(おうひ)」という生薬名で樹皮自体を取り扱っています。桜湯には消炎効果があり、湿疹・打ち身などの炎症を和らげてくれます。


桜湯のレシピ
夏のうちに樹皮をそぎ取り、刻んで天日干ししておきます。ソメイヨシノ、ヤマザクラ、オオシマサクラなど、種類はどれでもOK。花屋に売っている桜の枝でも構いません。乾燥した樹皮約50gを布袋にいれて、水から15分ほど煮出し、煮汁ごと浴槽にいれて入浴します。雰囲気を出すなら、花びらを浮かべてもいいでしょう。
5月 菖蒲湯

“冬至の柚子湯”とならび、季節の薬湯として有名なのが“菖蒲湯”です。独特のすがすがしい香りのもとである精油成分には、鎮痛・血行促進・保湿効果があり、腰痛や神経痛を和らげてくれます。ただし、薬効があるのは太い根茎をもつサトイモ科の植物で、端午の節句に飾るアヤメ科の「花菖蒲」ではないのでご注意を。

菖蒲湯のレシピ
本来の菖蒲湯は「根」の部分を使うのですが、菖蒲根はなかなか手に入りにくくなっています。端午の節句が近づくと、花屋や八百屋に出回る菖蒲の葉を利用しましょう。菖蒲根ほどの薬効は期待できませんが、香りは充分に楽しめます。細かくきざんだ生葉を一掴みほど綿の袋に入れ、洗面器などに入れて熱湯を注ぎます。そのまま10分ほどおき、精油を抽出し、袋を抽出液ごと浴槽に注ぎいれて入浴しましょう。
6月 ドクダミ湯

ドクダミは、日本三大薬草のひとつ。独特の臭気が敬遠されがちですが、この臭気の元となる成分に薬効があります。特に菌を抑制したり炎症を抑えたりする効果が大きく、茎や葉をすりつぶしたものをあせもや湿疹、水虫などの患部にあてると、かゆみをとり炎症を鎮めます。ドクダミ湯には、毛細血管を強化し、身体をあたためる効果があります。


ドクダミ湯のレシピ
生の茎や葉を水洗いして、適当な大きさに刻み布袋に詰めます。ドクダミの量はお好みで。この布袋を浴槽の湯口において揉みだしながら入浴しましょう。香りが苦手な場合は、乾燥させると消えますが、消炎・抗菌効果は弱くなります。
7月 桃の葉湯

桃の葉湯は、古い歴史をもつ薬湯のひとつで、昔は夏の土用の日に桃の葉湯に入る習慣があったとか。桃の葉にはタンニンなどの消炎・解熱効果のある成分が含まれており、桃の葉湯にすることで、この季節に気になるあせもや湿疹、虫さされ、紫外線による日焼けなどの皮膚トラブルを改善してくれます。

桃の葉湯のレシピ
桃の生葉(30~40枚)を布袋に詰めて、水から火にかけ15~20分間煮出します。煮汁ごと浴槽に入れ、よくかき混ぜてから入浴しましょう。
8月 薄荷(ハッカ)湯

ハーブでおなじみのミントの仲間で、清涼感のある香りが楽しめます。この香りの正体は、葉に含まれるメントールという成分。市販の入浴剤でもおなじみのメントールは、スーッとする感覚から、熱を奪うイメージがありますが、実は薄荷湯は血行促進や保温効果にすぐれたお風呂。入浴後は爽快なのに、冷房による冷えや夏バテ、疲労回復などに効果を発揮します。


薄荷湯のレシピ
夏から秋の開花期に葉を摘み取り、陰干しします。2掴み(約30g)を布袋に入れ、上から2Lの熱湯をかけて15~20分間蒸らした後に、汁ごとお風呂に加えましょう。薄荷は非常に丈夫な植物なので、プランターでも簡単に栽培できます。園芸店で苗を買い、大きめのプランターにたっぷりの土で植え付けましょう。
9月 菊湯

陰暦の9月9日は、重陽の節句。別名「菊の節句」とも呼ばれ、菊湯に浸かり、菊の花びらを浮かべたお酒をのむという贅沢な風習が伝わっています。菊湯に用いるのは、観賞用の大輪の菊ではなく、リュウノウギクと呼ばれる野菊です。カンフェンなどの精油成分を含み、皮膚を刺激して血行を促進、老廃物の代謝を活発にして身体の傷みを和らげる効果があります。保温効果が高く、身体を芯から温めるので、夏の疲れをほぐすのにぴったりです。

菊湯のレシピ
葉っぱの部分を使います。生葉でも、市販されている乾燥葉でもOK。2掴み(約30g)を布袋に詰めて、洗面器などに入れ、約2Lの熱湯をかけて15~20分程蒸らします。汁ごと浴槽に入れて、よくかき混ぜて入浴しましょう。
10月 生姜湯

生姜はどの家庭にも常備されている香辛料ですが、漢方薬の代表格のひとつでもあります。生姜に含まれている精油成分には、血行を促進させる効果があるため、身体をポカポカとあたため、湯冷めしにくく、風邪予防にも効果的。また、熱めの生姜湯で足浴するだけでも、充分に身体全体があたたまるので、風邪でお風呂に入れないときにもおすすめです。ただし、肌への刺激が強いので、肌が弱い人はさけたほうがよいでしょう。


生姜湯のレシピ
根生姜1カケをすり下ろし、絞り汁をお風呂のお湯に加えて入浴します。または、スライスして布袋に入れ、もみだしながら入浴すると香りが増しておすすめです。
11月 蜜柑湯

天日に干した蜜柑の皮を浮かべたお風呂が蜜柑湯です。蜜柑の皮には、クエン酸やビタミンCが含まれているので、美肌に効果てきめん。また、柑橘類特有のさわやかな香りの正体であるリモネンという精油成分には、血行促進作用があるため、蜜柑湯に浸かると身体が芯からあたたまり、湯冷めしなくなります。寝つきもよくなるので、風邪もひきにくくなるといわれています。

蜜柑湯のレシピ
果実を食べた後の皮を陰干しし、約20個分を、ガーゼか木綿の袋に入れてお風呂に浸して入浴します。干した皮は、生の状態よりも成分が抽出されやすくなります。
12月 柚子湯

“冬至の柚子湯”として、最も親しまれている季節のお風呂です。柚子の皮に含まれている精油成分リモネンには血行促進効果があり、体を芯からあたためてくれます。また、新陳代謝も活発になるので、疲れや関節痛、冷え性にも効果的。冬の乾燥した肌をしっとりさせる美肌効果も期待できます。


柚子湯のレシピ
柚子の果実5~6個を半分、または輪切りにして、そのまま湯に浮かべて入浴します。または、やや大きめのボールに柚子の果実を入れ、一升分の熱湯を注いで20分ほどむらします。冷めたら、柚子を布袋に入れてお風呂の中で絞ります。袋はそのまま湯船に浮かべて入浴します。


※お湯はその日のうちに捨てましょう
※葉や茎、実などの材料は、循環口や排水口に詰まらせないように、目の細かい袋に入れましょう。直接浮かべる場合は、お湯を流す前に取り除きましょう。
※天然の大理石でできた浴槽は傷むことがあるため、季節のお風呂の使用は避けてください。



監修:東京ガス都市生活研究所