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FP快刀乱麻

国内債券型投資信託に黄色点滅?

2016年8月3日(水)

 リーマンショックがあった2008年でさえプラスの収益率を上げていた国内債券。マイナス金利の導入、地政学リスクによる投資家のリスク回避姿勢などを背景に、長期金利は低下の一途を辿っているといっても過言ではありません。

 金利の低下は債券価格を上昇させることから、国内債券型投資信託の年間騰落率は近年にないほど良好な成績です。国内債券の代表的な指標である「NOMURA-BPI総合」の2015年度の騰落率はプラス5.4%と21世紀に入って最も良いパフォーマンス。日本銀行は金融政策を当面転換させることは考えにくいため、為替が円安基調に変わらない限り、国内債券型投資信託にはフォローの風が吹きまくりそうな雰囲気です。

 リスクをあまり取りたくない、安定した収益を期待したい投資家には、打ってつけの資産クラスといえる国内債券ですが、今後もリスクが抑えられ、同様の収益が期待できるのかと問われれば、これまでが出来すぎだと考え、投資には慎重になるべきと思われてなりません。国内債券型投資信託、中でもアクティブ運用の投資信託の一部はジレンマを抱えているはずです。

 国内債券型投資信託の運用スタイルは、主に「ラダー型」と「利子収入確保と売却益獲得型」の2つに分けられます。順序が逆になりますが、利子収入確保と売却益獲得型については、一部の債券は売却して含み益を実現益にしたいと考えているはずです。足元、長期金利の大幅な低下に伴って、投資している債券価格が上昇したことによりかなりの含み益が乗っていることからです。さらに、満期償還時まで保有していると、額面金額で償還されるために膨らんだ含み益がしぼんでしまうこともあります。

 しかし、含み益を実現益にした場合、売却した代金で再投資する債券が見当たらない、正確には好利回りの再投資先が見つからないのです。7月下旬時点で、国債は償還期限15年以下の利回りは全てマイナス、同20年で0.17%程度、同30年、40年で0.25~0.32%程度の利回りが得られるだけなのです。

 一方、「等金額投資」を行うラダー型は、売却益を狙わず保有している債券が償還される都度、その償還金を、償還期限の長い債券に再投資する運用スタイルです。短期から長期までの残存期間の異なる債券に投資することにより、金利変動に対するリスクを分散できると考えられていますが、それも金利があれば(プラス)の話。先に述べたように償還期限15年以下の金利はマイナス(消滅)、20年でやっとプラスの利回りを得られるに過ぎません。さらに、一応そこそこの利回りが得られる償還期間30年、40年の債券はラダー型の投資対象になっていないのです。

 つまり、国内債券型投資信託は、マイナス金利の長期化により今後投資する債券が消滅してしまう可能性があるというわけです。仮に目論見書を改定して償還期間30年、40年という超長期の債券を投資対象とした場合、将来的に多大なる金利上昇リスクを抱えてしまうことになります。

 もちろん絶対と断定できないため、30年、40年もの間、金利が上昇しないこともあり得ます。しかし、マイナス金利政策の副作用として、国内債券型投資信託はこれまでの青信号から黄色信号が点滅し始めている気がしてならないのです。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

深野 康彦(ふかの・やすひこ)
深野 康彦

 クレジット会社、独立系FP会社を経て2006年1月、有限会社ファイナンシャルリサーチ設立。テレビ・ラジオ番組への出演、新聞・マネー雑誌などへの執筆等で活躍中。


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