地球上には約13億8000万?という膨大な量の水がありますが、その98%は海水。淡水はわずか2%です。その淡水の98%は南極、北極の氷で占められていますから、私たちが生活に使える水はその2%。つまり地球上の水全体の0・04%だけと、とても少ないのです。その貴重な水が、重金属や塩素系有機溶剤などの有害物質を含む工業や農業排水で汚され、1950年代の日本では熊本県水俣市の「水俣病」や富山県神通川流域の「イタイイタイ病」など深刻な公害病が発生しました。その後、工業排水は厳しく規制されていますが、今度は台所や風呂など家庭から出る生活排水による水質汚濁が大きな問題になっています。使い終わったてんぷら油などを排水口に流せば、下水道処理設備のない地域では川に直接流れ込むことになります。合成洗剤の成分が湖沼の生態系を狂わせたり、問題はさまざま。一度汚された水は、なかなか元の状態には戻りません。生活排水は規制が難しく、下水道処理設備の充実と、私たちの心がけで、生命の源である水を維持しなければならないのです。
上空約25 の付近を中心に、地球をぐるりと包み込んでいるオゾン層。その密度が薄くなったり、部分的にオゾンホールができることで太陽から降り注ぐ紫外線の照射量が増えています。紫外線は波長の長さによって種類があり、日焼けの原因とされる紫外線Aと、地球上の生物にとって有害な紫外線B、紫外線Cがあります。紫外線Bの照射量が1%増えると、白色人種の皮膚がん発生率は4?6%増えると予想され、農作物の収穫量が減少したり、植物の成長にも影響を与えるとみられています。これ以上、有害な紫外線の照射量を増やさないためには、オゾン層の破壊を止める必要があります。オゾン層破壊の原因物質のフロンは、モントリオール議定書で国際的に規制。1996年には先進工業国で特定フロンの製造がほぼ全廃されました。その後、フロンに変わる物質として代替フロンが主流となっていますが、二酸化炭素の数千倍から数万倍もの温暖化作用があることがわかり、完全なフロン離れが世界の潮流となっています。最近、日本でも家庭向けノンフロン冷蔵庫が商品化されました。私たちもそうした商品を購入することでオゾン層破壊防止に貢献できます。
樹木が根を張り、農作物が育つ大地。その大地が疲れています。原因は農薬、工業排水、ダイオキシン類など、化学物質による汚染です。微生物が住む肥よくな土はふっくらとしていて、土中に空気や水を蓄え、洪水を防ぐ機能があります。しかし、農薬散布により微生物が死滅すると、土はつぶれて粒子がバラバラになり、雨が降ると泥水となって流出してしまいます。土の「ろ過作用」が衰えているのです。また、土には「イオン交換作用」による中和機能がありますが、酸性雨が降り注いで、土の中が水素イオンでいっぱいになったり、ゴミ焼却施設から排出されるダイオキシンなどの有害な化学物質が入り込むと、中和機能は喪失。汚染された土壌になってしまうのです。工業排水による汚染では、重金属系の物質が土に染み込み、地下水まで汚してしまいます。こうした汚れは何年経っても消えることがなく、周辺の土を丸ごと入れ替えるしか手はありません。汚染された土壌で育てられた農作物が私たちの口に入り、知らぬ間に体内に蓄積されている可能性は否定できません。
酸素を吸って生命を維持している私たちにとって空気はとても大切な存在。この空気を取り巻く大きな環境問題は、大気汚染と地球温暖化です。人間はエネルギーを得るために石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を利用しました。しかし豊かな生活と引き換えに、大気中に二酸化窒素や二酸化硫黄、一酸化炭素を撒き散らし、大気汚染が拡大。呼吸器などへの健康被害が出ました。三重県四日市市の「四日市ぜん息」などはその例です。また、地球温暖化は、大気中における二酸化炭素やメタンなどの割合が増加することで起こります。これらの気体は、地表から放出される赤外線を吸収し、地球の表面温度を15℃程度に保つ働きがありますが、増え過ぎることで温室効果をもたらします。過去100年間で地球の平均気温は約0・5℃も上がっていて、海面の上昇や異常気象、食糧不足などを連鎖的に引き起こす恐れが。今年は、地球温暖化を防ぐ目的で定められた「京都議定書」が発効するのではという見方が強いようです。二酸化炭素の排出量を減らすため、太陽光や風力など代替エネルギーへの注目度は世界的にも高まっています。私たちも、低公害車や省エネ家電を選ぶことで、大気汚染や温暖化の歯止めに役立てます。
地球上では毎年、日本の国土の約4割、1540万haの熱帯林が消失しています。熱帯林とは、東南アジアやアフリカ、中南米にある熱帯雨林、熱帯季節林、サバンナ林など。この熱帯林はさまざまな役割を果たしています。光合成による二酸化炭素の吸収と酸素の放出はもちろん、根の部分が土中で雨水を一時的に蓄えるので、洪水の予防にもなります。また、地球上の動植物種の約4割が暮らす場でもあり、多くの生き物にとって安全な場所でもあるのです。そんな熱帯林の消失の原因は、先進国による大量の木材の伐採と、熱帯林で生活する人々の焼畑農業にあります。熱帯林のように多様な植物が生い茂る密林は、一度消失してしまうと復元しないと言われています。そうすると、そこで暮らしていた生物種が減少、土壌が流出したり、大気中の酸素が減ったり、植物も動物も住めない砂漠化が進んだり…地球環境に大変な影響を及ぼします。それを食い止めるための方法の一つとして考えられるのが植林。ただ残念なことに熱帯林の消失が、植林のスピードをはるかに上回っているのが現実です。
取材・文/橋本伊津美 イラスト/SATOMI
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