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FP快刀乱麻

男性不妊治療費の助成制度開始

2015年5月27日(水)

 不妊治療というと女性側に視点を合わせてしまいがちですが、男性側にも原因があるケースが増えています。例えば、精子に受精能力が備わっていない場合や、精子そのものが少ない無精子症の場合などです。今回はその男性不妊における助成制度の拡充について紹介します。

男性不妊治療費の背景

 現在、厚生労働省が定めている「不妊に悩む方への特定治療支援事業」では、1回の治療に対して給付上限額は15万円です(都道府県によって上乗せされている場合あり)。しかし、特定不妊治療として助成対象となる体外受精は1回30万円、顕微授精は1回40万円程度と高額です。
 従前から、保険の適用されない男性不妊治療費も含めて特定不妊治療費助成制度の対象として取り組んでいる都道府県もありましたが、女性側にかかる負担金額だけで助成金額の上限に達してしまうのが現状でした。
 男性不妊治療費のうち、保険適用にならない精巣内精子採取術(TESE)と精巣上体内精子採取術(MESA)などにかかる治療費はおよそ5万~30万円です。男性側が治療を必要とする場合でも、体外受精や顕微授精に伴って女性側の施術も必要になるため、治療費が高額になるのです。

男性不妊治療費助成制度の新設

 これらの負担を軽減するために、特定不妊治療費助成金の増額という形で男性不妊治療費の助成制度を新設したのが、福井県、大分県、三重県、京都府、山形県の5府県です(平成27年1月現在)。詳しく見てみましょう。

(1)福井県は県が窓口となり、特定不妊治療費助成金の助成額に5万円が増額されます。
(2)大分県では県単独補助対象治療として、県で1年度10万円の上限で実施しています。
(3)三重県では上限を10万円とし、市町村を窓口として上乗せしています。
(4)京都府では男性不妊にかかわる治療について自己負担分の2分の1(上限10万円)まで市町村を通じて補助します。
(5)山形県では男性不妊治療費の4分の1(上限10万円)を、連携した市町村を窓口として補助します。

 注意点ですが、三重県、京都府、山形県では、すべての市町村が連携しているわけではありません。県、府に助成金の申請をする際は、居住する市町村へ実施の有無の確認が必要です。また、助成額、対象者、申請時期など、細かく違いがあるので市町村のウェブサイト等をよく確認しましょう。

自治体独自の上乗せ支援

 ここで特定不妊治費助成金制度を受けるための手順を確認しておきましょう。不妊治療に対して助成金を利用する場合、まずは都道府県の窓口に行きます。指定医療機関の病院であるかどうかの確認などもここでしましょう。都道府県で助成金額が決まったら、次は居住している市区町村の窓口で申請します。

 男性不妊治療費にかかわらず、不妊治療費の総額から都道府県の助成金額を控除した自己負担分に対して、助成金の支援に取り組む市区町村も増えてきました。多くの市区町村が、独自助成金の上乗せ支援を始めているので丹念に調べてみてください。男性不妊治療費だけではなく、一般不妊治療費や不育治療費にも力を入れている自治体が増えているのも心強い傾向です。そして何より、夫婦揃って検査を受けてみることが大切です。

このコラムについて

 このコーナーは、日経マネー本誌やTV、新聞等でもおなじみの著名ファイナンシャル・プランナー各氏が毎週交代で執筆する辛口コラムのコーナーです。今の金融界をズバッと斬る直言から金融制度や消費者への提言、最近の金融ニュースの注目ポイント、またFPならではの役立つノウハウまで、幅広い内容を取り上げていきます。更新は隔週水曜日です。

宇田川 京子(うだがわ・きょうこ)
宇田川 京子

 1972年埼玉県生まれ。会社員を務めながら、実母と祖父の癌闘病支援、祖母の介護を連続して経験し、公費助成制度の大切さを学ぶ。2011年に生活経済研究所長野へ入所後にAFP資格を取得し、同所研究員として調査・執筆活動に従事。


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