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CFA流『さんない』投資塾

第62回 株式投資で最も成功する可能性が高い方法

2016年1月12日(火)

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。合言葉は、「急がない、やめない、無理しない」。毎月1回の更新です。
CFAって何?という方はこちらからどうぞ。→ ごあいさつ

びとうファイナンシャルサービス
資産運用アドバイザー
尾藤 峰男,CFA






 新年を迎え、「今年こそは株式投資で成功しよう」と決意を新たにしている人も多いのではないでしょうか。新聞やマネー情報誌でも、2016年の株価予想やどうしたら株式投資で儲かるかなどの特集が目につきます。読者の皆さんはこうした情報を前にして「さてどうしたものか?」と腕組みしている頃ではないでしょうか。今回のコラムでは「株式投資で最も成功する可能性が高い方法」と題し、皆さんの参考にしていただきたいと思います。

株式投資は長期の視点で

 まず押さえておくべき一番の基本は、「株式投資は長期の視点で」ということです。言い古された言葉に聞こえる人もいるでしょう。「そんな、まどろっこしいやり方ではなく、すぐに儲けたい」という人もいるに違いありません。しかし、この方法が最も株式投資で成功するための近道であることは論をまちません。「ローマは一日にして成らず」と言います。株式投資でも、その言葉はぴったり当てはまるのです。

 米国で個人投資家の投資リターンについて、面白い調査結果(注1)があります。1995年から2014年まで、20年間の市場リターンと個人投資家の実際の投資リターンを調べたものです。それによると、代表的な株価指数であるS&P500指数が年率利回り9.9%、債券が6.2%、金が5.9%、先進国株(除く米国)が5.4%だったのに対し、個人投資家の平均投資利回りは2.5%だったとのことです。この4つの投資先をどう組み合わせても、利回りは個人投資家の平均投資利回り2.5%よりはるかに上です。ちなみに、その間の年率インフレ率は2.4%だったので、個人投資家の実質リターンはたったの0.1%。かろうじてインフレ率を上回った程度だったのです。

 どうしてここまで低くなってしまったのでしょうか。ここには、個人投資家が頻繁に売買したり、相場下落で怖くなって売ってしまったりするマイナスの投資行動がはっきりとうかがえます。目先の利益を確保しようとしないで、また短期の相場に一喜一憂しないでS&P500のインデックスファンドをこの間持ち続けていれば、年率9.9%に近い利回りを難なく確保できたのです。

安くなった時に、売らないで買う

 相場が急落する時には、売買高が急増します。これは相場が急落した時に、「もっと下がるのではないか」と恐くなって売ってしまう人が多いことを示しています。
 昨年11月にNHKの「所さん!大変ですよ」で、「株で大損した人が続々、4000万円失った主婦も」という話が放送されていました。同8月の中国バブル崩壊懸念からの日本株急落時の状況を指しているのでしょう。その際、60歳くらいの専業主婦が、1日で3000万円のお金を半分に減らしたというのです。

 この方は夫の定年、子供の独立を機に、離婚を持ち出し、現在はワンルームマンションで1人暮らし。株の運用が当初うまくいったため、気持ちも大きくなっていたのでしょうか。放送によると、当初はおもしろいように株価が上がり、資産は最高で6000万円にまでなった。しかし、中国バブル崩壊懸念から日本株も急落したとき、怖くなって全部売ってしまったそうなのです。1日で財産を半分に減らし、最も増えた時からに比べると4000万円以上も減りました。今では財産は1500万~1600万円程度とのことでした。

 「安くなったとき売らない」という原則は、投資の心得としてよくいわれる話で、そんなのわかっているよという方も多いのかもしれません。ただ、実際にそういう局面になったときにその通り対処できるかは、別の話なのです。理屈ではでわかっていても、その通りに実行できないのが人間です。そういう人間の弱さを理解したうえで、相場の急落時に冷静さを保ち、じっとこらえることが大事なことなのです。

「安くなった時に買う」というのも同じです。リーマン・ショックのときのように相場が急落した時には、もっと下がるのではないかという不安感が先にたち、下げ相場のなかなか買えないものです。むしろ件の主婦の方のように、恐くなって売ってしまう人が多いのです。
 
 世界最高の投資家ともいわれるウォーレン・バフェット氏は、2008年9月のリーマン・ショック直後の10月、150億ドルをゴールドマン・サックス、GEキャピタル、バンク・オブ・アメリカに投資しました。その時、市場では「バフェットの買いは早すぎた」という声がありました。
 その時のバフェットの言葉は至言です。「私はマーケットの底がどこかは分からないが、現在のレベルが安いことはわかる」。そして今では、200億ドル以上の利益となっています。700億ドルの個人資産を築いたバフェットの成功の秘訣を、このあたりにうかがうことができるのです。

日本だけでなく、世界に広く投資する

 「国際分散投資」も言い古された言葉ですが、まさにこれこそ、最も成功する可能性が高い方法の一つです。米ダウ平均と日経平均を、1989年末を100として比較すると、2015年10月末で、ダウ平均は600超、日経平均は50弱。その差は12倍超です。日本株だけに投資した人は、今でもバブル崩壊のダメージを一手に被ってしまったわけです。

 また1993年から2014年まで日本、英国、香港、米国の4市場に4分の1ずつ均等に株式投資していれば、元本100万円が315万円になっているのに対して、日本だけに投資していると100万円が103万円とほぼ横ばいです。国際分散投資は、大変強力な投資方法です。リスクを減らすだけでなく、組み入れた株式全体でより安定したリターンが得られるのです。

 年初から株式相場は波乱含みの様相をみせています。今年は①長期の視点で②安くなったら売らないで買い③国際分散投資を実行する――という株式投資の基本の心構えを、いまいちど確認しておくべき年なのかもしれません。

注1 Dalbar Inc.による

このコラムについて

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。

<ごあいさつ>

日本CFA協会元会長/ウェルス・マネジメント・フォーラム代表幹事 岡本和久
「投資のプロたちが皆さんに本当にお伝えしたいこと」


このコラムでは質問コーナーも設けます。どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい。
(ただ、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。

<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>
問い合わせ内容を「CFAに質問」としてください。


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