• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP
日経マネーDIGITAL

FP快刀乱麻

共働きを軽視する人はお金周りで苦労する

2015年8月5日(水)

 「共働きすれば、今の2倍のペースでお金が貯められる」と考える人は多いと思いますが、実はこの認識は正しくありません。共働きは、もっと早いペースで貯蓄できる貴重な手法で、下手な節約や運用よりも寄与度が高いのです。今回はその理由と留意点を真正面から取り上げましょう。

貯められる金額はいくらか

 世帯主だけが働いているAさん世帯(シングルインカム)と、共働きのBさん世帯(ダブルインカム)を年間の可処分所得(年収から所得税、住民税、社会保険料を差し引いた額)で比較してみます。

・Aさん世帯:世帯主500万円
・Bさん世帯:世帯主500万円、配偶者300万円

 仮に両世帯の生活費が400万円だった場合、貯められる金額を考えると、Aさん世帯は100万円です。一方、Bさん世帯は400万円で、Aさん世帯の4倍のペースです。

 この計算は両世帯の生活費に差がなかった場合の話ですが、仮にBさん世帯の生活費が100万円増えたとしても、貯められる金額はAさんの3倍(300万円)です。もっと極端に考えて、生活費が200万円(毎月16万円以上)に増えるようなことがあったとしても、2倍の200万円を貯められる計算です。
 逆に考えても同じことです。ダブルインカムからシングルインカムに変わったからといって、生活費を200万円も切り詰められる世帯は多くありません。ここからも分かるように、生活費は固定費の要素が高く、その額を超えた辺りから貯められるペースが一気に増えるのです。

短期決戦は最大効果を発揮する

 4倍のペースで貯められるということは、一定金額を貯めるための期間が4分の1で済むということでもあります。この点はお金を上手にコントロールできるようになる上で、とても大切です。
 例えば、住宅取得の頭金として2000円を貯めようと思った場合、Aさんは20年かかりますが、Bさん世帯は5年で実現できてしまいます。Aさん世帯には非現実的な話に見えますが、Bさん世帯には現実的な計画として受け止められる可能性が高いのです。従って目的が教育資金であれ、老後資金であれ、短期決戦で貯めることを意識するといいでしょう。何より、「必ずしも一生共働きしなくても構わない」ことが最大のポイントです。

 とはいえ、どの世帯でも常に共働きの機会に恵まれるとは限りません。いつ共働きが可能なのか、そのタイミングをしっかり把握して逃さないようにしましょう。また、今日この時点で共働きができている人の場合、比較的ゆとりある生活を過ごしている可能性があります。今がハイペースで貯めるべき限定期間中だということを忘れないでください。

管理次第では仇となるので要注意

 共働き世帯では、30代以下を中心に世帯主と配偶者がそれぞれ家計を別個に管理するケースも増えてきています。勤労者世帯では、別個に管理するケースよりも、1つの家計で管理するケースの方が貯蓄のペースがダウンする傾向があります。その理由は単純で、前者に比べて後者の方が1回の支出が膨らみやすくなるからです。

 少し掘り下げます。例えば、世帯合計600万円の貯蓄があったとしましょう。世帯主が300万円、配偶者も300万円のように、家計が別個に管理されている場合、自動車の購入に400万円を払う時に障壁があります。一方が自動車を買いたくても自身の貯蓄だけでは捻出できず、配偶者の同意を得てお金を融通してもらう必要が出てきます。つまり、家庭内で稟議(りんぎ)が発生するわけです。
 それに対して、家計管理が1つのケースならこんな煩わしさはありません。600万円がまとまって存在するので400万円なら払えてしまうからです。とりわけ家計管理はご夫妻のいずれか一方に責任が委ねられている世帯も少なくありません。
 すなわち、配偶者の稟議を得るまでもなくお金を払える環境が備わってしまっていることが貯めるペースをダウンさせるのです。

 共働きで貯めたせっかくの貯蓄も、管理方法が適切でなければ意味がありません。常に貯蓄額を半額しかないものと思い込む習慣をつけたり、双方が管理に関与する仕組みを作ったりする必要があることも知っておきましょう。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

関口 輝(せきぐち・あきら)
関口 輝

 生活経済研究所長野 主任研究員。住宅メーカー、損害保険会社と転職を経る中で、“顧客にはお金の真実が全く伝えられていない現状”を目の当たりにする。一般勤労者が正しい知識と問題意識を持つことの重要性を認識し、2001年労働組合シンクタンク「生活経済研究所長野」に参画。現在、非営利活動団体(労働組合・関連団体)へ活動の中心をシフトし、お金の真実を伝えるべく講演を中心に精力的に活動中。AFP認定者


日経マネーメールマガジンの登録(無料)はこちら

日経マネーのムック&書籍紹介

  • 『儲かる&楽しい 株主優待マル得カタログ』

    11月8日発売(1000円+税)

    優待ファン必携の「株主優待カタログ」最新版。桐谷広人さんや優待ブロガーの厳選オススメ銘柄&儲けワザを大公開。プロによる注目134銘柄の業績診断や人気500銘柄の最新理論株価も掲載します。“新基準”に対応した、ふるさと納税の最新オススメ返礼品ガイドも付いています。

  • 『日本の億万投資家名鑑 実践編 』

    10月28日発売(1296円+税)

    ベストセラー「億万投資家名鑑」の姉妹編。36人の億万投資家が持てる力と技を駆使して真剣勝負に挑んだ実戦のリポートの数々を、1冊にまとめました。相場との格闘で体得した彼らの生きた知恵は、多くの個人投資家にとって参考になるはずです。

  • 『長期投資でお金の悩みから自由になった人たち』

    6月21日発売(1500円+税)

    年金だけでは老後が心配――。直販投信への長期投資を続けていれば、そこからの収益でお金の不安から自由になれる。そんな「ファイナンシャル・インディペンデンス」を実現した20人の市井の人々の人生模様と、彼らの長期投資との付き合い方を示した一冊。さわかみホールディングスの澤上篤人代表が、長期投資のあり方について熱く語る。

  • 『老後不安を解消!! 確定拠出年金(DC)をはじめよう 2017制度改正完全対応版』

    6月5日発売(907円+税)

    老後資産づくりのノウハウがつまった一冊。2017年から誰でも使えるようになった「確定拠出年金(DC)」は “幸せ老後"を迎えるために欠かせない資産形成の道具です。その仕組みやメリット、活用術を分かりやすく解説します。さらに積み立て投資の利点や、投資に回すお金のつくり方などについて多方面からまとめています。

  • 『ふるさと納税のすべてが分かる本 2017年版』

    11月22日発売(815円+税)

    昨年好評だった「ふるさと納税」ムックの2017年版が発売になりました。この本では、まだふるさと納税をやったことがないという人にも分かりやすく、寄付の仕方や、減税の仕組み、確定申告の手続きなどを解説。最新の返礼品も260品ご紹介しています。実質2000円の負担で様々な返礼品が貰えるこの制度、利用しないのは損です!

  • 『不動産で億万長者!』

    10月31日発売(1000円+税)

    不動産を活用した資産形成の本。「都心部・地方」「新築・中古」「一棟・一室・戸建て」と分け、それぞれの投資法の長所と注意点を分析。どの最寄り駅の物件がいいのかを選ぶ参考として「200駅 三大都市圏中古マンション利回りマップ」「家賃が下がりにくい駅 80駅」と保存版データを掲載。さらに「海外不動産投資」「REIT・不動産クラウドファンディング」など。

  • 『退職までやっておくべきこと!サラリーマンの為の退活読本』

    9月2日発売(1000円+税)

    なんとなく定年が気になってきた世代のサラリーマンが抱く疑問に答える1冊。50代で早期退職したら年金や退職金はいくら減る? サラリーマンOBは受け取った退職金をどうやって使っている? おひとり様はどんな老後準備をしておけばいい? 定年後の移住はどんな感じ? 60歳以降も働くとしたらどんな仕事でいくら稼げる?などなど、ちょっと気になるサラリーマンの定年後の生活を豊富な事例を交えながら紹介。

  • 『間違いだらけの相続&贈与』

    8月3日発売(926円+税)

    日経ビジネスとの共同ムック。2015年から相続税の大増税が行われ、課税対象になる一般家庭も増えています。しかし、間違った相続税対策も多く、それでは却って損をしかねません。「腕利き税理士&弁護士が教える賢い相続」など、このムックで正しい対策を知り、今すぐ始めましょう。

  • 『国債が暴落しても長期投資家は平気だよ』

    4月21日発売(1500円+税)

    日本国債はバブルとも言われる高値続き(利回りは低下)で、いつ暴落してもおかしくないと言われています。万一そうなれば経済の大混乱は避けられませんが、株式に長期投資していれば乗り越えられる、と澤上篤人さんは説きます。第2部ではさわかみファンドCIOの草刈貴弘さんが、サバイバルに役立つ銘柄選びの方法を伝授します。