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FP快刀乱麻

FPが住宅ローン借り換えに失敗? 住宅ローン借り換えのポイント

2016年8月26日(金)

 マイナス金利政策の影響を受け、住宅ローンの適用金利は過去最低水準。住宅ローンを借りている人にとっては絶好の借り換えチャンスといえそうです。そうした中でもわが家が借り換えに「その気」になれなかった理由がありました。

ローン残高1000万円、残年数10年、金利差1%というけれど

 住宅ローンの借り換えには、ローン事務手数料などの諸費用がかかります。3000万円くらいの借り換えの場合、80万円程度となることも多いです。そのため、借り換えすることによる利息軽減効果がそれなりに高くなければ、諸費用分を考えるとかえって損をしてしまうこともあります。

 ローン残高が1000万円以上、ローンの残年数が10年以上、借り換え前と後の金利差が1%以上という条件を満たしている借り換えであれば、諸費用を差し引いてもメリットが出やすいという目安があります。条件を多少欠いても効果がある場合もありますが、利息の軽減効果は、かかる諸費用総額を差し引いた「手取り」を気にかける必要があります。
 
 実際に借り換えをするとなると各種公的書類を集める必要が出てきます。源泉徴収票のほか、住民票の写し、印鑑証明書、不動産登記簿謄本など、即日取得するには平日に役所や法務局に出向かなければならない書類も多いです。そもそも借り換え手続きを行うための金融機関への訪問も、平日の中で調整しなければいけないことが多いです(公的書類の取得や、住宅ローンの比較提案を代行でやってくれるモーゲージ・ネクストという新しいサービスもあります。借り換えに成功した場合、手数料が税別で20万円かかりますが、利息軽減と手間軽減の効果を考えると選択の余地があります)。
 
 確かに好機ではあるけれど、書類を集める手間など考えると、軽減できる利息が500万円以上など大きくないと重い腰が上がらない、私自身はそんな気持ちでいました。

世間の好機でも私達の好機とは言えないケースも

 気が進まない理由は他にもありました。借り換えシミュレーションで出る軽減金額は借り換え以降、繰り上げ返済せず返済を続けた場合の金額です。繰り上げ返済を予定している場合、シミュレーション結果ほどの利息軽減効果は得られません。借り換えをせず、繰り上げ返済をすることでも利息が軽減できるためです。

 さらに、現状の住宅ローンが充分に検討したものの場合、大幅な利息軽減につながらないこともあります。既に金利が低くメリットが出づらいからです。

 わが家の場合、夫の転職回数が多いことも二の足を踏むポイントでした。

 夫のことは仕事の面でも尊敬していますが、転職回数の多さは通常、住宅ローンの審査では良い印象になりません。さらに、夫は今年の3月にも転職をしたばかり(もう6社目…)。金融機関によっては借り換え審査の受け付け条件に、同じ会社での勤続年数が3年、最低でも1年とするところも多く、実現する可能性が低く、効果も薄いとなると、とても本気で検討する気にはなれませんでした。
 
 ところが、実際にシミュレーションをしてみると、狙ったプランで借り換えができれば諸費用を差し引いても600万円以上効果が出そうなことが分かり、借り換え効果が薄いというのは思い込みであったと気がつきました。

 「これだけ違うのであれば試してみる価値がある」。途端にやる気がわいてきて、挑戦してみましたが、残念ながら審査は通過できませんでした(なお、私のように自営業だと、転職回数の多い会社員の夫以上に一般的には審査が厳しいです)。

 わが家の場合は勤続年数の問題に加えて、自宅の他に投資向けの物件を持っていたことも影響がありそうです。逆を言うと、自宅以外の借入がなく勤続年数も長い人が、低金利と言われてきたここ数年で上手に借りた住宅ローンであっても、借り換えてメリットが出るケースはありそう、ということです。

 また、勤続5カ月でも審査の受付まではしてもらえたということは、勤続年数が短いからといって可能性がゼロなわけではないと感じました。今回、コールセンターでは受け付けしてもらえませんでしたが、支店の窓口だと次のステップに進むことができました。また金融機関によって勤続年数をどの程度重視するかも異なります。
 
 ちなみに、わが家の場合も数百万円の借り換え効果が出る、審査のやさしい金融機関などはまだ可能性があるかもしれません。審査で重視される条件が整った人にとっては、当時よく研究して借りた住宅ローンであっても、借り換えメリットが出せるチャンスのある時期と言えるでしょう(うらやましいです)。
 

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

風呂内 亜矢(ふろうち・あや)
風呂内 亜矢

 ファイナンシャルプランナー。CFPR認定者、宅地建物取引主任者。1978年生まれ。岡山出身。
 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。
公式サイト:http://www.furouchi.com/
公式ツイッター:@furouchiaya


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